けものフレンズの声優・田村響華さん作詞・作曲・歌唱によるミニアルバムを夏のコミケでリリース

8月12日(月)、東京ビックサイトで行われるコミックマーケット96において、DTMステーションCreativeの第4弾となるアルバム、「Let’s do it !」をリリースします。今回のアルバムは、けものフレンズジェンツーペンギン役としても知られる、声優の田村響華@tamura_kyoka)さんをフィーチャーしたアルバム。そのメイン楽曲となる「きっと」は、田村響華さん自身が作曲、そして作詞を行い、自らがボーカルとしてレコーディングした楽曲です。

ご存知の方も多いと思いますが、響華さんは、ニコニコ生放送YouTubeLiveのネット番組である「DTMステーションPlus!」の冒頭コーナー「田村響華と今日からDTM♪」をレギュラーとして約2年間担当してきました。この番組の中で、実際に作曲していったのが、この「きっと」。今回ついにリリースとなるミニアルバム制作の経緯やレコーディングの様子などについて、紹介してみたいと思います。

自身が作詞・作曲した「きっと」のレコーディングに挑む田村響華さん

田村響華と今日からDTM♪」のコーナーがスタートしたのは2017年10月31日。DTMはまったく未経験の響華さんが「いつか自分の曲を作ってみたい!」という希望の元、作曲家の多田彰文さんがDTM&作曲のレッスンを行い、その様子を番組で公開していく、という形で、隔週火曜日に放送してきたのです。

番組スタート当初のオープニング画面

当初は「DTMとは何か?」、「DTMでどんなことができるのか?」といった基礎的なところからスタートしつつ、Ability、Ableton Live、BITWIG Studio、FL Studio、Studio One、Cubase……と各種DAWを一通り触れていきました。その中から、1つ気に入ったツールを選んでもらった結果、Studio Oneとなり、レッスン内容は、これを使った作曲講座へと進んでいきました。

これまで40回近い回数を重ねてきた「田村響華と今日からDTM♪」のコーナー(左から藤本、響華さん、多田さん)

この中で、思いついたメロディーをMIDIキーボードを使って入力してみたり、定番コードを設定した上で、それに合いそうなメロディーを探るなど、試行錯誤を繰り返しながら、曲を作っていったのです。

最初にサビができ、その後Aメロを作って、Bメロに展開……。20分ちょっとの番組なので、1回でできることは少ないのですが、本番に強い響華さん。すべてぶっつけ本番に近い形で、まさに生放送中、その場で思いついたメロディーで曲を作り上げていきました。

番組のコーナーの中で作曲作業を続けてきた

もちろん、多田さんからのアドバイスはいろいろあったし、ニコニコ生放送、YouTubeLiveを通じて視聴者のみなさんからのコメントなども励みにしつつ、曲を作っていったわけですが、正真正銘、響華さんのオリジナル、初の作曲であることは、番組をご覧になっていた方であればご存知ですよね。

ちなみに、過去の放送内容はニコニコのDTMステーションPlus!のチャンネル会員(月額540円ですが、初月は無料です!)になることで見ることが可能なので、よかったらぜひご覧になってみてくださいね。

過去番組もDTMステーションPlus!のチャンネル会員なら視聴可能

当初、番組内で作っていった際は、ずいぶんゆっくりなテンポだった、この曲。多田さんの発案で、途中でテンポを倍にしたところ、大きく雰囲気も変わり、ノリノリの曲に!響華さんから、バンドサウンド、ロック調にしてみたいという要望の元、バックのドラムを「ドッタン、ドッタン」とキック、スネアが激しいものにするとともに、Native InstrumentsのKOMPLETEの音源によるギターサウンドを加えていくと、だんだん、それっぽいものになっていきました。

一方、昨年末のコミケにおいて、声優の小岩井ことりさんとともにDTMステーションCreativeの第2弾アルバム「Harmony of birds feat.小岩井ことり」をリリースし、完売したことは以前にも記事でお伝えしたとおり。それを受け、今年の正月明けごろから「響華さんの曲を番組内で仕上げるとともに、8月のコミックマーケットに出展でいないだろうか」というアイディアを、多田さん、響華さんと話し合っていました。もちろん、そのころは何の形もできていなかったものの、目標を立てることで、前進するのでは、という思いもあってです。

曲制作の最終版を迎える中、ドワンゴ本社スタジオで行ったDTMステーションPlus!の5周年記念番組

その目標に向けて、視聴者のみなさんとともに、着実に曲は出来上がっていき、6月にはメロディー部分の作曲は完成。ただ番組時間の短さもあって、アレンジ、ボーカルレコーディングまで、すべてを番組内で行っていったのでは、コミケに間に合いません。

そして、難題となったのは、歌詞をどうするか。せっかくコミケに出すなら、やっぱり響華さんが作詞部分まで担当するのがいいだろう、というのはメンバーみんなの総意ではあったものの、6月下旬の時点で、歌詞、タイトルとも何もない状態。CDのプレスをするとなると1か月弱かかるので、もう時間的猶予はまったくなくなってしまいました。

メーザーハウスのスタジオでレコーディングすることに

そこで、歌詞はともかくとして、レコーディングの日程を決め、DTMステーションPlus!の番組を放送している現場でもある、音楽学校メーザー・ハウスに協力をお願いし、レコーディングスタジオを確保しました。それが、先日7月1日のこと。多田さんには、番組内で方向性が決まってきた曲調を膨らます形でアレンジもしてもらいました。

でもレコーディングの前日朝の時点は、歌詞ができていなかったので、私も多田さんもヤキモキしていました。とはいえ、そこは責任感のある響華さん、メロディーへの譜割もしっかりした形で、バッチリと歌詞を仕上げてくれ、レコーディングへと挑んだのです。

響華さんの歌が上手いことは知ってはいたものの、本番でどのくらいの実力が出せるのかは未知数。でも「自分で作った曲、歌詞なので、感情を込めて歌うことができました」と響華さんが言う通りで、とてもいい感じでサクサクとレコーディングは進みました。

AT4050(上)とU-87Ai(下)の2つのマイクを使って試し録り

このレコーディングではマイクにNeumannのU-87AiとAudioTechnicaのAT4050の2本を用意して試し録り。響華さん、多田さんと、2つのマイクの結果を聴き比べた結果、高域まで広いレンジで録れていたU-87Aiを使うことに決定。レベル調整などの試し録りも終えた上で、途中止めることともなく、フルコーラスを3回レコーディングしてほぼ終了。最終的にそのテイク3を採用することになったのです。

3テイクでレコーディング完了!

ただし、多田さんからの「この歌詞の部分は、もう少し感情を込めた歌い方に」といったディレクションもあって、数か所だけリテイクして完了。トータル2時間弱でレコーディング完了となりました。

レコーディングではPro Toolsを使用

その先は、DTMステーションPlus!の番組スタッフでもある中村太樹君が、ミックスを担当。そしてミックスされた24bit/48kHzのWAVデータを元に、私がマスタリングを担当。ここでは、カップリング曲となる、響華さんが歌う「be with you」と、質感が揃うように調整を行っていきました。

歌詞を確認しながらディレクションする多田さん

ちなみに、この「be with you」の作詞は小岩井ことり@koiwai_kotori)さん、作曲は多田さんという、プレミアム物!以前「演劇の音響にAbleton Liveが使われている!? 田村響華さん、小岩井ことりさんも出演するリーディング&ライブ『Re:Union』の裏舞台」という記事でも紹介した、舞台での劇中歌でありテーマソングでして、今回その特別バージョンとして、響華さんソロバージョンを新たにミックスして制作したものなのです。

その2曲を紹介したビデオがこちらです。

ちなみに、このジャケットは「田村響華と今日からDTM♪」を放送しているメーザー・ハウスのスタジオ。ここで響華さんの写真を撮るとともに、多田さんがPCソフトを使ってトレースしたイラストとなっています。ちなみに、インナージャケットには、元写真も入れてあるので、ぜひ見比べてみてくださいね。

DTMステーションCreativeの第4弾アルバム「Let’s do it !」がようやく完成!

というわけで、この2曲+インストバージョン2曲という構成の4曲入りミニアルバム、「Let’s do it !」が完成し、先日CDプレス屋さんに、オーダーしたところです。前述の通り、リリースはコミックマーケットC96の4日目、8月12日を予定しており、南サ23bのブースでは、田村響華さん、多田彰文さん、そして私の3人でみなさんをお待ちしております。ぜひ多くの方にいらしていただければと思っております。

なお、コミケに行くのは難しいという方もいらっしゃると思います。そうした方のために、DTMステーションCreativeオンラインショップでも入手できるようにしました。発送はコミケ終了後となりますが、こちらもぜひ、よろしくお願いいたします。

コミケ来場特典
8月12日のコミックマーケットにご来場いただいた方限定で、「Let’s do it ! feat.Kyoka Tamura」をお求めいただくと、田村響華さん生写真をプレゼントする準備をしています。3種類(一部本人サイン入り)を用意する予定ですが、どれをお渡しするかはランダムになるので、その点ご了承ください。

【関連情報】
DTMステーションCreativeオンラインショップ
田村響華と今日からDTM♪アーカイブ(ニコニコ動画)

  翻译: