空間コンピューティングや3Dビデオを楽しめる最新ARグラスがこの価格!“XREAL Air 2 Pro”&“XREAL Beam Pro”レビュー

by武者良太

by堅田ヒカル

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空間コンピューティングや3Dビデオを楽しめる最新ARグラスがこの価格!“XREAL Air 2 Pro”&“XREAL Beam Pro”レビュー
 突然だが、読者の皆さんは普段どんなデジタルデバイスを使っているだろうか? 多くはスマートフォンをメインデバイスとして愛用している方が多いんじゃないかな。ポケットに入るコンパクトな1枚板なのに、ゲームも動画再生もSNSへのアクセスもなんでもできる。なんなら動画や写真といった作品/コンテンツ作りにおいても活躍するアイテムだもんね。

 PC=パーソナルコンピューターが世の中に広く行きわたった2007年。現在まで使われているスマートフォンの形をはじめて作り上げたのがアップルだ。

 それまで存在したフィジカルなキーボードつきスマートフォン=PDA(携帯情報端末)よりも画面が大きく、また画面に直接タッチするユーザーインターフェースに僕らユーザーはどう反応していいのか困ってしまう。特に最初期のiPhoneは片手での操作がしづらく、フィーチャーフォンよりも不便だった。

 事実、日本で初めて発売された2008年のiPhone 3Gを前に「iPhoneは電話として不便じゃないですか。電話としてけっきょく使わないから持ち歩かなくなって、誰も持ってないという状態になると思うんですけどね」(ひろゆきさん談)などと言われたが、それから10年も経たないうちにスマートフォンは個人用デジタルデバイスの頂点に立ったのはみなさんご存知のとおり(そして電話以外の使いかたがすさまじい勢いで増えたのもご存知のとおり)。新しくとも僕らの生活を便利にしてくれるモノであれば、そのうち理解者は増えていくってヤツだ。

 長々と歴史話からスタートした理由は、2024年の現在、スマートフォン爆誕時期と同じように、新しい概念を持つデジタルデバイスが生まれてきているからなんだよね。それは空間コンピューティング(Spatial Computing)という機能をもったXRデバイス。

 ヘッドセット型のアップルVision Proや、Meta Quest 3といったモデルは、仮想空間(没入感の強いVR)または拡張・複合空間(周囲の景色にデジタル情報を重ねるAR/MR)にいくつものウィンドウを開いた使いかたをモーレツにアピールしている。実際に体験すると確かにすごい。23インチくらいのディスプレイを5枚も6枚も空中に浮かべているかのような作業空間はSFを感じさせてくれる喜びもある。

 ただし、Vision Proは約60万円(!)とめちゃくちゃ高いし、Meta Quest 3は(精度が上がってきているとはいえ)外界を見通すチカラにやや欠けるためどこでも使えるとは言いにくい。
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ゲームもマンガもアニメも何もかも、いつでもどこでもエンタメを実現する組み合わせ。本稿はそんな“XREAL Air 2 Pro”と“XREAL Beam Pro”の提供でお送りします。
 そんな2024年現在の空間コンピューティングを体験するのに、まったく新しいデバイスがやってきた。それがARグラスのXREAL Air 2 Proと、スマートフォン型デバイスのXREAL Beam Proだ!

サングラスにしか見えないがじつは巨大ディスプレイのXREAL Air 2 Pro

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一見、どこにでもあるようなサングラスに見えるが、じつは最先端の技術が盛り込まれている。写真はファミ通ドットコム編集者の堅田ヒカル。
 XREAL Air 2 ProとXREAL Beam Proは、どちらもARグラス市場でトップシェアを誇るXREALが作ったデバイスだ。

 簡単に説明するならば、これはポケットサイズの外付けディスプレイ。iPhone 15シリーズや高性能なAndroid、またはWindows PCやMacbookと直結するか、HDMI入力が可能なオプションと合わせてSwitchやPS5などとXREAL Air 2 Proを接続すると、眼前に巨大な立体スクリーンが浮かびあがり、接続したデバイスの画面が見えてくる。
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レンズの暗さは3段階で調節可能。XREAL Air 2 Proの右側テンプル下部にあるボタンを押すことで変更できる。よく見るとグラスの色の濃さが変わっているのがわかる……わかりますかね? 使用者側からすると、ふつうのサングラス(左)と暗幕くらい(右)に透過度が変わっている。
 またXREAL Air 2 Proにはエレクトロクロミック調光という、レンズの暗さを変更できる機能がついている。現実がよく見えるし歪みも遅延もいっさいない0%から周囲がまったく見えなくなり映し出される映像に完全に没入できる100%まで、3段階で調整可能なところがおもしろい。
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 電車やバス、飛行機での移動中に巨大な画面でゲームをしたいという願いは誰にでもあるはず。でも大きなディスプレイを持ち歩くというのは物理的に難易度激高だ。そこでXREAL Air 2 ProのようなARグラスの出番となるわけだ。

 ではXREAL Air 2 Proの細部をチェックしていこう。
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リム上部にMicroOLEDパネルが組み込まれ、プリズムによって反射されユーザーの目に映像を届けている。
 一見するとサングラス。それも普遍的なデザインのサングラスだ。しかし上から見ると厚みがあり、光を透かして見るとレンズの向こうにまた1つレンズのようなものが見える。

 じつはこの上部分に、SONYセミコンダクタソリューションの0.55インチMicroOLEDパネルが入っている。その下にあるレンズのようなものはプリズムで、MicroOLEDパネルに映し出された映像を反射して、XREAL Air 2 Proをかけているユーザーの目に届ける仕組みとなっているのだ。

 MicroOLEDパネルの解像度は片目1920×1080ピクセル。輝度が500nitsと高いために、シャープで色味の濃い映像が浮かび上がる。とくに赤色の表現力が高くて見ていて気持ちがいい。フレームレートも最大120Hzと高く、動きの激しい映像を見ても滑らか。3D用カメラなどで撮影したサイドバイサイドの映像であれば、立体的に映し出すことも可能だ。

 左右のテンプル部分に入っているスピーカーの音質も本格的だ。アニメやドラマを見ると声優や役者の声が引き立っているように聴こえてくると同時に、爆発音などの効果音も明瞭感がある。一時期、Bluetoothスピーカーとして使えるメガネが流行して各オーディオメーカーも自慢の製品を開発したが、そういった製品と比較しても同等のクオリティーを実現しているのだからおみごとだ。

 これだけの先端機能が凝縮されているのに、お値段は61980円[税込]。個人的には「安い!」と感じる価格設定だ。

3Dカメラにもなる高性能端末XREAL BEAM Pro

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XREAL BEAM Proの背面。2つのレンズ/カメラが離れているところがキャッチー。
 さまざまな機器と接続できるXREAL Air 2 Proだが、純粋な外付けディスプレイとして使う“Air Castingモード”と、空間コンピューティングを実現する“MRモード”の両方をサポートしてくれるスマートフォンは少ない。じつはiPhone 15シリーズですら、Air Castingモードでしか使えない。XREALによると現状はAndroid端末の一部ハイエンドモデルでしか両方の機能が使えないとのことだ。

 そこでXREALは、XREAL Air 2 Proの性能を最大限活かせるデバイスとしてXREAL Beam Proを開発した。見た目は一風変わったカメラを持つスマートフォンだが、2024年8月6日より発売されるモデルはSIMが挿せないため電話機として使うには向いていない。

 代わりといってはなんだが、XREAL Beam Proはやっぱり安い! メモリ6G+ストレージ128GBで3万2980円[税込]。メモリ8G+ストレージ256GBモデルで3万9980円[税込]というのは、本当にこの価格でいいの!? と思えてくる。XREAL Air 2 Proと合わせても税込み10万円を切る価格で空間コンピューティングが始められるのは拍手するしかない。
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この価格で購入できる3Dカメラはほかに存在しないし、10万円級の3Dカメラ専用機に匹敵するほどの画質のよさを誇る。
 さらに、だ。

 XREAL Beam Proには3Dカメラが搭載されている。iPhone 15 Proの空間ビデオ撮影機能と同じようなものだが、立体感がより強く感じ取れる3D動画が撮影できてしまう。なぜか。その答えが、間延びしたように見えるレンズレイアウトにある。

 XREAL Beam Proの2つのメインカメラは50ミリほど離れて配置されているが、人間の瞳孔間距離(IPD)にできるだけ寄せるために設計されたためだ。左右のレンズが近すぎると近い場所しか立体感が得られなくなりがちだが、XREAL Beam Proで撮るとだいたい2.5mまでなら勢いよく飛び出してくるような3D動画になる。

 解像度は1080p、フレームレートが60fpsというのも利点だ。ペットや子どものようにあちこち動く被写体を撮ってもコマ落ち感がなく満足度が高いのだから。

 画面サイズは6.5インチと大きく、1TBまでのmicroSDカードが使えるスロットも備えている。SoCは最新世代のSnapdragon 6 Gen 1。一昔前のAndroidハイエンドチップに匹敵するパワーを秘めているぞ。

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XREAL Air 2 Proはバッテリーを内蔵していないため、母艦となるデバイスとは有線接続が必須。
 XREAL Air 2 ProとXREAL Beam Proを接続すると、すぐに専用OSであるNebula OSが起動する。そしてXREAL Air 2 Pro側にはインストール済みのアプリアイコンが並ぶ。
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XREAL Beam Pro操作画面。この画面をタッチして、XREAL Air 2 Pro内に表示されるカーソルを操っていく。
 いわゆるこのホーム画面から使いたいアプリを選んでいくのだが、そのときのポインティングデバイスとなるのがXREAL Beam Proだ。XREAL Beam Proを空間マウスとして扱い、選択とタップを行っていく。
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 アプリを起動するとウィンドウがくわっ! と大きく広がる。公称の最大ディスプレイサイズは330インチ。視野角が46度のために、映画館の最前列席に座ったときのような映像に包まれるという感覚は得られないが、デスクトップPCと合わせて使う40~50インチくらいの広さはある。メガネスタイルのデバイスで得られる仮想ディスプレイとしては十分に大きくて驚くことだろう。

 2枚までではあるが、デュアルディスプレイ環境が作れるというのもおもしろい。動画を見ながらSNSで他人の感想を読むといったこともできる。しかし同じアプリのマルチウィンドウ化は不可だったので、ブラウザ画面を2枚出したいときはchrome以外のアプリをインストールしなければならないとはいえ、空間コンピューティングとは何なのかはしっかりと学べる作りだ。

 Google Playでインストールしたアプリがそのまま使えるというのも大きなメリットだろう。NetflixやAmazon PrimeVideo、YouTubeを入れれば、時間がなくて見られなかったタイトルや配信もちょっとした合間に楽しめるんだから。
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 Steam LinkやXBOX GAME PASSなどの、クラウドゲームサービスが楽しめるほどの性能を持っているSnapdragon 6 Gen 1のパワフルさにも驚いた。
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ネット環境さえあれば、最新のバズ動画もいつでもどこでも巨大画面でチェックできる。
 SIMは挿せないが、たとえばいま使っているスマートフォンをテザリングして使用すれば、通勤通学中でも積んでた動画を見たりAAAタイトルゲームで遊んだり、電子書籍を読んで時間を潰せる。

 XREAL Beam ProにはUSBポートがふたつあるから、充電しながらでもXREAL Air 2 Proと合わせて使うことができる。約75gのXREAL Air 2 Proは耳に長時間かけていても疲れにくいし、周囲は見わたせるし、環境音も聴き取れる。

 こんなにもおもしろいデジタルデバイスを触ったのはそうとうに久しぶりだ。
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3D写真を撮るとこんな感じのデータが撮れる。スクリーンショットのため映像が左右に並んでいるが、XREAL Air 2 Proで見ると「触れそう」と脳がバグるほどの立体感が現れる。
 また、XREAL Beam Proで撮った3D動画を見ると、何気なく撮ったシーンでも立体表示されるために印象が段違い。

 2010年ごろからはじまり、いまは開発されていない3Dテレビはコンテンツの少なさが原因して普及しなかったが、XREAL Air 2 ProのXREAL Beam Proの組み合わせならばコンテンツを作れるし、見ることができるわけで、「3D動画が新しいブームになるのでは」とすら思えてくる。

 今後、3D動画のYouTubeやTikTokのようなコンテンツが流行る時代がくるのかと思うと、その時代の有名〇〇Tuber的存在になりたい人はXREAL Air 2 Pro&XREAL Beam Proを手に入れて、いまのうちからさまざまな動画を撮っておくと、2024年の時代をいつでも立体視できるコンテンツ資産として持つことができるぞ!

まとめ

 というわけで、 “XREAL Air 2 Pro”と“XREAL Beam Pro”の紹介レビューをお届けした。改めてまとめておくと、本製品はお手軽に空間コンピューティングが楽しめる製品(のセット)。

 厳密には単品ずつ使用することもできるが、セットの製品として考えたほうがいいだろう。

 2商品を合わせて買っても税込み10万円以下というのは(一見高額なのだけど)破格で、(一見高額なのだけど)じつにコストパフォーマンスがいい設定となっている。

 空中に2画面を浮かべて使用する使用感はなかなかに未来的で、移動時にも自分好みの映像コンテンツやゲームを大画面で楽しめるのは非常に便利だ。

 さらに“XREAL Beam Pro”のカメラで撮影した3D写真/動画を鑑賞していると、その独特の魅力に改めて驚くとともに、撮影と鑑賞の手軽さがとてもうれしい。自分で撮影した写真だけでなく、本製品が普及することで大勢が撮影したコンテンツを楽しんでみたい。

 一点懸念があるとすれば、むしろ端末性能とは関係のないハード側(メガネ側)のつくりの部分が筆者には少々タイトに感じられ、長時間掛けているとメガネのつると顔が接触する部分に違和感が出てくることがある。そんなときは、メガネのテンプル(つる部分)の角度が3段階調整可能なので、試してみると緩和されるかもしれない。
※上の投稿は“NrealAir”のものだが、本製品にも同様の調整機構が備わっている。
 このあたりは個人差があり、購入前に試着、試用ができる機会があるといいと思うのだが……メーカーのイベント施策や電器店店頭でのチャンスが増えることを期待したい。

 総合的には、「なるほど空間コンピューティングとはこういうものか」という未来的使用感をコスパよく試せる機会、おもしろいデバイスであると感じている。読者の皆さんにも機会があればぜひ試してほしい。

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