森保ジャパンには「攻撃の原型がない」 チームの狙いを示す「言葉」の少なさを金田氏が懸念
チームに“攻撃の原型”がないから「相手の変化にも対応できない」
「メキシコが修正してきたことを、監督と選手みんなが理解してピッチに立てているのか。分かっていて監督が指示を出していても、選手が表現できていないのか。そこの細かい部分は私も分からないが、試合を見る限り、南野と橋本が投入された時点で日本がメキシコの変化に対応するために、何か明確な狙いを持って戦い方を変えたという部分が見当たらなかった。ピッチに投入された2人が、監督の指示を受けて周囲の選手と密に話し込むようなシーンもない。監督の狙いを体現したメキシコと比較して、試合展開に応じた判断力や修正力、そして『自分たちはこんなサッカーをするんだ』というチームとしての理解度の差を感じずにはいられなかった」
もっとも金田氏は、メキシコ戦で2失点を喫したものの日本代表の守備面には一定の評価を与えている。10月から行われた欧州遠征の4試合を振り返っても、「共通理解のベースとして守備がある。誰が出ても献身的に、チームのために攻守の切り替えを早く、運動量を落とさずにやっていく。守備面において森保イズムは浸透してきている」と分析した。
一方、4試合で2得点、しかも流れのなかからゴールが生まれなかった点については、「攻撃においてベースとなるようなチームの原型がない」と指摘する。
「森保監督という非常に人間性の整った指導者が、守備からチームを作りたいという思いは当然理解できるし、それは就任から2年以上が経過して形になってきている。一方で相手を崩して、点を取らないと勝てないサッカーというスポーツにおいて、どこに起点を作り、どのように連動して攻めていくのかという共通理解の部分が見えてこないのには、いくら代表活動の期間が限られているとはいえ不安が募ってしまう。
チームに攻撃の原型がないから、相手の試合中の変化にも対応できないのではないか。前半のように中を崩せないのなら、チームとしてサイドをどのように攻略しようとしているのか。ボール保持者の仕掛け方、サポートする選手の動き方にしても、最後まで共通理解の下での狙いを持ったプレーには見えなかった」
選手個々の能力について、金田氏は日本とメキシコの間にそれほど大きな差があるとは感じていないが、だからこそチームとして先手を取れるか、あるいは後手を踏んだ時にいかに素早く修正できるかなど、細かい部分がスコアとして試合結果に表れてくるという。