パワフルプロ野球2024―2025(ニンテンドースイッチ版)のパッケージⓒNPB/Konami Digital Entertainment

 野球ゲームファン待望の「パワフルプロ野球2024-2025」が7月18日発売された。ひいきの選手の能力値がどれくらい上下したかファンとしては気になるところだが、納得のいく「査定」ができているかどうかはゲーム制作側の腕の見せどころ。では一体、どのように選手を評価しているのか。KONAMI(コナミ)の担当者に聞いてみた。

 選手の分析に当たって不可欠なのは情報収集。ゲーム制作チーム内には「選手データグループ」という集団があり、12球団にそれぞれ1人担当が就き、球団の動向を追っているという。担当者は「プロ野球中継の試合はほぼ全試合録画し、いつでも確認できるようにしている」と話す。詳細な成績データについては、「Japan Baseball Data」から提供を受ける徹底ぶりだ。

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 今でこそインターネットによって情報収集は比較的容易になったが、パワプロ初期の時代はネットがなく、「全国のスポーツ紙を取り寄せたり、スポーツ雑誌、書籍、テレビ・ラジオ視聴、球場での観戦に頼ったりしていました。当時はパ・リーグの情報が少なくて困りました」と振り返る。

 徹底した情報収集を基に選手能力を査定していくわけだが、「打率からミート、本塁打数からパワーなど、分かりやすい成績から選手データに落とし込むある程度の目安はあります」と担当者。そこにセイバーメトリクス(統計学的見地から選手を評価する分析手法)や、直近数年の傾向などを加味して能力値や特殊能力を提案する社内ツールがあるという。

 最終的には「選手データを見ただけでどの選手か分かる」を目標に調整を入れていくという。 またペナントレースモードでユーザーに長い期間楽しんでもらうことを想定し、「短いスパンの活躍や不振にまどわされず選手本来の実力を見極めて査定することも大切にしている」と強調する。

 今作では数多くのOB選手が登場するが、OB選手の能力値については「各選手の年度別成績を参照し、キャリアハイと思われるシーズンを主な参考年度にして、その選手の球団在籍期間の特徴を表現できるように設定した」と説明する。

 ちなみに登場させるOB選手の選考基準は「各年代の球団を代表する選手を集結させたいという想いで選出させていただきました」と話す。時を超えてスター選手たちの競演が楽しめる今作。選手だけでなく、ゲーム制作側の情熱も感じながらプレーすると、またひと味違う楽しみ方ができるかもしれない。