惜しげもないですよ。
ソニーから最新のフラッグシップスマートフォン「Xperia 1 Ⅵ(エクスペリア ワン マークシックス)」が、満を持して登場しましたね。国産Androidの雄の最新モデル!
それはそうと、皆さんはXperiaにどんな印象を持っていますか? 「ソニーのスマホだよね」くらいの感じかなと思うのですが、そもそもソニーって色んな家電を作ってますよね。テレビ「ブラビア」、デジタルカメラ「α(アルファ)」、オーディオ「ウォークマン」など。
Xperiaは、それらのノウハウを一点に集約したオールスター的な存在でもあるんですよ。全方位に惜しげもなく機能が盛り込まれているんですが、その中でも今回のモデルはカメラ機能がものすごく進化したんです。だって、今までのスマホでは諦めてたアレができるから!
85mm-170mmはなんと光学ズーム!
「Xperia 1 Ⅵ」は、16mm、24mm、そして85-170mmの光学望遠ズームを搭載したトリプルレンズ構成になっています。やはり特徴的なのは85-170mmの光学ズームでしょう。
一般的なスマホカメラでもズーム撮影は可能ですが、多くのズームはデジタルズームといって、デジタル画像を拡大しています。画質の劣化を抑える技術はあるものの、その仕組み上どうしても画質が落ちてしまい、望遠撮影はスマホカメラの弱点とされていました。
一方で「Xperia 1 Ⅵ」の光学ズームは、デジタルではなく物理的にレンズの位置を動かしてズームしていることを指します。いわばデジカメのズームレンズを動かしているのと同じ原理であり、デジタル的な拡大ではないため画質が劣化しません。これってすごいことなんですよ。
これまでのスマホではなし得なかった、ハイクオリティなズーム機能。これに加えて、テレマクロ(望遠でのマクロ撮影)と、豊かなダイナミックレンジが「Xperia 1 Ⅵ」の強みです。
16-170mmの圧倒的広範囲をフォローするズーム域
こちらは16mm、いわゆる超広角レンズで撮影したもの。ここから撮影位置を変えずに、ズームしていきます。写真中央に何やら人が映っていますね。
24mmでの撮影。このレンズはメインカメラで、4800万画素の高解像度センサーが使われています。
48mmでの撮影。高解像度のメインカメラの中央部をクロップしているため、デジタルズームと違い画質の劣化がなく、約1200万画素で記録されています。4眼レンズのスマホライクに使えるのは強い。
85mmでの撮影。さぁ、次の写真から85-170mmの光学望遠ズームの領域に入っていきますよ。
120mmでの撮影。本来ならデジタル拡大されがちな距離ですが、光学ズームしているため画質は劣化していません。
170mmでの撮影、光学ズームの最望遠側ですね。はじめにお見せした16mmの写真と見比べると距離感が全然違いますし、これらを画質の劣化なくズーミングできていることが本当にすごい…!
16mmと170mmの写真を比較したのがこちら。撮影位置を変えることなく、ここまで写真表現を変えることができるのは驚きですよ。
各レンズの焦点距離を順番に見てもらいましたが、光学望遠ズームの部分だけを見るとこうなります。
3.5x-7.1xと書いてある部分が85-170mmの焦点距離になります。一般的なスマホでは連続的にズームしているあいだは基本的にデジタルズームになるものの、「Xperia 1 Ⅵ」はどの距離においても光学ズームになっている、すなわち画質が劣化していないというわけです。やってること、ほぼデジカメでは…?
もはや顕微鏡の世界…撮影倍率2倍のテレマクロ撮影
お次は対象物にグっと近寄れるマクロ撮影を試してみましょう。「Xperia 1 Ⅵ」はカメラモードに「テレマクロ撮影」があり、120mmの望遠カメラを使ったマクロ撮影が楽しめます。これもすごく面白いですよ。
被写体はこちらのお花たち。この写真は24mmのメインカメラで撮影しました。次にテレマクロモードを起動して、120mmにして被写体に近づいてみましょう。
スマホでのマクロと聞くとこれでも十分な気はしますが、実はまだ本気出してません。本気を出すと…。
なんと、ひまわりのめしべやおしべにまで近づけてしまう! ここまで来るともはや顕微鏡の世界ですね…。お花だけでなく木材やコイン、小さな昆虫など、色んな被写体を撮影してみたくなります。
今度はもう少しアートっぽいマクロ撮影をしてみましょうか。お花の配置を変えて…。
紫の花の向こうに色とりどりのボケを作ってみました。テレマクロ撮影は非常に柔らかなボケを作れるので、かなり本格的な作品撮りも楽しめますよ。そもそも撮影倍率2倍ってコンパクトデジカメでもあんまりないレベルですからね。
テレマクロは被写体から離れた位置から撮影ができるため、マクロ撮影にありがちなスマホの影が入ってしまう問題も解決できます。観葉植物やガラスのコップなど、身近な被写体をテレマクロで覗けば、新しい世界が見えてくるかも。
ミラーレス一眼並のダイナミックレンジ
次はダイナミックレンジ、すなわち明暗差の表現力を見ていきましょう。夕焼けや夜景のような明暗差が大きい環境での撮影は、スマホカメラが特に苦手とするところです。どうしても明るい部分が白とびしたり、暗い部分が黒つぶれしたりするんですよねぇ。
しかし、「Xperia 1 Ⅵ」はソニーのデジカメαシリーズのノウハウを持っています。実際に夜景を撮影してみましたが、その実力は…!
めっちゃきれいじゃないですか…!
ライトアップされた東京タワーを撮影しましたが、照明が当たっているハイライトと建物のシャドウがバランスよく表現できています。ちなみに24mmのメインカメラで撮影しています。
中央部分を拡大。細かな鉄骨やシャドウの表現もお見事です。正直、さっきの写真を見てスマホでパシャっと撮っただけとは思えないですよね。三脚とデジカメでガッツリ撮影しましたと言われても不思議ではない。
スマホカメラのダイナミックレンジを維持しようとすると、コンピューティング処理された不自然な写真になるケースも少なくありません。「Xperia 1 Ⅵ」の写真はあくまで不自然に見えない範囲で明暗の情報を残しており、人の目で見た印象に近い自然な見え方になっています。
スマホであるからこそ、ディスプレイの選択
ここまではカメラ性能を見てきましたが、「Xperia 1 Ⅵ」はディスプレイもやばいってことを伝えさせてください。「Xperia 1 Ⅵ」のディスプレイは19.5:9で、今までの縦長モデルに比べるとやや短く持ちやすいスタイルに変化しました。
また、前モデルの解像度が4Kだったのに対し、「Xperia 1 Ⅵ」の解像度はフルHD+とややダウングレードしています。でも個人的に驚いたのが、発色の綺麗さです。
ディスプレイの色表現はフラッグシップ有機ELテレビのBRAVIAシリーズを参考にしていて、今回はAIを使ってよりテレビの色表現に近づけることに成功しています。輝度も前モデルから50%アップしており、さらにディスプレイの輝度を周囲の環境にあわせて変化させる「サンライトビジョン」機能のおかげで、晴天下でも高い視認性を誇ります。
スペックだけ見ると4K→フルHD+と下がっているものの、ディスプレイ体験そのものはむしろ向上しているというのが、率直な感想でした。特に色の綺麗さはスペックだけでは想像しづらかったポイントで、目が喜ぶディスプレイというか、心地良い発色をしてるんですよ。これはぜひ体験してみてほしい…。
しかも、4Kではなくなったものの、新ディスプレイのおかげで可変リフレッシュレートが可能となり、バッテリーは2日間もつようになりました。スマホにおいてバッテリー時間が増えるのは一番ありがたいまである。
ソニーらしさを残したイヤホンジャック
Xperiaシリーズは音質の良さにも定評があるのですが、それもそのはず。ソニーは数々のイヤホンやウォークマンを手掛けてきたし、ハイレゾコーデックのLDAC(エルダック)の開発元でもあります。
だからこそ「Xperia 1 Ⅵ」が、3.5mmイヤホンジャックを残してくれているのはありがたい。しかも今回のモデルは新しいオーディオICを搭載し、有線イヤホンでの音質がさらに向上しました。低ノイズ&音のクリアさを、さらに突き詰めたかたちです(普通、スマホでここまでする?)。
実際にハイレゾ対応の有線イヤホンで聞いてみても、低音の迫力も高音のヌケもとっても心地良い。Xperiaシリーズをウォークマンとして使いたくなる気持ちがよくわかりました。ワイヤレスと有線、どちらでも高音質な音楽を楽しめますね。
諦めなくていいスマホ
望遠側のデジタルズームやダイナミックレンジの表現など、「まぁ、スマホカメラだからね」で諦めていた部分がなくなった。むしろ、「Xperia 1 Ⅵ」を持っているからこそ撮れる写真もあるなと感じました。
例えば、これまでは本格的な望遠撮影はデジカメが必須だったけれど、「Xperia 1 Ⅵ」は光学望遠ズームができるから機材を持ち歩かなくてもOK。それだけでも、今まで見逃していた多くのシャッターチャンスをスマホだけでフォローできるようになります。バッテリー持ちも良いから、一日中撮影を楽しめますね。
改めて振り返ると「Xperia 1 Ⅵ」はスマホカメラのステージをまたひとつ押し上げた、と呼ぶべき特異点かと。もはや「あ、カメラ構えよう」という意識でスマホを構えていたほどですから。
Photo: Daisuke Ishizaka
Source:Xperia 1 Ⅵ
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