「痴漢」被害、10人に1人の若者が経験。最も多い時間帯や場所は?「レイプドラッグ」も“今まで以上に対策が必要”

10人に1人が痴漢被害、100人に1人が「デートレイプドラッグ」被害に遭ったことがある。性犯罪に関するこんな調査結果が内閣府から発表されました。

10人に1人が痴漢被害に遭ったことがあるーー。内閣府がこんな調査結果をまとめ、7月4日に公開した。

10歳代で初めて痴漢被害に遭った人が多く、被害に遭った時間帯や場所は「午前6〜9時」と「電車内」が最多だった。

一方で、実際に被害を受けた際、多くの人が「何もできなかった」「怖くて体が動かなかった」ことも判明した。

また、睡眠薬などを悪用した「デートレイプドラッグ」被害についても、100人に1人が「ある」と回答しており、「今まで以上に行政などによる対策が必要だと思うもの」として挙げられている。

16〜29歳の3万6000人が回答

「若年層の痴漢被害等に関するオンライン調査」 は2月6〜29日、全国の16〜29歳を対象にインターネット上で実施。3万6231人が回答した。

「これまでに被害を受けたことがある性暴力の被害」(複数回答)については、「痴漢」が最も多く、10.5%(3804人)に上った。

内訳は、女性が13.6%、男性が3.6%、その他が11.2%で、19.4%「日常的な外出時に痴漢に遭うのではないかとの不安を感じている」と回答したという。

痴漢に次いで多かったのは、「同意のないわいせつな行為」(7.8%)。以降は、「セクシュアルハラスメント」(7.3%)「SNSを通じて性的な画像や動画を送るよう要求された」(5.8%)などと続いた。

また、睡眠薬などを悪用して相手の意識をもうろうとさせた上、性的暴行を加える「レイプドラッグ」被害に遭った人も1.0%いた。

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痴漢被害に遭った時間・場所は?

痴漢被害に遭ったことのある人のうち、2346人に「痴漢被害に遭ったことのある回数」を聞いたところ、最多は「1回」42.2%だった。

続いて、「2回」(27.3%)「3~5回」(23.4%)「6〜10回」(3.6%)で、「11回以上」と答えた人も3.4%いた。

「初めて痴漢被害を受けた時の年齢」については、「16~19歳」(46.4%)「15歳以下」(35.4%)「20〜24歳」(16.3%)「25〜29歳」(1.9%)の順となり、ほとんどの人が10歳代で初めて被害に遭っていたという結果となった。

また、「痴漢被害に遭った時間帯」「午前6〜9時」(34.5%)が最も多く、「午後6〜9時」(18.2%)「午後3〜6時」(17.3%)と続いた。通勤・通学の時間に集中していることがわかる。

「痴漢被害に遭った場所」に関しては、「電車内」(62.8%)が最多で、「駅構内(階段・エスカレーター)」(2.7%)「駅構内(ホーム)」(2.5%)「駅構内(前述以外の場所」(2.0%)を合わせると、電車や駅構内は計70%になった。

電車内の次は「路上」(13.0%)ショッピングモール等の商業施設(4.3%)などとなったが、アルバイト先や学校、塾などが入る「その他」2.9%いた。

痴漢被害にあった時間と場所
痴漢被害にあった時間と場所
内閣府「若年層の痴漢被害等に関するオンライン調査」報告書から

痴漢被害の内容は?その際の対応は?

被害内容(複数回答)は、「服の上から体を触られた」(73.6%)「体を密着された」(29.7%)「直接、体(素肌)を触られた」(12.8%)「下着の上から体を触られた」(7.8%)という順だった。

一方、「被害に遭った時に取った対応」は、「とっさのことで何もできなかった」(42.7%)「怖くて体が動かなかった」(32.5%)「我慢した」(30.3%)、が上位3つで、「周囲に助けを求めた」人は2.9%しかいなかった。

また、「警察や関係機関の職員には知らせなかった」人も、5人に4人の割合(80.4%)に上った。

理由(複数回答)は、「おおごとにしたくなかったから」(41.1%)「学校や仕事に遅れると思ったから/急いでいたから」(22.8%)などが挙げられていた。

「被害後に生じた生活への影響」も大きく、17.5%「外出するのが怖くなった」と回答し、「被害を受けた時の感覚がよみがえるようになった」(14.6%)「異性と接するのが怖くなった」(13.1%)、という人もいた。

このほか、「今まで以上に行政などによる対策が必要だと思うもの」について、回答者3万6231人に3つまで選んでもらったところ、「同意のない性交など」が最多の24.1%だった。

次いで、「痴漢」(21.4%)、「同意のないわいせつな行為」(21.2%)、「レイプドラッグ」(17.4%)だった。

なお、レイプドラッグについては、事件当時の記憶をなくす「一過性前向健忘」により、被害状況をうまく説明できなくなることがある。

「記憶がない」や「断片的」は決して奇妙なことではなく、犯罪の「キーワード」であるため、すぐに警察や支援団体に相談することが重要だ。

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