(この記事はフィクションです。一部、実在の人物や団体などとは関係ありません)
2023年4月27日より、日本ファルコムから『イース・メモワール -フェルガナの誓い-』が発売されます。本作は『イース』シリーズ3作目である『イースIII(ワンダラーズ フロム イース)』リメイク作品を更にHDリマスターしたもの。ビジュアル&システムに新規要素を加えたファン待望の新作として、この春よりリリースされるのです。
『イース・メモワール -フェルガナの誓い-』公式サイト――春。それは、希望に満ち溢れた季節。雪解けが終わり、ふきのとうがいっせいに芽を出す季節。人々が水を掛け合って愉快そうに微笑むソンクラーンで賑わう季節。豪奢に着飾った群衆が狂騒の渦に包まれるフェリア・デ・アブリルの季節。そして新鮮なフレッシュ・フルーツのようなみずみずしさと、太平洋を跳ねるまぐろのような活力を兼ね備えた新入社員が、「社会進出」という新たな冒険に乗り出す季節……。
もちろんインサイド編集部にも春が訪れます。新鮮でみずみずしく活力に満ち、フレッシュ・フルーツやまぐろにも喩えられる新人たちが、まもなくその姿を見せ始めるところです。
ある日、インサイド編集部のセールス担当として4年目のJくんは「自分が新入社員だった頃」のことを振り返りながら考えていました。
かつて自分を導いてくれた先輩たちのようになるには、どうするべきなのだろう? 自慢の豪腕で道中を塞ぐ岩を持ち上げ、通れなかった山道を拓いてくれた先輩のAさん。乗っていた軽トラが故障して足止めを食っていた中、超人的な膂力(りょりょく)でグイグイ押して移動させてくれた先輩のBさん。ダイナーに突如現れたいじわるな元軍人をアームレスリングでねじ伏せていた先輩のCさん……。
Jくんの脳裏に浮かぶ先輩たちに共通していたのは、“スピード”でした。思い返せばみんな仕事の速さが尋常でなく、とにかくものすごいスピードで出世していったのでJくんと過ごす時間も高速で過ぎていき、彼らから教わったこととか思い出とかそういうのも全部曖昧でした。
「僕は後輩に何を教えられるんだろう……」
ストレスのせいでJくんはいつもとだいぶ違うタッチになってしまいました。日頃から仕事が遅れがちな彼も、本当はかつての先輩たちのようにスピーディーに働き、新入社員のお手本のような存在になりたいのです。
プレッシャーでどうにかなりそうなJくんでしたが、ゲームメディア編集部ということで息抜きの選択肢には困りません。様々なゲームのパッケージが散らばる中で運命の歯車が回り、彼は日本ファルコムから編集部宛に届いていた発売前の『イース・メモワール -フェルガナの誓い-』を遊び始めました。
この作品で語られるのは、後に「世紀の大冒険家」となるシリーズ主人公“アドル=クリスティン”の物語。古代王国「イース」を巡る大冒険の2年後、アドルは相棒である元盗賊“ドギ”の故郷である「フェルガナ」に向かいます。
アドルは「レドモント」という街を訪れ、近くの採石場でモンスターが現れ始めていることを聞かされます。そしてアドルは、レドモントの町長や鉱山を取り仕切る鉱夫を助けるべく「ティグレー採石場」へ向かう……というのが、本作のストーリー導入です。
HDリマスタリングと高音質化が施された現代的なビジュアルとサウンドは、『イース・メモワール -フェルガナの誓い-』の特徴のひとつ。さらに本作には「VERY EASY」から「INFERNO」まで用意された幅広い難易度設定やアクションゲーム初心者向けの「Not Fall」モードが搭載されているほか、“倍速プレイで爆速攻略”ができるハイスピードモードを収録しています。
Jくんはひらめきました。「初めて遊んだゲームだけど、なんだかとてつもなく面白くて遊びごたえがある」「搭載されているハイスピードモードで初見クリアしたら“仕事をこなす速さ”も身につくし、立派なビジネスパーソンとして新入社員を導けるかもしれない」――そう確信したJ君は、早速「ティグレー採石場」の攻略からハイスピードモードで挑戦。通常の2倍の速さでゲームをプレイし始めたのです。
長く続く『イース』シリーズの中でも、本作は特に高難度と言われている作品です。もちろん一朝一夕でクリアできるはずがないのですが……。
曲がりなりにもゲームメディア関係者ですからゲームへの順応力は高く、あんがい初見で良いところまで行ってしまいます。『イース・メモワール -フェルガナの誓い-』は2DアクションRPGとしてオーソドックスかつ軽快なプレイフィールで、基本的な操作は初見の方でもきっと覚えられるでしょう。
難所があったとしても、マップの形や敵のモーションなどを観察すれば対応できるはず。今回Jくんは無心でゲームプレイを開始していたので難易度は「NORMAL」を選択していましたが、アクションゲームが苦手な方でも「VERY EASY」かつ「Not Fall」を併用すれば安心です。
しかし前述のとおり、『フェルガナの誓い』は『イース』シリーズでもやりごたえを持つ作品です。走り出しは良かったものの、強敵「ギャルバ」を前にして、Jくんは割とすぐに「冷静に考えたらゲームが上手くなっても会社員としてどうこうなる訳じゃあないよな」と半ば諦めつつ、目の前に積み上がっていた大量の仕事のことを思い出していきました。
積もり積もった未返信のメール、ひっきりなしに通知音を鳴らし続けるスマートフォン、なんかの資料を一生印刷し続ける社内のプリンター(駆動音もどこか悲しげ)、仕事量と正比例していつもよりキーの数が増えているキーボード(見たことない文字とかがめっちゃ書いてある)、時間を追うごとに長く長く伸び続けるマウスのケーブル……。これは、忙しさが見せる幻なのでしょうか? それとも、社会の歯車としての彼が軋み始めた証なのでしょうか? Jくんは弾幕のように増えていくタスクを見てとうとうちょっとだめになってきてしまい、オフィスの扉を勢いよく開けて走り出しました。
こうなるとJくんの頭の中は、階段のことでいっぱいです。もはや階段を上り下りすることしかできなくなってしまった彼は、大臀筋とハムストリングスと下腿三頭筋に刺激を与えることだけに幸福を覚えており、さながら快楽を追求するマシーンの様相。ゴウン、ゴウンと野太い轟音を鳴らす巨大な歯車はどこか官能的でもあり、とにかく彼の頭の中で回転し続けます。
しかし僅かに残っていた彼の正気が、うっすらと「ティグレー採石場」で体験したゲームプレイのことを振り返らせました。『イース・メモワール -フェルガナの誓い-』で味わえるアクション性は豊かで王道的。階段昇降ってがむしゃらにやるとふつうに危ないし、あんがい冷静に上ったり下りたりしていたJくんは、「これって高い精密動作性が求められる『ハイスピードモード』のプレイに活きてくるんじゃあないのか?」と薄々勘付いていました。
ひとしきり下半身を刺激したJくんですが、まだまだ落ち着いたりしておらず、今度はオフィスにあった机を勝手に片付けてプッシュ・アップを始めてしまいました。こうなると彼は止まることを知らず、同僚が声をかけても聞く耳を持たないし、会社員というよりプッシュ・アップの魅力に取り憑かれたテストステロンの奴隷です。これはあんまりゲームと関係ないけど血行が促進されると頭の回転も良くなるし活力に満ちてくるので、大まかには正解だったと言えます。
頭の回転が早まって微妙に現実を思い出してきたJくんは、溜まっていた仕事を猛スピードで片付け始めます。よく見たらキーボードだっていつものQWERTY配列だし、マウスだってそもそも無線だったし、冷静になるとなんだってこなせるようになるものです。
しらみつぶしに通知をチェックして、チャットAIや定型文コピペに頼ることなく「お世話になっております。インサイド編集部のJです」的なビジネスメールを手打ちで送りまくり、オンライン営業活動で何件ものビデオ通話に参加したJくんは、またひとつの真理に気付きます。「溜め込んだ“敵”を一気に片付けるのは良い経験になる」ーーそう、これは『イース・メモワール -フェルガナの誓い-』も同じことなのです。
『イース・メモワール -フェルガナの誓い-』の魅力はアクション性の高さだけではなく、“RPG”としての確かなバランスにもあります。装備品を整えたりスキルを上手く扱ったりするという基本的なところはもちろん、RPGにはおなじみの「レベル上げ」だって攻略の重要ポイント。わんさか集まった敵を一網打尽にすることで「exp rate(経験値獲得レート)」を高めれば、戦闘を通したレベルアップもどんどん早まるのです。爽快感とゲームを進める楽しさを同時に味わえる、気持ちの良いシステムですね。
こうして「筋トレしたら全てが上手くいく」みたいな新書っぽいエピソードを身を以て体感したJくん。やらねばならぬタスクも片付いたし、営業の結果も上々。身体も健やかになって完璧な一日を終えるところですが、彼にはまだやり残した仕事があります。
それは『イース・メモワール -フェルガナの誓い-』で彼を圧倒した強敵「ギャルバ」の打倒です。いくら仕事を片付けるスピードが高まっても、ゲームが上手くなくてはインサイドのセールス担当として後輩に示しがつきません。
まずは目を慣らすために、Jくんは『イース・メモワール -フェルガナの誓い-』トレイラー映像のハイスピードモード紹介シーンをYouTubeで2倍速で視聴しました。そもそもハイスピードモードは通常の2倍速ですので、等速プレイの『イース・メモワール -フェルガナの誓い-』と比べるとやべえ速さでちょっとビビりますが、実際目は慣れるんで人間ってすごいなと思います。
次は、そんな速度についていくための反射神経トレーニングです。幸いなことに彼の会社では天井から定規がよく落ちてくるので、このトレーニングに困ることはありません(上階にある企業もいろいろ限界で、それなりに異常なのでしょう)。
とにかくやる気に満ち溢れている状態なので、いつもなら頭にガンガンすごい勢いで刺さってくる30cm定規を今日はワシッと掴めました。この調子なら、『イース・メモワール -フェルガナの誓い-』で強敵が放つ激しい攻撃をいなしながら、タイミング良く攻撃を繰り出すことも難しくありませんね!
難しくありませんでした!Jくんは見事やってのけたのです。テストステロンを分泌し、ビジネスパーソンとしての経験を一気に重ね、反射神経を養ってきた彼は、自然と『イース・メモワール -フェルガナの誓い-』の攻略のコツを身に着けていました!こうして、彼は見事序盤の山場となる「ギャルバ」戦を初プレイにもかかわらず“ハイスピードモード”でクリアしたのでした。
彼が悪戦苦闘する様を見守っていた側としては、突然カメラに向かってゲームの感想を述べてくるのは「ハウス・オブ・カード」みたいでちょっとびっくりするのですが、やっぱり難しいゲームプレイを見事完遂したときの達成感は素晴らしいものですよね!こうして得た達成感は、ゲームはもちろん日常生活にも生きてくるはず。自信満々の面持ちで新入社員たちを指導するJくんの姿も、想像に難くありませんよね。
そして、重要なことがもうひとつあります。『イース・メモワール -フェルガナの誓い-』で達成感を得るための努力はそう難しいものではなく、きちんと敵の攻撃やマップを観察したり、装備強化やレベル上げを続ければ絶対にクリアできるということ。通常速度でも弾幕シューティングさながらの攻撃が迫りくる本作ですが、見た目以上に難易度のデザインは優しめなのです。
本作は「遊び続ければプレイヤーも自然と成長していく」という、アクションRPGとしての根源的な面白さを丁寧に抑えています。もしかすると「長年続くシリーズに途中から手を出すのはちょっと……」と思われているシリーズ初見の方もいらっしゃるかもしれませんが、優れたバランスと“今風”な要素を備えた『イース・メモワール -フェルガナの誓い-』だからこそ、新たに飛び込むチャンスとも言えます!
シリーズ屈指の名作として名高い作品をHDリマスターした『イース・メモワール -フェルガナの誓い-』は、ニンテンドースイッチ向けに2023年4月27日より発売予定。初体験の方でも馴染みやすい現代的なビジュアルとサウンドだけでなく、長年のファンも嬉しいクラシックバージョンのイラストと音声も収録しており、いつでも切替可能。まさしく「決定版」と言える一本なので、ぜひ手にとってプレイしてみてはいかがでしょうか!
『イース・メモワール -フェルガナの誓い-』公式サイト