NVIDIAは9月22日、同社製の3D描画技術を初めて盛り込んだ携帯電話向けグラフィックスチップ「GoForce 3D 4500」を発表した。現在、サンプル出荷中で、同チップ搭載製品は2005年前半に市場投入される見込み。
同チップは、「PC向けグラフィックスチップで培われた経験を盛り込み、PCベースではなく携帯に最適化された新開発3Dコアを搭載した」(NVIDIAのハンドヘルド製品担当シニア・プロダクト・マネージャのバリー・ソロモン氏)ものだ。
PC向けの“GPU”に対して、新たに“WMP”(Wireless Media Processor)のブランド名を付けた。
NVIDIAは、2007年には売上ベースで、ゲームプラットフォームの30%を携帯電話が占め、「ゲームボーイ」やPCを抜いて首位に立つと見ている。現在のところ、ゲームプラットフォームとしての携帯電話の規模は小さいが、「1年から1年半で状況が変わっていく。GoForce 3D 4500を使った製品が出れば、それが弾みになる」とソロモン氏。
実際、GoForce 3D 4500は、携帯向けとしては画期的な3D性能を持つ。3Dコアはコードネーム「AR10」と呼ばれていたもので(7月23日の記事参照)、ハードウェアベースのジオメトリエンジンを内蔵し、GeForoce3シリーズ並のプログラマブルシェーダを持つ(7月26日の記事参照)。
従来チップ「GoForce 4000」の2倍に当たる1280KバイトのSRAMを内蔵し、外部メモリなしで大容量のマルチメディア処理が可能。3Mピクセルまでのカメラに対応。MPEG-4/H.263のエンコード/デコードも行える。
特徴 | 仕様 |
---|---|
3Dトライアングル | 108万トライアングル/秒 |
3Dピクセルフィルレート | 7200万ピクセル/秒 |
ピクセルフィルレート(霧、複合テクスチャ、鏡面カラー) | 1800万ピクセル/秒 |
定格消費電力(2D) | 5ミリワット未満 |
定格消費電力(3D) | 30ミリワット |
リーク | 50マイクロワット未満 |
同社が「nPower」と呼ぶ低消費電力技術により、描画時の消費電力も、PC向けの15分の1程度に抑えた。
GoForce 3D 4500の普及については、3D描画性能だけでなく、NVIDIAブランドを大いに活用する考えだ。「技術そのものも(NVIDIAの)アドバンテージだが、グラフィックスコンテンツでの経験と、ゲーム会社とのパートナーシップが強み」(ソロモン氏)。
携帯電話向けチップには、通信処理をつかさどるCPUを含んだベースバンドチップのほか、アプリケーション処理を一手に引き受けるアプリケーションプロセッサ、動画処理など個別の機能に特化したコンパニオンチップなどがある。
アプリケーションプロセッサの採用により、メーカーは通信部分を変更することなく機能強化が可能になる。ただし、昨今はコスト引き下げのため、搭載チップ数を減らし、ベースバンドチップに各種機能を盛り込んだ統合チップも増えてきている。GoForce 3D 4500のようなコンパニオンチップは、その中間を狙う。単機能だが、アプリケーションプロセッサよりも低価格なのが特徴だ。
「コンパニオンチップのほうが、フィーチャーホン(統合チップを利用した端末)に適している。端末メーカーにとっても使い勝手がいい」(ソロモン氏)。
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