総務省の800MHz帯再編案にソフトバンクが反発、行政訴訟に踏み切った問題で(10月13日の記事参照)、KDDIの小野寺正社長が改めてコメントした。今回の総務省案は“周波数をより利用しやすいよう整理したにすぎない”と説明した。
小野寺氏は「これまで何回も申し上げているとおり。周波数の使い勝手が悪いものを、再編成した」との見方を示す。
使い勝手が悪い――という理由は、簡単に説明すれば日本の携帯向け周波数が“上り下りが海外と逆”になっているからだ。世界的には、より低い周波数を上りに使い、高い周波数を下りに使うのが一般的(2003年12月4日の記事参照)。ところが日本では、テレビ放送との干渉問題から低い周波数を下りに、高い周波数を上りに使っている。
このため、九州地方などでは韓国と帯域が干渉するケースがある。海外ローミング可能なGLOBAL PASSPORT端末にしても、国内と海外で上りと下りの周波数を逆転させるような仕組みを用意する必要がある。
総務省が示した割当方針案は、この問題の解消を狙ったもの(8月9日の記事参照)。確かにこの点で、小野寺氏の主張に特に異論をはさむ余地はない。
「グロパス(=GLOBAL PASSPORT)は、周波数のせいで限定されている状況。新しく割り当てられれば、すべての端末がグロパスになる」――。正確には、“周波数逆転の機構を入れずに済むため、海外ローミング対応が容易になる”ということのようだ。
ここまで話してから、小野寺氏は800MHz帯再編方針案は「『新規割当』でもなんでもない」と結論づける。
「ソフトバンクは、何か勘違いしているのではないか」
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