地上波放送の各チャンネルで、毎日21時から23時台に放映されている連続モノのドラマ。今や現代人の生活に欠かせないケータイは、こうした現代劇のドラマでも随所に登場する。これらのドラマは視聴率も高く、そのためもあってかケータイ各社がほとんどのドラマにスポンサーとして名を連ねる。当然、そのドラマに登場するケータイは、スポンサーとなっているケータイ会社のモデルとなるわけだ。今回は9月に入り夏クール終盤を迎えるドラマの中でも、ソフトバンクモバイルがスポンサーになっている「ドラマで使われるケータイ」をチェックしてみた。
東京地区で毎日21時から23時台に放送されているソフトバンクモバイル提供のドラマは、日本テレビ系火曜22時台の「学校じゃ教えられない」と、TBS系金曜22時台の「魔王」の2本。ソフトバンクモバイルのWebサイトにある「ケータイNow on Air!」では、これらのドラマで活躍するケータイを登場人物ごとに紹介している。また、同ページではこの2本のほかにも、テレビ東京系水曜19時台の「ケータイ捜査官7」と、テレビ朝日系日曜8時台に放送される「仮面ライダーキバ」の2本も合わせて掲載されている。
春クールまでは、ソフトバンクモバイルのケータイは、21時から23時台の提供ドラマが2本程度と、ライバルのドコモやKDDIと比べて少なく、さらにドラマの中でケータイが登場するシーンも少なかったのだが、今クールでは「学校じゃ教えられない」「魔王」ともに、ケータイが登場するシーンが多数あった。
日本テレビ系列の「学校じゃ教えられない」は、伝統ある女子高になぜか入学した男子高校生5人と女性高校生5人が織り成す青春ドラマ。普通の高校生がそうであるように、ストーリの中で主人公達がコミュニケーションをとるキーアイテムとして、ケータイが随所に登場する。仲里依紗演じる活発な女子高校生は、デコレーションで飾ったピンクの「921T」をいつも手放さず、常にそれでメールを打っていたり、社交ダンスサークルを結成するにあたって、赤外線通信でメールアドレスを交換したりしていた。
これに対して「魔王」は、若き人権派弁護士が、少年時代に殺された弟の復讐を、加害者であるもう1人の主人公とその周囲の人間に対して、直接自分が手を下すことなく実行していくという重厚なサスペンスドラマ。複雑でドロドロと渦巻く人間関係の間で、ソフトバンクモバイルのケータイは人間関係を裏で結びつける重要な役割を担っている。
その中でも最もよく画面に登場するのが、傷害致死事件の加害者であり現在は刑事になっている、芹沢直人役の生田斗真が手にするシルバーの「821SC」と思われるケータイ。ソフトバンクモバイルが公開しているWebサイトには情報が掲載されていないが、毎回生田斗真がその家族役や友人役の俳優たちにケータイで連絡を取るため、登場シーンがとても多かった。
一方、復讐を誓う弁護士、成瀬領役の大野智は、今春からKDDIのテレビCM「auの庭で」シリーズのメインキャラクターを務める「嵐」のメンバー。そのためか、ドラマの前半ではケータイを使うシーンがなかった。しかし後半では、生田斗真が演じる芹沢直人に、自分の存在を示すべくケータイで連絡を取るようになる。ここで登場するのはソフトバンクのケータイではなく、auの「W62S」と思しき黒いケータイ。通話シーンでは大野の顔のアップとともに、画面に大きく登場していた。
ソフトバンクモバイル提供のドラマをケータイのモデル別に見ていくと、最も割り当てられている俳優が多いのは、新色も追加されカラーバリエーションが豊富になったSamsung電子の「821SC」。前述の生田斗真のほか、上原美佐、劇団ひとり、そして「学校じゃ教えられない」の深田恭子らが使用していた。次に多かったのは、同じくSamsung電子の「820SC」だった。ワンセグ視聴に適した有機ELディスプレイと、ビジネスシーンで使えるツールを搭載したモデルということもあってか、「魔王」で社長秘書役の田中圭、週刊誌記者の六平直政、弁護士役の森下哲夫といった“デキる男”たちが使っていた。
主な女優では「魔王」の小林涼子が「921T」のピンク、吉瀬美智子が「812SH」、優香が「823P」、「学校じゃ教えられない」の朝倉あきと伊藤蘭が「THE PREMIUM 821SH」、加藤みづきが「820SC」、夏目鈴が「821SC」を使用していた。
さて、日曜から土曜までの21時台から23時台に放送されているドラマは、前述のとおりそのほとんどにケータイ各社がスポンサードしているが、“月9(ゲツク)”と呼ばれ、記憶に残るヒット作を多く生み出してきたフジテレビ系列の月曜21時台には、キャリアがスポンサーとして入っていない。ただ、ここ最近は主にKDDIが撮影協力に入っていて、劇中ではauのケータイが使われることが多い。
今クールのこの枠では、織田裕二が主演の「太陽と海の教室」が放映されているが、やはりKDDIが撮影に協力しており、出演者のほとんどがauのケータイを使用している。ただ、このドラマで興味深いのが、ドコモ、ソフトバンクモバイルのケータイを使っているキャストが何人か入り交じっていることだ。
まず、織田裕二の生徒達の中で、北乃きいと大政絢はドコモのケータイを使っている。北乃は以前NTTドコモ東海地域のキャラクターをしていたので、「N705iμ」のReal Redと思われるケータイを使用。また、シリーズ終盤で、自殺しようとしてストーリーの中心人物となった大政は、TBSのBS-iで放映されていた「ケータイ刑事」シリーズに主演。その中では主にドコモのFシリーズを使っていたが、その流れを受けたのか「太陽と海の教室」でも「F906i」のミラーブラックと思われるモデルで電話するシーンが数多く見られた。
さらに、北乃、大政と同じクラスで優等生の役を演じる谷村美月は、以前ソフトバンクモバイルのホワイト学割のCM、「3年犬組」篇(父吠える)に出演していた。そのためかドラマの中では「820SH」のスカイブルーと見みれるケータイを使用している。ちなみに、同じくホワイト学割の「テニス部入部」「球拾い」篇に出ている大後寿々花も、ドコモ提供の「シバトラ」の中で、デコ電仕様でベース端末がよく分からない白い折りたたみ端末を使用しているのが確認できた。そして、織田裕二のクラスの副担任役の北川景子は、「PRADA Phone by LG」を使用。彼女も、この春までのドコモのCMキャラクターを務めていた関係があるのかもしれない。
ちなみに主演の織田裕二は第1回目で、海でおぼれた子どもを救った際に、上着の内ポケットに入っていた「W62T」を水没させてしまい、その後はマジェスティックブラックの「W63K」に機種変更していた。
もう1つ、通信キャリアがシリーズを通してスポンサーとして付いていなかったドラマが、テレビ朝日系列で金曜21時台に放送していた「ロト6で3億2千万円当てた男」。全話を確認できていないが、基本的に1話にウィルコム、最終話にNTT東日本、NTT西日本がスポンサーとして入っていただけのようだ。そのためか、劇中で使われるケータイも1つのキャリアに縛られておらず、さまざまな端末が登場していた。
ロト6で大金を当てた主人公を演じる反町隆史や、その元妻の中島知子、そして大金を持っている反町をもてあそぶOLを演じる小沢真珠ら、物語の中心人物らはソフトバンクモバイルのケータイを使用。一方、泉谷しげる、豊原功補、さくらといった脇役陣は、ドコモのケータイを使っていた。
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