筆者が購入したのは「楽phone S1」という楽OS搭載の最新モデルだ。電脳街にあるレノボショップでは、同社のPCとともに“ごく普通”に販売されている。中国の自主開発規格というと、EVDをはじめとして、「欧米規格の製品より低価格」であることが多いが、楽Phone S1のレノボショップ価格は2499元(約3万円)と、中国で販売されているAndroid採用スマートフォンと比べてとりわけ安いわけではない。オンラインショップでは、もう少し安く、例えば、「淘宝網」の最安値ショップでは、約1600元(2万円弱)で販売するショップもあった。
楽phone S1は、レノボの楽OS搭載スマートフォンでは3代目のモデルになる。初代の楽phoneは、2010年5月に登場した「W100」で、同じ年の9月には第2弾の「W101」がリリースされている。楽phoneが対応する3Gデータ通信は、CDMA 2000(キャリアは中国電信:China Telecom)、W-CDMA(同じく中国聯通:China Unicom)が対応する。なお、中国独自技術の「TD-SCDMA」(同じく中国移動:China Mobile)も予定されているが、製品はまだリリースされていない。
中国が開発する先端独自規格では、リリースされても対応する製品がごくわずかとか、対応ソフトがまったく登場しないことがよくある。スマートフォン向けのOSでも、中国移動(China Mobile)が「OMS」を独自に開発しているが、このOSを採用したスマートフォン「OPhone」がレノボから2機種リリースされただけで、その2機種もいまではレノボのWebサイトですら存在が確認できない。
そうした製品に比べれば、レノボの独自OSを搭載したモデルは、2年間で3回も新製品がリリースされ、同社のWebページで大きく紹介されたりレノボショップで主力商品として展開していたりすることは、この製品がレノボにとって“中国独自規格と大人のお付き合い”でないことを示している。中国のユーザーに支持されないことも中国の独自技術を採用する製品でありがちなことだが、楽phoneに限っては、まったく売れていない、ということではなく、“それなりに”実績があるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.