「エレメンタルナイツオンライン THE WORLD」Android版は、2011年9月28日に正式サービス開始予定でオープンβテスト中のMMORPG(オンラインRPG)だ。
エレメンタルナイツオンライン THE WORLDは、これまで3キャリア向けのケータイ版アプリとしてリリースされていたが、Android版ではパソコン向けのオンラインRPGに見られるような、高画質な3Dで描かれた世界を冒険できる。同時接続可能者数1万人以上という本格的MMORPGが、Android OS搭載端末でもプレイできるようになった。
ケータイ版も操作が難しいということはなかったが、より大画面かつタッチパネルによる直感的な操作が可能で、指一本で操作できるAndroid版は、複数のボタンを使用するケータイ版よりもある意味操作が簡単だと言えるだろう。
ただ直感的とはいえ、ボタンによっては小さいものもあり、手が大きく指が太めの男性プレイヤーには操作しにくい部分があるかもしれない(筆者も男ではあるが手は小さめ)。そのあたりはまだオープンβテスト中ということで、今後インタフェースがこなれてくることを期待したい。
移動やほかキャラクターとの会話、攻撃など以外も、大体のことが画面下の「menu」をタッチしてメニューを開くことで行える。ショートカットもアイテム用に2つ、スキル用に2つ用意されていて文字通りワンタッチで使用、発動ができる。
しかし、この便利なショートカットがアイテムはともかく、スキル用が2つしかないというのはどうだろう。序盤はともかく、冒険が佳境に入ったときに2つだけで足りるのか? という疑問はわいた。ショートカット登録していないスキルも「menu」から発動するということになるのだが、戦闘中そんな時間があるのかどうか……。このあたりも今後のアップデートでどうなっていくのか注目したいところだ。
とはいえ、右下の赤いボタンは決定ボタンになったり、攻撃時には自動選択されたスキルが発動できたりする。序盤は何も考えずに、赤いボタンを押しているだけで戦闘ができるお手軽さで「とっつきがいい」のが魅力だ。
お手軽プレイを強調してきたが、お手軽だから単純で要素が少ないのか? というとちょっと違う。パソコンのMMORPGプレイヤーが思い浮かべる要素は、収録されていると言って過言ではないのではないだろうか。
まず最初のキャラクター作成では、性別、顔、職業、髪型、髪色を選ぶことができるし、防具や武器が変わればキャラクターの見た目も変わる。NPCキャラクターからクエストももらえ、最大4名までパーティを組むこともできるし、レベル条件を満たせば上位職に転職することも可能で、チャットやエモーションなどコミュニケーション機能ももちろんある。
職業があってパーティが組めるとなれば当然、ファイターが敵を引きつけクレリックが回復にまわるなど、それぞれ職業独自のスキルを駆使し協力して強敵に挑むこともできる。
パソコンのオンラインゲームでも、街中だけMMO(全プレイヤーと共有)で街の外のフィールドはMO(パーティのみなど、限られたプレイヤーだけと共有)というものもあるが、「エレメンタルナイツオンライン THE WORLD」は正真正銘、外のフィールドも含めてMMOだ。
とにかくプレイして感じるのは、キャラクターがかわいらしいということ。フィールドで出会うNPCはもちろんのこと、モンスターもどこかユーモラスなので、かわいいものには目がない女性プレイヤーにもぜひプレイしてもらいたい。
近所のおつかいのようなちょっとしたクエストもあるが、初心者訓練、旅立ちの試練のようにチュートリアルもかねたクエストを経て、プレイヤーはストーリーの根幹に関わるクエストを進めていくことになる。
謎とされるエレメンタルドラゴンの存在に近づいていくことで、プレイヤーには画面を埋めるような巨大モンスターとの対決も待ち構えている。自分のキャラクターが強くなり、装備が変わって見た目も変わっていき、使えるスキルも増える。それプラス、世界の謎がじょじょに明らかになっていくというストーリー展開も楽しめるということだ。
ケータイ版では定型文しか送ることができないなど、制約があったチャット機能もAndroid版では任意のテキストを入力して送信することができるフリーチャットを実装。
さらにSNS的な要素を持つコミュニティサイトもすでに開始されており、マイキャラアバターを登録したり、日記を公開したり、TwitterやFacebookとの連携もできるようになっている。
ケータイ版ではすでに、パソコン版MMORPGのように3Dの世界でリアルタイムにキャラクターを動かし、不特定多数のプレイヤーと同じ世界を冒険するということは実現されていた。Android版になって、画面がより大きくなったことでプレイのしやすさ、迫力が増し、不便だった機能も改良された。
さらに今後の展開として、iPhone版のサービスも始まる予定があり、最終的にはAndroid版、ケータイ版、iPhone版のプレイヤーが同じ世界を冒険できるようになるうえ、Android版へケータイ版からのデータの引き継ぎも可能となるとのこと。ケータイからスマートフォンへの機種交換を予定しているプレイヤーには朗報だろう。英語版のリリースも予定しているとのことで、グローバルな展開にも期待がかかる。
執筆している時点(9月21日現在)では、オープンβテストではフィールドの途中までしか行くことができず、クエストもそれ以上、進行することはできなくなっている。
しかし、9月28日には正式サービス版がリリース予定で、その先の冒険を続けて200以上のクエストを進行することが可能になり、様々なイベントも開催される予定なのもうれしい。
現在、説明不足な点もあり、個人的には「おしゃれアイテム」の装備方法など、このゲーム独自仕様が分かりにくい印象を受けた。ある程度の情報はNPCキャラクターに話しかけることで得られるのだが、その情報だけでは不足に感じたし、それだけだとすると、いちいちメモするかあいまいな記憶に頼らざるを得なくなってしまう。ただ、これは公式サイトの情報が充実してくれば解決される問題なので、正式サービスに向けての取り組みに期待したい。
現在、オープンβテスト登録者数約2万2000人ということで、ケータイ版をプレイしていたプレイヤーだけでなく、Android版で初めて触れるプレイヤーも少なくはない。内容は深いながらも、カジュアルな見た目なので、MMORPGは初めてというプレイヤーも中にはいるかもしれない。
RPGをプレイするプレイヤーなら常識だ、というのではなく、せっかく冒険を始めたプレイヤーのすべてが冒険を継続できるような分かりやすさ、親切さが加わることで、本作の持つ親しみやすいイメージがプレイ中に覆されることはなくなるだろう。
ジャンプして斬りつけたり、タイミングで複数ボタンを操作して連続技を決めるなど、よりアクション性の高いものというと、やはりまだまだパソコン版や据え置きのコンシューママシンのゲームに軍配が上がるだろう。
しかし、据え置きのマシンでは実現が不可能な「どこでもいつでもプレイできる」という、ある意味MMORPGゲームプレイヤーの夢を叶えたとも言えるお手軽さ。そして、誰もが1台は持っているケータイというガジェット、それもキャリアを選ばすキャリアの垣根を越えてプレイできるというマルチプラットフォーム戦略がなんといっても本作の魅力だ。
ゲームを友人と一緒にプレイしようと思っても、1台数万円はするであろう、ゲームをプレイするためのハードから購入を勧めていくというのはハードルがあまりに高すぎる。そういった点からも、iPhone版のリリース、ケータイ版との世界の共有など、今後の展開スケジュールがなるべく早く発表されることを期待したい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.