2012年に登場したスマートフォンを振り返ると、ディスプレイサイズの大型化あるいは多様化が目立った。
iOS端末では「iPhone 4/4S」からRetinaディスプレイを搭載して高解像度化を進めてきたが、2012年はRetinaディスプレイ搭載の“新しいiPad”が登場したほか、「iPhone 5」は液晶を4インチにサイズアップ。さらに7.9インチディスプレイの「iPad mini」もリリースされて選択肢が広がっている。
一方、もともとディスプレイサイズが多彩だったAndroid端末では、より大型化の方向へ進化。当然、解像度も高くなっていき、HDどころか5インチでフルHDというモデルも登場した。カメラのスペックが高止まりしつつあるなか、2013年はフルHDをキーワードにしたスペック競争が繰り広げられるかもしれない。
スマートデバイス、中でもスマホのディスプレイサイズは対応する通信サービスの速度に影響を受ける。モビリティを高めつつWebをPC環境と同じように閲覧したり、映像や高解像度のコンテンツへ快適にアクセスするには、Wi-Fiとは別にLTEなどの高速通信の利用が欠かせない。これには対応端末だけでなく、エリアの展開などインフラの普及も急がれる。
まだ少し気が早いが、LTEエリアが広がった2013年以降には、携帯電話としての音声通話をVoIPで行う「VoLTE」(Voice over LTE)がスタートする見込みだ。LINEやカカオトーク、comm、そして老舗のSkypeなど、無料の通話・メッセンジャーアプリが全盛を迎えているなか、キャリアの通話サービスであるVoLTEがどのような攻勢にでるのかも興味深い。
さて、こうしてフィーチャーフォンだけでなく、PC的なニーズも飲み込んでいくスマートデバイスにとって、最大の問題なのがバッテリー。フィーチャーフォンのころからバッテリー寿命に関しては不満が多かったが、取り扱う情報が増え、生活の中での依存度も増しているスマホでは、ますます切実な問題になってきた。今やスマホにとって、省エネ性を高めることはもちろん、大容量バッテリーや急速充電が利用できるかも大切な要素といえるだろう。
ということで、なんだかんだと2012年に気になった機種が多い。うまく数を絞りきれなかったので、独断と偏見でスマホ打線を組むことにした。スペックだけで比較するとどうしても後発の冬モデルが中心になってしまうため、同時期のラインアップにおける傑出度なども参考にしている。
まず1番は、対応サービスの多さに加えてキャップレス防水に対応した「Optimus it L-05D」。横並び比較によるベンチマークテストでも上位に付けるなどスペックが高く、発売後の出足も好調だったことなど、リードオフマンにぴったり。ユーザーの守備範囲が広いことから、ポジションはセンターにした。
2番手は大容量のバッテリーとストレージが自慢の「ARROWS V F-04E」。センサー類を多用した国内メーカーらしい便利機能など、小技に長けているのが起用のポイント。もちろんスペックも高く出塁率も期待できる。守備では、アツいプレーが見られるショートストップに置いた。
3番手は、ミスタースマートフォンと呼べる高い知名度の「iPhone 5」。幅広いニーズに答える広角打法で、打席(売り場)に立てばヒット間違いなしのまさに安打製造器。その実力から、クリーンナップ入りは誰もが納得するところ。守備もゲームを左右するホットコーナー(3塁)を任せられる実力派であり、相手チームのベンチ前で華麗な守備を見せつける様も頼もしい(ホームゲームの場合)。
栄えある4番は、“5インチフルHD”の爆発力が魅力の「HTC J butterfly HTL21」。その高いスペックを目にすれば、走者一掃のホームランを期待しないほうが難しいというもの。ユーザーを選ぶボディサイズのため守備はファースト固定だが、持ちやすいスリムボディなど、フィールディングには定評がある。
5番は、まさに規格外のパワーを見せつけた「GALAXY Note SC-05D」。発売当初のハイスペックさは主軸の一角を任せるに値し、手書き入力というインサイドワークをゲームに持ち込んだ功績も大きい。そしてサインが重要となれば、チームの要となるキャッチャーを任せるしかない。
6番には、恵まれたボディで巧守ともに手堅さを見せる「G'zOne TYPE-L CAL21」を選んだ。フィーチャーフォンの名門チーム(G'zOneシリーズ)出身であり、メジャー(北米)での経験もある逸材。人気・知名度も申し分なく、さまざまなセンサーを使った正確な送球はレフト向きだ。
7番指名打者には、「Optimus G L-01E/LGL21」を選んだ。クアッドコアプロセッサーのSnapDragon S4を搭載した世界初のスマホであり、国内向けサービスも豊富にサポート。下位打線の中軸としてダメ押しの一発に期待したい。しかし4.9インチ液晶を搭載したスクエアなボディはなかなか手に収まりきらず、左右(の手)の波が大きいのも事実。
8番手はサイズ感とスペックのバランスが好評の「Xperia SX SO-05D」とした。Xperiaというブランドは全国区でチームの顔でもあり、内野をまとめるセカンドにふさわしい存在だろう。あっという間に生産終了という俊足ぶりも魅力だ。旧ソニー・エリクソンからの“つながり”を意識して、つなげる8番に起用した。
ミート(対象ユーザー)の狭さから9番・ライトでの起用になってしまった「HONEY BEE 101K」だが、ハマれば怖い意外性のある選手。一見チャラチャラしているように見えるが、コツコツと細かい技を積み重ねている努力型だ。パワー志向とは真逆の、スモールベースには欠かせない存在と言えるだろう。
こうした打線を組んだからには、先発投手は、スペック(球速)と対応サービス(変化球)ともに超一流の「AQUOS PHONE ZETA SH-02E」しか考えられない。完投はもちろん、連投も可能なスタミナを持ち、ローテーションを崩さずシーズンを戦うことも可能だ。国内で成功を収めればメジャー(海外)挑戦も夢ではないと思う。
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