NTTレゾナントが発表した3機種のスマートフォン「gooのスマホ」。この供給を手がけ、国内のSIMロックフリースマートフォン市場へ本格進出を果たした中ZTE。
グローバルで成長を遂げているZTEだが、日本のSIMフリー市場に力を入れ始めた理由はどこにあるのだろうか。ZTEで端末事業部門の最高経営責任者を務める曽学忠氏と、アジア太平洋統括本部 総経理の張樹民氏に話を聞いた。
日本ではモバイルWi-Fiルーターや子供向けの見守り端末などを提供するメーカーとして知られる中国のZTEだが、同社は世界的に見ると主要なスマートフォンメーカーの1つとしても知られており、2014年は世界150の国や地域で1億台以上の端末を販売している。中でも米国では市場全体でのシェアが4位、プリペイド市場では2位のシェアを獲得しているほか、アジア太平洋地域における、キャリアを通さないオープン市場では、増加率100%を達成するなど急成長を遂げている。
そのZTEはこれまで、日本でも何度かスマートフォンをキャリア向けに提供しているが、大きなヒットを獲得するには至っていない。最近ではソフトバンクモバイル向けに「Blade Q+」を提供しているが、これもプリペイドタイプの料金プラン「シンプルスタイル」向けという位置付けだ。それゆえ今のところ、日本においてZTEは、どちらかというとニッチ向けの端末を提供するメーカーという位置付けになっている。
そのZTEが大きな注目を集めたのが、4月22日にNTTレゾナントが発表した、オリジナルのスマートフォン「gooのスマホ」である。これは、NTTコミュニケーションズのSIMカードとスマートフォンをセットで販売し、その上でgooのポータルサービスを提供していくという取り組みなのだが、そこで提供されたスマートフォン3機種「g01」「g02」「g03」が、いずれもZTE製のものだった。この取り組みによってZTEは、日本のSIMフリー市場へ本格的に参入するとしている。
しかしなぜZTEは、まだ市場規模が大きいとはいえない日本のSIMフリー市場へ本格的参入するのだろうか。張氏はそれには2つの理由があると話す。1つは、SIMフリー市場への参入によって潜在的な顧客を獲得するとともに、消費者から直接評価を得ながらZTEのブランドを高めていくこと。そしてもう1つは、SIMフリー市場で得た評価を製品にフィードバックし、大きな柱であるキャリア向けのビジネスにもそれを反映していくことだという。
それゆえ、SIMフリー市場への取り組みも「ステップバイステップでやっていく」(張氏)とのことだ。実際、同社はSIMフリー市場へ最初から大々的に参入したわけではなく、NTTレゾナントのSIMフリー関連製品オンラインショップ「goo SIMSELLER」で「Blade Vec 4G」を販売したことから始まっている。
このBlade Vec 4Gの販売が、コストパフォーマンスの高さから好評を得て確実な実績を作り上げたことが、gooのスマホへの端末提供へと至ったようだ。ちなみにNTTレゾナントとの関係について、曽氏は「エクスクルーシブなものではないが、信頼できる重要なパートナーでと認識している」と話している。それゆえ今後もSIMフリー市場においては、NTTレゾナントとの協力関係を重視したビジネスを進めていくものと考えられる。
ZTEはグローバル市場で各国のニーズに応えるべく、多数の製品ラインアップを用意している。それゆえスマートフォンに関しても、ビジネスユースをメインとしたフラッグシップの「Grand」シリーズ、プレミアムな価値を提供する「Star」シリーズ、そしてカメラ機能を重視した「Nubia」シリーズと、豊富なラインアップを揃えている。
そうしたラインアップの中で、今回NTTレゾナントが採用した3機種は、g01が「Blade L3」、g02が「Blade S Lite」、g03が「Blade S」と、いずれも「Blade」シリーズの端末となっている。それには、最もハイスペックなg03でも3万円というコストパフォーマンスの高さを実現しながらも、カスタマイズ性が高いというBladeシリーズの特徴が、gooのスマホのコンセプトにマッチしたことが大きいようだ。
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