スマホやタブレットを引っ提げ、日本市場に参入したOrbic(オルビック)が、新たな端末を発売した。フィーチャーフォンの「Orbic JOURNEY Pro 4G」がそれだ。同機は非常にシンプルな折りたたみ型の携帯電話で、主に通話やSMSなどのメッセージサービスを利用する人に向けた端末。バッテリーの着脱が可能だったり、サブディスプレイが搭載されていたりするのも、かつてのフィーチャーフォンを想起させる。
もう1つのトピックとして見逃せないのが、同機に日本で初となる「KaiOS」が搭載されている点だ。KaiOSとは、かつて日本でKDDIから発売された「Fx0」が採用していた「Firefox OS」から派生した、フィーチャーフォン向けのOS。Googleが一部資本を注入しており、同社のサービスに対応している他、日本からもKDDIがファンドを通じて出資を行っている。では、Orbic初のJOURNEY Pro 4Gや、そこに搭載されたKaiOSの使い勝手はどうか。実機に触れながら、今後の行方を占った。
まずは外観から。いわゆる2つ折りのフィーチャーフォンで、シンプルにまとめられている。光沢感のある樹脂のボディーは少々チープな印象を受けるものの、実際、実売価格は2万円アンダー(各社のECサイトで税込み1万9800円)。価格相応といったところだが、気軽に購入できるのはうれしいポイントだ。ヒンジはやや緩めだが、片手で簡単に開閉できる。ヒンジ中央にある円形のパーツがボタンのようにも見えるが、残念ながらこれはワンプッシュボタンではない。
側面には左側面にはUSB Type-Cのポートとカメラボタン、右側面には3.5mmのイヤフォン端子と音量ボタンが備わっている。かつてのフィーチャーフォンは、ホコリの侵入防止や防水・防塵(じん)などのためにカバーをつけている端末が多かったこともあり、むき出しになっているのは新鮮。すぐに使えるという、実利もある。また、USB Type-Cで充電でき、スマホと充電器を共有できるのもこの仕様のメリットといえる。
2つ折りのケータイが主流だった日本市場では、フィーチャーフォンの進化が異常なほど進んだ。薄型化もその1つ。一部の仕様は今でも受け継がれており、例えばドコモが取り扱っているFCNT製の「arrowケータイ F-41C」は厚さが15.8mmに抑えられている。しかも、防水・防塵に対応しながらだ。これに対し、JOURNEY Pro 4Gは19.8mmとそこそこの厚みがある。全体的に丸みを帯びた形状のため、収まりはいいが、ポケットなどに入れると膨らみが少々目立つ。
一般的な2つ折りケータイと同様、開くと上部がディスプレイ、下部がカーソルキーやテンキーになる。待ち受け状態でテンキーを押すと、そのまま電話番号の入力画面になり、すぐに電話を発信できるのはフィーチャーフォンならでは。電話もアプリの1つであるスマホとの大きな違いといえる。キーは1つ1つが大きく、クリック感もしっかりあって押しやすい。連打したときにカチカチと音が鳴り、小気味よく文字を入力していける。
縦に長く、上部のメニューキーにやや指が届きづらいのは難点だが、スマホの画面上部をタッチするよりは簡単。片手で容易に操作できるのは、フィーチャーフォンならではだ。操作体系も日本のフィーチャーフォンと似た部分が多く、かつて使ったことがある人なら、すぐに慣れることができる。一方で、ディスプレイはさすがに粗い。文字などのドットが普通に見えるだけでなく、撮った写真も実際のデータより汚く見えてしまう。
当初はカメラの性能が相当低いのかも……と思っていたが、スマホやPCにメールで送信して確認したところ、屋外ではやや暗めながらも、それなりの解像感で写っていた。決して優秀なカメラというわけではないが、ディスプレイの性能のため、それ以上に低性能に見えてしまうため、損をしているような印象がある。後述するが、このディスプレイゆえにWebサイトも見づらい。閲覧用デバイスとして使うには厳しいため、割り切りは必要だ。
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