プロ野球の横浜DeNAベイスターズの井納翔一投手(31)の妻が、ネットの「嫁がブス」という書き込みに怒り、匿名の壁を突破して探し当てた20代の女性に、約200万円の慰謝料を請求した。匿名に隠れて勝手なことを書いているネット投稿者には衝撃だ。
井納投手は昨年25試合に登板して6勝10敗、防御率3.84、年俸8500万円、オールスターに3回出ている現役のバリバリだ。昨年(2017年)7月、ネットの匿名掲示板で話題になり、奥さんの写真が出た。これを見た一人が、「そりゃこのブスが嫁ならキャバクラ行くわ」と書き込んだ。むろん匿名でだ。
ネット掲示板に情報開示を求めた
ところが11月、井納選手の妻から投稿者に通知文が届き、さらに12月半ば訴状が届いた。原告は井納選手の妻(20代後半)、投稿者の20代の女性・会社員Aさんに対して、191万9686円の慰謝料と訴訟費用の被告負担を請求していた。
FRIDAY2月9日号によると、Aさんは、「軽い気持ちでした書き込みで、まさかこんなことになるなんて......どうしたらいいのか、途方に暮れています」という。
匿名掲示板なのに、なぜ投稿者がわかったのか。これが肝だ。
井納投手の妻は掲示板に対し情報開示を請求。AさんのIPアドレスを入手して、ネット提供会社(あるいは携帯会社)から個人情報(氏名、住所、電話番号)を得た。情報開示は、権利侵害が明白、正当な目的がある場合などで認められるという。
清水陽平弁護士は「基本的には拒否されるので、裁判が必要になる。一般の人には難しい」という。このケースは、それを突破したわけだ。通常、相手を特定するまでに、8?9か月、裁判に1年以上かかるという。
玉川徹「やる気になったらやれるということがわかった」
ただ、弁護士費用などで、これに77万円を要した。訴状には、これもAさんに払えといっている。
清水弁護士は、慰謝料の上限が100万円なので、今回は「30?60万円に成るかも」という。トータルで見れば、訴訟に勝っても「ほんの少しお金が入る程度」(清水氏)、住田裕子は「足が出る場合もある」という。
このケースについて清水氏は、「名誉毀損は難しいが、プライバシーの侵害か名誉感情の侵害にあたる可能性がある」という。「名誉毀損」は社会的な評価の低下、「プライバシー」は私生活、個人情報。「名誉感情」は、バカとかアホとかいう罵詈雑言だと。「ブス」が名誉感情、「キャバクラ」はプライバシーの侵害にあたるという。
「死ね」「ゴミ」はアウト、「アホ」「カス」は微妙
石原良純「書き込んだ人間の名前や住所を出してしまうというのは?」
清水氏「名前だけなら多分大丈夫。住所を出すとプライバシー侵害になる」
清水氏によると、こうしたネット上での名誉毀損などでの慰謝料請求は増えていると、幾つかの例を示した。相談の理由で多いのは、「お金じゃない。誰が書いたのかを知りたい」だという。
では、ネット上でどんな言葉がこれにあたるか。「死ね」「タヒね(ネット言葉で死ね)」「ゴミめ」などはダメ。逆に「うざい」「むかつく」などは請求できないだろうという。
ここで玉川が日頃ツイッターなどでやられている文言を並べて見せた。「アホの玉川」「カス野郎」に、清水氏は「難しい」。「頭がいかれてる」には、「可能性がある」。住田は、「カス野郎」は「できるかも」という。
玉川「やってみるかぁ」
羽鳥慎一「今後どうなるか。ネットの書き込みは気をつけないといけない」