2024年08月17日10時00分
8月5日の日経平均株価は4451円安となり、1987年の米国株暴落「ブラックマンデー」時を上回る過去最大の下げ幅を記録しました。1月の新たな少額投資非課税制度(NISA)開始以来、上げ相場が続いてきただけにショックを受けた20代も多いでしょう。今回は、市場がパニック安に陥ったときに「するべきこと」と「してはいけないこと」を解説します。
◇投資をやめない
株安については、米国経済の変調や日銀の利上げなど複合要因が指摘されています。ただ歴史的な下落幅になった原因はよく分かっていません。言えるのは、数十年単位で見れば、暴落は今後も起こり得るということです。
一方、株式投資をしていると、「稲妻が輝く瞬間」に出合うと言われます。めったに訪れない、相場が大きく上昇する日「ベストデー」のことです。
1985年の初版以来、投資家のバイブルとなってきたロングセラー「敗者のゲーム」(チャールズ・エリス著、日本経済新聞出版)によれば、米国の代表的株価指数であるS&P500の1980年~2016年の平均リターンは年率11.4%。しかしベストデーのうち10日逃すと、リターンは9.2%。20日逃すと7.7%まで低下します。ベストデーは、下げ相場に遭遇した後に多く発生します。ベストデーが来る日は誰にも分かりません。稲妻が輝く瞬間を逃さない方法はただ一つ。市場に居続けることです。
「長期・積立・分散」という投資の王道に従って新NISAを始めた20代がするべきは「投資をやめない」こと。これだけです。注目を集めようと不安をあおるSNSは、見ないのが賢明です。
新NISAを始めた20代の多くは、世界中の株式に分散投資する「オルカン」や「S&P500」など低コストの株価指数(インデックス)連動型投資信託を積み立て購入しています。人生100年時代の投資において、暴落は想定の範囲内と考えましょう。むしろ先が読めないからこそ、「長期・積立・分散」投資なのです。
言うまでもなく、暴落時にやってはいけないのは「せっかく積み立てた投資信託を売り払ってしまう」こと。いわゆる「ろうばい(パニック)売り」です。確かに8月5日のような日を経験すれば、少しでも高いうちに売ってしまいたい気持ちに駆られるでしょう。
しかし、全て売り払ってしまえば損失が確定します。暴落すると投資信託の評価額が下がるものの、売却しない限り、実際に損は出ません。株は上がったり、下がったり。絶対ではありませんが、上昇局面に転じれば、評価額を回復できる可能性もあります。
売却して市場から退出すれば、「稲妻が輝く瞬間」の恩恵を受けることはできません。先ほどのS&P500は、ブラックマンデー、ITバブル崩壊、リーマン・ショックと何度も暴落を経験しましたが、それでも36年間で2桁の平均リターンを上げているのです。市場から退出せず、居続けることがとても大事です。
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