「2025大阪万博」と「統合型リゾート開発」で1兆円を超える税金投入が無駄になる可能性も!
大阪府と大阪市といえば、「大阪維新の会(2010年結成)」と「日本維新の会(国政を目指し2012年結成)」の牙城です。
大阪維新では、大阪府議会の議席で単独過半数、府下の18の市議会で議会第一党、大阪府知事と市長の他に20の地域自治体で首長を選出しています。
また「日本維新の会」は現在衆参で62人の国会議員を擁する国政政党にまで躍進しています。
2008年に大阪府知事に初当選した橋本徹氏は、その後に大阪府と大阪市の二重行政や二重投資からくる弊害や無駄の解消を図るべく「大阪都構想」を掲げました(前任の大阪府知事・太田房江氏が提唱した「大阪都構想」とは考え方が異なるとして、太田氏自身は維新の「大阪都構想」を支持しなかった)。
そして2回もの住民投票(2015年と2020年に大阪市を廃止し特別区設置の可否を問うた)を実施したものの、それでも実現に到らなかったことでも知られます。
しかしながら、関西地区での「大阪維新の会」と「日本維新の会」の人気は絶大なものがあります。
「身を切る改革」とかの思い切りのよいスローガンが、大阪人には受けるからなのでしょうか。
東京の人間にはちょっとわかりませんが、なぜか関西での人気がものすごい──ということには感心半分ですが、訝しくも思わされるのです。
しかし、「大阪万博」と「カジノを含む統合型リゾート施設」の両方を実現するのに、産業廃棄物や土砂などのゴミを集めて埋め立てた「夢洲」を選んだことには大いなる疑念を掻き立てられます。
「なんでやねん?」ということなのです。
2018年に「国際博覧会事務局(BIE)」で、BIE加盟170ヵ国での2回に分けた投票で、大阪万博の誘致が決定された時点では、まだ「夢洲」は実施予定地ではありませんでした。
しかし、「夢洲」で万博をやるのだ──といきなり決めたのは、当時の大阪府知事の松井一郎氏だったのです。
狙いは、国策となる大阪万博の予算で、カジノを含む統合型リゾートの開発整備まで行ってしまおう──という意図が丸見えなのでした。
夢洲は、2025年の大阪万博を行うのには不適切な場所という指摘が多かったにも関わらず、断固としてここに決めたわけでした。
何が何でも、カジノ施設(統合型リゾート)をつくるために、「2025年万博」を不正利用したともいえるわけです。
当初から夢洲は、軟弱地盤の上、土壌汚染の処理のために、建設費が莫大にかかるといわれていました。
また、夢洲に行くルートは、「夢咲トンネル」と「夢橋大橋」の2ルートしかなく、渋滞の懸念や、一日の来場者数が23万人も見込まれるのに災害時に避難出来るのか──といった問題があるのに「夢洲しかない」──として万博会場に決定したのでした。
現在、夢洲まちづくり事業だけで、約4450億円、運営費などの関連事業費が4130億円、さらに万博跡地やIR用地の液状化対策などの将来の予定事業にも2800億円もかかることが、すでに見込まれています。
ゆうに、1兆円を超える血税が、これから国と大阪府や大阪市から出ていくことが予想されるのです。
もちろん、これだけでは終わらないでしょう。
これからも費用が膨張し、2021東京五輪の二の舞になることは間違いない状況といわれています。
いつものことなのです。ズルズルと後から税金が垂れ流されます。
夢洲の土地に万博のパビリオンやカジノを含む統合リゾート施設を建設していくには、もともと非常に無理がある話──として当初から懸念されていたことが、いま現実になろうとしているわけです。
この記事の著者・神樹兵輔さんのメルマガ