自殺するのは社長ではなく管理職。まるで日本の会社のような斎藤元彦「兵庫県政」

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斎藤元彦兵庫県知事の問題行動の数々が内部告発された件を巡り、兵庫県議会の百条委員会は、斎藤知事本人を尋問。各メディアが委員会でのやりとりを詳細に伝えています。斎藤知事について「維新の体質」が見て取れると指摘するのは、評論家の佐高信さんです。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』では、吉村洋文大阪府知事、石丸伸二前安芸高田市長の2人とともに、批判を許さない3人をまとめて「吉丸元彦」と呼ぶと宣言。斎藤知事を自民党が推したのは「自民の維新化」だと批判するとともに、組織の不祥事で自殺するのはトップではなく管理職という日本の特徴にも苦言を呈しています。

日本のトップは自殺しない

自分は完璧な人間ではないし、足りないところがあると考えている人間は謙虚になるし、批判を受けとめる。たとえば私が出会った人間では村山富市がそうだし、田原総一朗や西部邁も私の過激な批判に反発して永遠に絶交するということにはならなかった。

今回の「メディア異人列伝」では猪瀬直樹のことに触れているが、批判に拒絶反応を示す猪瀬はいま、維新の国会議員である。自民党をヤクザとすれば維新は半グレだとして、私は西谷文和と『お笑い維新劇場』(平凡社新書)を出したが、批判を許さないというのが維新の体質なのだろう。パワハラ体質である。要するに余裕がないのだ。

大阪府知事の吉村洋文、都知事選に立った石丸伸二、そして往生際の悪い兵庫県知事の斎藤元彦をまとめて「吉丸元彦」と呼ぶことにした。イソジン吉村、あるいは万博崩れの吉村に、一夫多妻制を少子化対策に挙げた石丸、それに知事を専制君主と勘違いしている斎藤である。そんな斎藤に辞職を求める緊急集会を9月8日に兵庫県民会館で開き、西谷と私が対談する。

選挙で選ばれた自分は万能だと錯覚して斎藤は部下に威張りまくり、2人の職員が自殺している。斎藤を推したのは自民と維新だが、自民の維新化、つまりはヤクザの半グレ化が進行したのである。

私は『朝日新聞』に連載した「新・会社考」で「自殺しない日本の社長」と書いた。アメリカではビッグビジネスのトップがビジネス上の失敗で自殺することがあるが、汚職や倒産などの責任を負って大手の銀行や鉄鋼会社のトップが自殺することは日本ではないと指摘した。かわりに、部長や課長などのミドルが自殺するのである。

「1979年にKDD密輸汚職事件が発覚した。元社長の板野学や元社長室長が業務上横領の罪に問われ、1991年3月に東京高裁で2審判決が出たが、収賄罪の郵政省元幹部職員を含めて、板野以外は1審で執行猶予付きの懲役刑を受け、それに服したのに対し、板野だけがまだ争っている。この陰で、これまで事件に関わった2人のKDD社員が自殺したことは、もう忘れられた感じである」

これが『朝日』に載ったのは1991年4月13日だった。するとまもなく、板野の顧問弁護士から、社員の自殺と板野が関係あるような書き方は名誉毀損に当たるぞという脅しの内容証明便が来た。それで私も知り合いの弁護士に頼んで、訴えたら、こちらも誣告罪で応酬してやるぞという内容証明便をぶつけたのである。

竹中平蔵流の新自由主義者でもある斎藤は役所を会社と思いたいらしいが、こんな知事が居すわっては、これからも犠牲者が出るだろう。護憲派が1人もいない自民党総裁選で立候補が噂される人たちでは、コバホークこと小林鷹之が統一教会的思想を持っていることからも最も維新的臭いがする。吉丸元彦を吉丸鷹彦に直そうか。

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image by: さいとう元彦公式ウェブサイト

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