横綱トランプを終始圧倒、ハリス氏の立合い・踏み込みと「爆笑問題」とは?米大統領選TV討論会 重要ポイントまとめ

 

【関税問題】トランプ氏のハチャメチャ節が押し寄せてきた

続く質問は、関税倍増政策についてで、トランプに対しては「関税を倍増したら物価が上昇するのでは?」という質問が浴びせられました。これに対してトランプは、「そんなことはない、関税倍増で困るのは中国だけだ。トランプ経済はずっと良かった、バイデンはインフレ政権だ」と、改めてランダムな罵倒作戦。

一方でハリスは、これに反論するというよりは、「トランプ政権は貿易赤字を残した」とか「トランプはチャイナに半導体売って軍事技術を向上させた」と批判していました。相変わらず質問と答え、相手の発言とその反論という組み合わせが全く噛み合っていませんでした。

その上でハリスは「中国に対して自分たちはAIとクワンタム(量子コンピュータ)で勝つ」と述べていました。

これに対するトランプの反論は「民主党は台湾からチップ買っている」と、まるで台湾経済も敵視するかのような発言。さらに、「ハリスはマルキストだ」「ハリスは移民をガンガン入れた。ニューヨークの人口より多くの移民だ。みんな犯罪者だ」とメチャクチャでした。

【中絶問題】トランプ陣営の“不一致”浮き彫りに

続いての話題は中絶問題で、こらも大荒れでした。トランプは、「あいつら(リベラル)は妊娠9ヶ月でも(中絶を)やる。民主党はラジカルな過激派だ」といきなり罵倒、あまりの無茶苦茶にハリスは首を振り続けていました。さらにトランプは、「ロウ対ウェイド判例の停止は悲願だった」と、中絶禁止の違憲判断が解除されたことを自分の実績のように主張。

くわえて、ハリスを指さして「連中(民主党)の副大統領候補(ウォルズのことか?)は9ヶ月(妊娠9ヶ月でも中絶)だぜ、出てきたベイビーが生きてたら処刑しているんだ」と、まるで民主党が嬰児殺しをしているかのような無茶を言っていたのでした。

ここまでは、とにかく「激しいことを言えば保守派はついてくる」という一方的な思い込みによる暴言の連打だったわけですが、ここから微妙にトーンが変わりました。

トランプは「近親相姦、レイプ、母体の生命の危機の場合は、中絶禁止の例外だ」と、物わかりの良いことを言い始めたのでした。さらに、「中絶禁止を全国で適用する連邦法案が出てきたら拒否権発動するか?」という質問が浴びせられると、回答を避けていました。つまり「拒否権は行使せず法案成立を認める」ということは言わなかったのです。

この問題ですが、例えばですが、ヴァンス副大統領候補などは中西部の保守票を意識して「中絶禁止全国法の推進」を主張しています。ですから、不一致は不一致なので、そこを攻めるとトランプ陣営にはマイナスになると思って、この日の司会も追及したわけです。

ですが、トランプの「中絶禁止の例外を認める」とか「全国禁止法に関する態度は示さない」というスタンスについては、本当のところは分かりません。中道票が欲しいのか、自分の過去からの一貫性で言っているのかは不明です。

ハリスは、その辺の「揺れるトランプ」にツッコミを入れるのは面倒だったようで、あくまで左側からトランプに連打を浴びせようと「トランプ中絶法で女性が懲役刑に処せられるのはインモラルだ」「女性の身体は自分のもの」という感じで、自分の主張をひらすらぶつけていました。

これに対してトランプは珍しく反論しており、「俺たちは(母体の危険がある場合)禁止なんて言ってない、嘘だ」とか「全国禁止法への態度についてはJD(ヴァンス)とはまだ話していない」と不一致を認めるような、妙に正直な態度を示していました。

さらに、ハリスが「IVF(人工授精)が否定されたのはトランプのせいだ」とツッコミを入れると、トランプは「俺様はIVFのリーダーなんだ、アラバマの法律(凍結受精卵の破棄は中絶になるので医師が懲役刑になる法律)も直したんだ」と胸を張っていました。

これは事実関係としては間違っていませんが、依然としてトランプ陣営が中絶問題にどのようなスタンスを取るのか、要調整なようです。

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