みなさんは給食の思い出はどんなものがありますか? さすがに脱脂粉乳を語りだす方はいらっしゃらないでしょうか。
さて、アメリカの子どもたちが世界の給食を食べるという記事がありましたのでご紹介します。
「インド・フランス・キューバ・ケニア・スウェーデン・日本・アフガンニスタンで食べられている学校の給食をアメリカの子どもたちが試したら一体どんな反応を示すのか?」ということで、鼻をつまんだりよけたりと、なかなか子どもらしい率直な反応です。
果たして本当に、これが各国の「スタンダードな給食なのか?」というのがちょっぴり疑問なのですが*1、その中でもアフガニスタンの「給食」が衝撃的です。
えー、ビスケット一個って本当?ということで調べてみましょう。
「Afganistan school lunch」で検索すると、WFPの「School Meals」のプロジェクトがひっかかります。
School Meals | WFP | United Nations World Food Programme - Fighting Hunger Worldwide
ここを読むと、「high-energy biscuits or snacks 」とあるので、WFPが高カロリーのビスケットを学校に提供していることがわかります。ふむふむ。
こっちには、ビスケット工場の写真があります。
自国の工場で提供することで、自給の側面を強化させるねらいもあるんですね。ふむふむ。
こっちの記事には、「日本の給食制度」をアフガニスタンにも適用させる計画について詳しく書いてあります。
ここでは、このビスケットを学校に制度として配布することで、「it led into increase in enrollment andattendance of the student in the schools」つまり、就学率を上げていこうというねらいがあるということもわかります。学校に行けば食べ物がもらえるし、「take-home」もできるというわけだから、学校に行く子どもが増えるのではないかということでしょう。
つまり、「school lunch」として、動画でビスケットを紹介したことは間違いではありません。こういう高エネルギー食品はWFPに限らず、国境なき医師団なんかでも使われているので、難民キャンプでの配布なんかもあります。*2
しかしなんとなーくモヤモヤするのは、他の国の「給食」が伝統的な部分が多いのに*3、アフガニスタンだけそういうのが無視されているという点でしょうか。ちょっとフェアじゃないなあって感じです。なんとなーく、劇団ひまわり的子どもだったら、「アフガニスタンの子どもはこんな食事でかわいそう!」とか言いそうな気がします。
ですが、動画では「Do you feel bad for the kids who have to eat that everyday?」と、「これを毎日食べるのってやだ?」と聞かれても、「taste is very good」となってしまいます。 このビスケットが一番反応いいなんて、うーんアメリカっ子って感じです。
でも、結局この動画の趣旨はそこにはないんだと思います。だってさ、味の話をしてるのに「かわいそう」なんて感想は、やっぱりちょっとずれてると思いません?
よく日本の番組がアフリカとかに住む日本人を紹介するときにやる、<どうしても感動話に仕立て上げたい演出>が私はとても鼻について嫌なのですが、ついつい大人になると、そういうフィルターのかかった意見を言いがちになってしまいます。フィルターがかかるというのは、「裏をかかない」意見です。「裏をかかない」というのは、世の中善人だらけの仲良しこよしの世界ですが、我々はそれが圧倒的にありえない世界だということをよーく知っています。この動画は「王様は裸だ!」と子どもが叫ぶことができるということを、とてもよく表しているものなんじゃなかろうかと思います。
以上、今日はちょっとまとまりのない記事になりました。でもちょっとだけ、個人的には、アフガニスタンの給食がこうなった背景を、子どもに説明してくれるとうれしいな、とは思います。特にかの地で戦争をしたアメリカンならば。
*1:日本の給食として紹介されている中のヤクルト?がハングルなのが、そっち方面からのヘイトなスピーチを呼び起こしそうです。
*2:High energy biscuits for children in remote Darfur regions | Médecins Sans Frontières (MSF) International
*3:しかし、「伝統」というのも曖昧な概念だなと思います。日本の「給食」だって、今の形が始まったのは戦後であり、Nutritionの観点から国連が推奨したことでしょう。これだってアフガニスタンの話とあまり変わりはありません。