最下位のヤクルトを相手に、巨人にとっては痛い連敗だった。一番の敗因といえば、先発の吉村を打ちあぐね、プロ入り初完封を許した打線にある。確かに今試合の吉村は、積極的にストライクを先行させ、走者がいなくてもクイックで投げるなど、ピッチングにメリハリがあった。しかしここまで気持ち良く投げさせてしまった要因を、私なりに考えてみた。

吉村のような球種が多いタイプは、どうしても狙い球が絞りづらくなる。そのため、漠然とファーストストライクを積極的に振っていこうとすると、微妙にタイミングがずれ、打ち損じが多くなる。そのため、7回までの球数は89球だった。

終盤は球威も落ち、球数も多くなった。それでも中盤までのスタミナの“貯金”がものをいった。9回を完封されるまで125球を投げたが、フルカウントになったのは、8回無死二塁で打席を迎えた丸だけ。もちろん無四球だった。

機動力を使って揺さぶりをかけるような攻撃もなかった。こうなると投手は、打者に集中して投げられる。6回1死、ここまで2安打されている丸に対し、クイックで投げて見逃し三振。余裕があるだけに、苦手にしている打者に対して冷静に対抗策を実践できていた。

守りのリズムも悪かった。8回2死二塁からオスナに四球を与え、杉内投手コーチがマウンドに行った。二塁走者は代走の並木が出ていて、マウンドの船迫にとっても四球は想定内だったはず。むしろオスナに不用意に甘い球を投げ、痛打されていたのなら「間」を空ける必要があったし、中村に対してどういうふうに攻めていくかの具体的なアドバイスがあれば別だった。しかしあのタイミングでは、必要以上のピンチを迎えたような雰囲気を作ってしまった。余計な「間」を作らず、勝負した方がよかっただろう。際どい球をボール判定されるなどタイムリーを打たれ、致命的な追加点を与えてしまった。

ただ、首位の広島もDeNAに連敗。両チームとも優勝争いのラストスパートどころか、思うような戦いができていない状況。粘り強く戦うことに専念し、我慢強く戦うしかない。(日刊スポーツ評論家)