帝京長岡出身の阪神茨木秀俊投手(19)が凱旋(がいせん)登板で好投した。先発で6回を3安打1失点。2回以降は無安打に抑え、9-2の勝利を導いた。ハードオフ新潟のマウンドは22年夏の県大会決勝以来。懐かしいマウンドで今季2勝目を上げた。

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最後の打者を見逃しの三振に仕留めた。茨木は5個目の三振を奪っても、顔色ひとつ変えずにマウンドを下りた。「アップの時から懐かしい、という感じだった。楽しめた」。そんな思いは内に秘めた88球。初回は3安打を許して1点を失ったが、2回以降は無安打。3回の2四球以外、残り4イニングは打者3人で片付けた。

ドラフト4位のプロ2年目。大きな期待を背負う。「立ち上がりに打たれてしまうのが課題」と真っ先に反省点を強調した。「試合を作れたのは良かったけれど、全然なので…。レベルアップへ、やらなければならないことばかり」。だが、失点を引きずらない精神面は真骨頂。「低めに意識した。低めに投げれば抑えられる」。しっかり気持ちを切り替えた。

北海道生まれで、高校3年間を過ごした新潟の地。ハードオフ新潟は、夏の甲子園出場が1歩手前で断たれた印象深い場所だ。2年前には夏の県決勝で142球熱投も日本文理に1-2のサヨナラ負け。「気負いすぎるとだめなので、なるべく抑えて…。平常心のつもりで投げた」。悪夢はプロの舞台で払拭した。

和田豊2軍監督(61)は「期するものがあったと思う。課題はあるが、成長した姿を見せられたのはよかった」と第2の故郷での好投をほめた。敵将オイシックス橋上秀樹監督(58)も「高さ、コースを丁寧に投げ分けていた」とクレバーな投球を評した。

目標は1軍での勝ち星であり、ローテーション入りだ。新潟のファンの前で勇姿を披露した右腕は、「目標に向かって今シーズンしっかり戦っていきたい」と飛躍を誓った。【涌井幹雄】

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