ソフトバンクが西武のドラフト1位左腕・武内夏暉投手(22)をついに打ち崩した。今季3戦2敗だった黄金ルーキーに7安打を浴びせて4得点。4度目の対戦で初めて黒星をつけた。3試合連続で6番起用された正木智也外野手(24)が決勝打を含む3安打の活躍。17日のロッテ戦から6打席連続安打の大暴れで7月初の3連勝に貢献した。2位ロッテと9ゲーム差に広げた。

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西武の黄金ルーキーに膝をつかせた。今季4度目の対戦。武内には過去3戦2敗、防御率0点台に抑え込まれてきた。「やられっぱなしだったので」。小久保監督はじめ首脳陣は緻密な対策を練って試合へ。指揮官は「今シーズン初めて打線に戦術を求めた。結果的に黒星を付けられました」。詳細こそ明かさないが、武内対策が実った。

立役者は正木だ。0-0の4回、先頭の3番栗原が二塁打で出塁し、2死二塁で打席が回ってきた。「ラッキー」。心の中でつぶやいた正木が外角のチェンジアップを中前へ。空路東京入りした前日は武内の投球映像を何度も見返し、打席でのイメージを固めた。「(苦戦していた事実は)分かっていましたし、この前の対戦では僕も3打席打てなかったので」。入念な準備を重ねて決勝打。「ランナーがいない場面で打つよりもランナーがいる場面で打った方が価値は高いと思う。そう思ってやっています」。その後は牧原大の中前打で2点目のホームを踏み、7回にも右前打で2得点を呼んだ。チームは武内に7安打、プロワースト4失点を浴びせてリベンジに成功した。

正木は2回も左前打で2試合連続、今季3度目の猛打賞。17日のロッテ戦から6打席連続安打と絶好調だ。「打席の中で狙い球がしっかり絞れている。それ以外の球がきたら割り切ってストライクでも見逃す。ボール球がしっかり見えているのも大きい」。25試合で打率3割3分8厘、出塁率3割6分3厘、得点圏打率は4割5分にのぼる。

慶応-慶大から21年ドラフト2位で入団したプロ3年目の大砲候補。凡退が続いた6月中旬、7月初旬は2軍降格の危機に立たされながら粘り腰で1軍に残ってきた。小久保監督も「(5番の)近藤の後ろが慣れてきたんじゃないですか。おどおどしていたところがなくなってきている」とうなずいた。今、正木は自信を持って1軍にいる。

7月は初の3連勝。2位ロッテが敗れ、9ゲーム差に開いた。オールスター前最後の3連戦で初戦白星。所沢の蒸し暑さも忘れる勝利だった。【只松憲】