西十両11枚目の尊富士(25=伊勢ケ浜)が無傷の8連勝で勝ち越しを決めた。

前日まで1敗と好調な朝紅龍との一番。立ち合いで鋭く踏み込んだ尊富士は下からの攻めで、相手に引かせて押し出した。「中日で勝ち越そうと思っていたので、相手どうこうより自分の相撲を取りきろうと思っていた」。8連勝も引き技は1度だけ。後はすべて1歩も下がらず、前に出ての完勝で積み重ねた。

今年春場所で110年ぶりの新入幕優勝を飾った。その場所で痛めた右足首のけがで夏場所を全休。復帰に向けた稽古で左大胸筋を痛めて名古屋場所も初日から休場したが、8日目から出場。2連勝後に再休場した。番付を下げた今場所だが、力差を見せつけて8連勝した。

勝ち越した次の目標を「けがしないこと」と言った。「自分は目標はたてない。しっかり自分の相撲をとっていこうと思う」。その一方で幕内復帰に向けては「それを思ってこの場所はしっかりやろうと。久しぶりに勝ち越すことができた。(けがの不安もある中で)勇気もいるんで、しっかり(幕内の土俵に)帰っていきたいと思います」。

今場所全勝なら幕内復帰は文句なし。後は幕内力士や十両上位陣との兼ね合いとなるが、尊富士が目標に向かって着実に歩みを進めているのは間違いない。【実藤健一】

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