何度も記事ネタとして書いてきた、渡部悟(35=大阪)の「りくろーおじさんのチーズケーキ」への溺愛ぶりを深掘りしたい。取材で取り上げると、2度目は、だいたい味気なくなるものだが、彼の愛情表現は聞けば聞くほど熱量が高い。そこで今回あらためて、あふれんばかりの愛を表現してもらおうと思う。

渡部悟はシャツでおいしさを普及中
渡部悟はシャツでおいしさを普及中

流儀その(1) 冷やしてもおいしいはずのチーズケーキだが、あえて焼きたてを食べる。「やっぱり焼きたてが好きだと気付いた。スフレケーキくらいのふわふわくらいがいい。口に入れて、その後に香りが抜ける…。食感と言うよりは香りが好き」と、その香りに魅了されて1人で1ホールを食する。

流儀その(2) 焼きたての判断基準は、ケーキに押された“焼き印”にあり。「しぼんでおらず、つやつやの時が一番いい。それを目安にする」。まさに数え切れないほど食べてきたからこその観察眼だ。

流儀その(3) 焼きたてを食べ、そのおいしさに衝撃を受けた渡部は、自ら月1回1ホールというノルマを設けた。「去年は5~6回くらいだったけど、今年からは自分のご褒美として月1回をノルマにしている。(ただ)7月は食べられなくて、8月は2回食べた。(結果的に)月1回ペースで食べている」。この月1回というのが、飽きを来させない、もう1度食べたいという衝動につながっている。「12月は年納めとして3個くらいはいきたい」と、レース同様にしっかりした野望を抱く。

この店のチーズケーキは、子どもの頃から知っていた。「親が買ってきてくれていて、ずっと好き。(値段が徐々に)上がっているのも把握している」と、誰よりも変化を見つめてきた。

流儀その(4) 「デパートで1個700円くらいのケーキを買うくらいなら、1ホールできたてのチーズケーキを食べる。おいしいし幸せになる」。購入するタイミングも厳密な決まりがある。仕事終わりなどで、「帰り道にお店があるので、焼きたてを買う。作り置きしかない時は買わない。焼きたてのおいしさを知っているので、たくさん食べたいのではなく、おいしい状態のを毎回食べたい」。

流儀その(5) “りくろー”のロゴ入りシャツを着て、おいしさを普及する。ピット内の作業着としてロゴ入りTシャツを着て、選手仲間や関係者、レジャーチャンネルを通じてアピールする。

流儀その(6) 「(以前の)オール大阪では、選手紹介だけでなく、りくろーおじさんの話をした。しれっとやりましたね(笑い)」。隙あらばPRの精神は不変だ。

りくろーおじさんはチーズケーキのみにあらず。渡部は他の商品にも興味を向け始めている。「アップルパイがおいしいらしいので、今度食べたい」と“新境地”への挑戦を宣言した。

ファンの皆さん、そしてりくろーおじさんの社員の方々、彼の尋常とは思えない熱意をご理解いただけただろうか。【前原一樹】