コラム

パリ五輪の競泳で日本が獲得したメダルは松下知之（東洋大、400メートル個人メドレー）の「銀」1つに終わった。メダルのなかった1996年アトランタ五輪以来となる惨敗ではあるが、国内外の五輪代表選考会を見ていた自分としては予想通りの結果だった。 不振は何か一つの原因によるものではないだろう。新型コロナウイルス禍で十分に国際経験を積めなかったことの影響もあっただろうし、ジュニアを含めた育成方針を見直す

パリ五輪で新競技として話題になったダンスのブレイキンは4年後のロサンゼルス大会では実施されない。残念だ。本来の理念や方向性を見失っていると感じる五輪に、新風となって価値観の変化をもたらす可能性があるのではと期待していた。 ブレイキンを五輪にふさわしくないとする意見も少なくない。それも理解できる。ダンサーのイメージ通り動く鍛え上げられた肉体はアスリートそのものだが、スポーツというより自己表現のショ

香川・高松商を出て2年目の巨人・浅野翔吾（19）が、8月中旬の1軍昇格以来、快音を発し続けている。気は早いが、「怪童」と呼ばれた郷里の先輩、中西太氏（高松一高―西鉄=現西武）のように、愛称とともに親しまれるスターへ、との夢が膨らむ。 高校卒業の野手として、巨人では岡本和真（奈良・智弁学園）以来のドラフト1位で入団して2年目の今季、スタートは1軍だった。しかし、出場3試合で2軍へ。9打数無安打の数

「賛否両論」の入り交じったパリ五輪が終わりました。 僕にとっては、五輪やスポーツが時代に応じて変わっていること、そして欧米人の「ルールを自ら作っていく迫力」をまざまざと実感した大会となりました。コストを極限まで抑えるべく、ハコモノは一切建設せず、選手村も食事もメダルまでもがコスト削減対象となり、開会式も競技場を使わなかったり、選手入場もセーヌ川で行ったりと「前例不踏襲」の連続の五輪でした。 象徴

NIKKEIランナーズサロンはランニングの楽しさや人生を豊かにするヒントをゲストと探求します。今回のゲストはパリ五輪の男子マラソンで解説者を務めたプロランニングコーチの金哲彦さん。市民ランナーやこれからフルマラソンを走りたいと思っている人へのアドバイスのほか、がんなどの困難を克服して挑んだフルマラソン3時間切り（サブ3）挑戦などについて語っていただきます。 4週にわたる配信の初回は、男子で赤崎暁

バンカーショットはちょっと特殊だ。アプローチなどと違って、ダフっていい。普通のショットとは考え方を変えないといけない。 ややオープンスタンスで、両足はしっかり砂に埋め、クラブを短く持つ。アプローチはハンドファーストに構えるが、バンカーショットでは基本的にハンドレイト。そうすることでサンドウエッジ（SW）のバウンスが前に出て、ヘッドを先に行かせるとボールがポンと出る。 グリップはゆるゆるで握る。力

時代から置いてきぼりにされているのかもしれないけれど、僕はSNS（交流サイト）の世界に、ほぼ関わっていない。 日本のサッカー選手でインスタグラムのフォロワーが多いのは香川真司選手（約180万人）などだと聞く。それだけすごい価値があることを示す数で、これがポルトガル代表ロナルドになると、なんと6億3千万人。母国の人口（約1040万人）のざっと60倍だ。 僕がテレビに出演するとして、「見てね」と友人

勝者の栄光は敗者の存在なくしてあり得ない。歓喜に沸くチームを尻目に、光を浴びない側に立ち続けてきたのが東京大学野球部だ。東京六大学リーグでの優勝はなく、下位が定位置。それでも、あるいはだからか、ひとたび勝てば世間の耳目を集める。覇権から縁遠いながらも関心をそそる集団の実像とは――。 7月27日、東大野球部OBが横浜カントリー&アスレティッククラブ（YC&AC）、横浜商業高校野球部OBと横浜市内で

3月に厩舎を開業した福永祐一調教師（47、栗東）が8月18日のCBC賞（GⅢ、中京芝1200メートル）を5歳牝馬のドロップオブライトで勝ち、重賞初制覇を飾った。トップ騎手から転身し、早くも重賞タイトルを獲得した福永調教師はレース後、「狙っていたレースだった。馬の状態も目いっぱいに仕上げていた」と明かした。 最内の1番という絶好枠からスタートしたドロップオブライトは先行集団の内柵沿いという好位置か

「私も、ほっといてほしい時がある」。24日、パリ・パラリンピックの選手村が報道陣に公開された時、説明役を務めたフランスの元パラリンピアン、リュディヴィーヌ・ムノスさんの言葉にハッとした。 大会組織委員会で五輪とパラの統合を担当する責任者。今回の選手村は、障害者でも使いやすく設計されており、五輪からパラへの移行に際し、ほとんど手を加えていないのが売りだ。例えば、部屋のコンセントは床から45センチに