明秀日立の守備の要・高嶋修也 [写真]=吉田太郎
初出場した15年度大会の初戦で森島司(サンフレッチェ広島)擁する四日市中央工から選手権初勝利。2度目の出場だった前回大会では優勝経験を持つ星稜や前評判の高かった大阪桐蔭を破り、ベスト8へ進出した。3度目の出場となる今大会、明秀日立は日本一を目標に掲げて選手権に臨む。
今年は関東大会予選こそ落としたものの、新人戦、インターハイ予選、県1部リーグ、選手権予選を制し、茨城4冠。Jクラブからも熱視線を浴びたCB高嶋修也主将(3年)をはじめ、インターハイで注目された“PKストッパー”GK木村謙一(3年)、中盤のキーマン・MF成島茉宏(3年)、司令塔・川上璃久(3年)、県予選全4戦連発のエースFW津村夢人(3年)ら実力者の名が並ぶ。そして、前回大会の星稜戦で決勝ゴールを決めているFW二瓶優大(3年)がケガによる長期離脱から復活。起用法は未定だが、自慢の選手層はより厚みを増して全国を迎える。
明秀日立はテクニカルな選手が多い一方、フィジカル面の強さも特長だ。独特の強化法が取り入れられているのがベンチプレス。1年生は自身の体重の1.1倍、2、3年生は自身の体重の1.25倍のバーベルを上げなければならない。これをクリアできなければAチームに昇格できないノルマがある。入学時は50キロほどしか上げられない選手がほとんど。それでも計画を立てコツコツと努力を続ければ、ほとんどの選手がクリアできる目標なのだという。
萬場努監督が注視している部分は、継続して努力を続けているかどうか。「サッカーという競技は、野球で言う打率とかないじゃないですか。数値化して出てくるものがないから、はっきりと努力して分かるようにするものの一つとしては大事な要素だと捉えています」と説明する。選手たちは目標の数値をクリアすることで成功体験とパワーを身につけることができるのだ。
明秀日立は、昨年度の全国大会でも競り負けない強さを見せていた。一方で「2日連続の試合も選手権ではあって、そこでつってしまったり、体力不足の選手が去年はいた」と高嶋は分析する。新チーム発足直後の“鍛錬期”はその課題にも取り組みつつ、昨年以上に厳しいトレーニング。技術面同様に全国を勝ち抜くための要素としてより強化してきたフィジカル面、そして堅守も武器に流通経済大柏、星稜、大阪学院など“隠れ激戦区”となったブロックを一戦一戦、勝ち上がる。
取材・文=吉田太郎
By 吉田太郎