JFA新体制が発足。記者会見に出席した(左から)岩上氏、村井氏、田嶋新会長、馬渕氏、岡島氏
日本サッカー協会(JFA)は27日、東京都内のJFAハウスで2016年度定時評議員会および第4回理事会を開催し、田嶋幸三氏がJFA会長に正式就任。同時に、10日に発表されていた次期役員候補者も就任が決まり、田嶋新会長率いる新体制が発足した。
2012年から第13代会長を務めていた大仁邦彌氏は、この日をもって2期目の任期を終えて退任し、それに伴い名誉会長に就任。「会長職を任期満了、定年退職ということになりました。非常に責任の重い、荷の重い仕事で、みなさんの期待に応えることができたかどうか分かりませんが、とにかくここまで続けることができました。この後は新しい体制がスタートしますので、ぜひみなさんにもこれまでと同様にご支援をお願いしたい」と挨拶した。
バトンを託された現在58歳の田嶋氏は1月31日に行われた会長選挙で、JFA専務理事を務めていた原博実氏(現Jリーグ副理事)との一騎打ちを制し、次期会長に内定。27日の評議員会および理事会をもって、2年の任期で新会長に就任した。
「責任の重さ、重要性を考えると、本当に身の引き締まる思いです。そして逆にこの20~30年の間、日本サッカーに携わってきた経験を活かしていろんなことをやってみたいというワクワクした気持ちの両方を持っています」
新体制記者会見には、田嶋新会長を筆頭に、副会長に再任した村井満氏(Jリーグチェアマン)と馬渕明子氏(国立西洋美術館館長)、そして専務理事に就任した岡島正明氏(政策研究大学院非常勤講師)と事務総長に就任した岩上和道氏が出席。「電通でスポーツビジネスを担当していた」という新任の岩上氏は、「マーケティングの部分で新会長に期待されている部分が大きい。最初のミッションとしては47都道府県サッカー協会のマーケティングに力を入れてサポートする。また、風通しのよい素晴らしい組織であるJFAを作るのに貢献していきたい」と意気込んだ。
元日本代表監督で現FC今治オーナーの岡田武史氏も新しく副会長に就任。会見は欠席したものの、初仕事として4月1日にはJFAへ出向くという。現役時代に古河電工(現ジェフユナイテッド千葉)で同僚だった田嶋会長は「岡田副会長は私の会長代行者ということも決まりました。つまり、私に何かあったときは岡田武史が会長になるということです」と実質のナンバー2であると説明。役割としては「代表チームで特化していません。全てに関わって頂き、全てのことで意見をもらえればと思っています。彼の様々な経験や知恵をぜひ日本サッカー協会に出していただきたい」と話した。
新体制の船出を迎えた田嶋会長は「プロフェッショナルであり、本気で日本サッカーを良くしていきたい、強くしていきたいという気持ちを持った人たちの集まりだと思っています。そういうメンバーに恵まれたことを本当に幸せに思います」と期待感を抱く。
しかし発足直前には、FIFA女子ワールドカップ・カナダ2015で準優勝したなでしこジャパンが4大会ぶりにオリンピック出場を逃し、フットサル日本代表も4大会連続のワールドカップ出場が夢に終わった。「このひと月の間に、勝てると思っていたフットサル、間違いなくリオに行くだろうと思っていた女子サッカーという2つがアジアの代表を逃しました。より危機感を持たないといけないし、気を引き締めて、将来のサッカーに対してプランニングしていかないといけないんだと改めて思いました」と現在の日本サッカー界を危惧。
昨年5月に掲げた『2030年までにサッカーファミリーが800万人(選手やファンなどサッカーに携わる全ての人)になる』と『日本代表チームはFIFAワールドカップに出場し続け、2030年までにベスト4に入る』という「JFAの目標2030」の実現についても危機感を募らせる。
「2030年ベスト4ということは今から14年しかない。今10歳の子供を鍛えても24歳です。『待ったなし』なんですよ。男子も女子も『待ったなし』でしっかりとスタートしなければならない」と焦りを口にすると、「問題を先延ばしすることなく、日本サッカーの発展のためにみんなで協力していきたいと思っています。それぐらい『待ったなし』だという危機感をもってこの会長職に就きたいと考えました。私たちも本気で日本のサッカーを変えていくつもりで活動していきます」と改革への決意を語った。
By 湊昂大