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目標は昨季からの“プラスワン”… 攻撃力強化を目指す新体制・熊本の戦いに注目

2016.01.30

“プラスワン”を掲げる熊本。清川新監督の下で攻撃的なチームを目指す [写真]=J.LEAGUE PHOTOS

 ロアッソ熊本は2005年、『熊本にJリーグクラブをつくろう!』という合言葉の下、行政や市民が一体となった県民運動をきっかけに発足した(発足当時の名称はロッソ熊本)。地域リーグとJFLを3年で駆け抜け、Jリーグ入りを果たしたのは2008年。当時から一貫して『県民に元気を 子ども達に夢を 熊本に活力を』というクラブ理念を掲げ、その理念の実現に向けて歩みを進めている。

 J1昇格という大きな目標も、あくまでその理念を実現するためだ。プレーオフ制度の導入と明治安田生命J3リーグのスタート、さらにクラブ間の戦力の拮抗によって、すべてのチームに昇格と降格の可能性があるリーグになったJ2にあって、熊本のような予算規模の小さい地方クラブが昇格争いに絡んでいくには、まずは安定してプレーオフ圏に進出する力をつける必要がある。

 そこでクラブは2014年に改めて5カ年計画を策定。チームがJ1昇格に向けてチャレンジし続けること、日本一地域に根差したクラブを目指し、ホームタウン活動を積極的に行うこと、トップにつながるアカデミーの強化と拡大、そしてスポンサーや入場者数を増やしてロアッソファミリーを拡大すること――これら4つが大きな柱となっている。

 クラブが誕生して12年目、J2では9年目の戦いとなる今シーズンは、5カ年計画の3年目にあたる。昨季限りで退任した小野剛前監督が築いたベースだけでなく、他の3つの柱においてもこの2年間で取り組んできた流れを継承、継続する。『+(プラス)ONE 絆 180万馬力』という今年のクラブスローガンには、そんな思いが込められている。

 昨シーズンは13位という成績に終わったものの、終盤までプレーオフ進出の可能性を残して戦った。チーム最多の12得点を挙げたFW齊藤和樹、安定したパフォーマンスで失点減少とチームの浮上に貢献したGKシュミット・ダニエルら数名の中心選手が移籍し、今季は縦のラインを中心に即戦力として計算できる選手を補強。クラブスローガンのとおり、昨年から在籍する選手一人ひとりも何かを「プラスワン」することでチーム全体の上積みにつなげる狙いだ。

 開幕に向け布陣が固まっていくのはこれからになるが、今季のチームの柱として期待されるのは、サガン鳥栖からの期限付き移籍が延長されたMF清武功暉。昨季は途中加入ながらチーム2位の7得点をマークし、積極的にゴールへ向かう姿勢や勝負強さを発揮して夏場以降の浮上を引っ張った。今年は背番号が10に変わり、「覚悟をもって臨む」(清武)シーズンとなる。また加入2年目のFW平繁龍一、プロ3年目を迎えたMF嶋田慎太郎、ベテランのFW巻誠一郎などの活躍も、プレーオフ圏進出には欠かせない。

 チームの指揮を執るのは、2010年から6年間、4人の監督の下でヘッドコーチを務めた清川浩行新監督。小野前監督が植え付けたハードワークする姿勢や、全員で積極的にボールを奪いに行く守備のコンセプトは継承しつつ、新任の財前恵一ヘッドコーチと久藤清一コーチの意見やアイデアを取り入れながら、よりチャンスと得点を増やせるチームを目指す。

 選手たちは1月17日に始動し、ここまで主にフィジカル面の強化に努め、徐々にゲーム体力を高めるメニューをこなしてきた。宮崎ラウンドは大会日程が中1日の3連戦とハードな戦いになり、期間中に予定されているJリーグ新人研修に数名の選手が参加することもあり、結果を求めるよりは選手同士の組み合わせを試すとともに、「今大会は一人ひとりのプレー時間を伸ばしていくことが狙い」(清川監督)となる。

 とは言え、昨年出場した鹿児島ラウンドでは浦和レッズジュビロ磐田相手に善戦し、自信をつけることにもつながった。今シーズンも同じカテゴリーで戦うジェフユナイテッド千葉、昨年の宮崎ラウンドを制した鹿島アントラーズ、そして昨シーズンのプレーオフを制してJ1昇格を果たしたアビスパ福岡との腕試しは、開幕まで1カ月を切ったリーグ戦に向けての試金石。新体制でスタートを切った熊本がどんな戦いを見せるのか、注目したい。

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