クラブ生え抜きの齊藤は今季、公式戦で8試合に出場している [写真]=J.LEAGUE PHOTOS
球際激しく運動量を弛まない。ボール奪取という、湘南ベルマーレのアカデミー時代から培うMF齊藤未月の特長は、J1を戦った昨季に続き、今季も着実に体現されている。
だが開幕からおよそ2カ月を経て、自身の武器に新たな課題も見出している。「もっとプレッシャーに行きたい」齊藤は言う。
「前に行ってボールを奪う回数は少しずつ増えてはいると思います。でもその回数をもっと増やさなければいけないと思うし、途中で失速してしまう時間もあるので、変わらずに100%で行けるようにしたい。前で奪えたらゴールに近いので、ボールを奪う回数を増やすことはもちろん、攻撃の質も高めていかなければいけないと思います」
新たな気付きはゲームを重ねているからこそもたらされる。齊藤は今季、水戸ホーリーホックとの開幕戦こそベンチを温めたものの、翌節のザスパクサツ群馬戦に途中出場すると、第4節・愛媛FC戦では今季初先発を果たした。以降もコンスタントに出場を続けている。
前節の大分トリニータ戦でもスタメンに名を連ねた。
「いい意味でムラなくプレッシャーには行けたのかなと思います。相手に外された部分はありましたが、奪い切ってチャンスになる場面もあった。自分たちがやろうとしていることに関してはそんなに悪くなかったと思う」
だがゲームは試合開始間もない失点が響き、後半の猛追も及ばず0―1で敗れた。「あの試合では自分の特徴をあまり出せなかった」45分間の出場にとどまった齊藤は自省を込めて振り返る。
「ボールを受けて前に行くプレーが少なかったですし、スペースがないときに何ができるかを考えなければいけないと感じられた試合でもありました。それは自分自身の責任。もっとプレーの幅を広げ、相手が引いたときにもミスを恐れずチャレンジして、ゴールに向かうプレーを増やせるようにしたい。そういう展開のなかでも自分の力を発揮できるようにしなければいけないと思っています」
「試合に出場することで課題が多く出てきますし、そのぶん収穫もある」と、自ら語るように、失敗も成功もすべてを成長の糧とし、いまがある。「自分のよさをチームに還元することを変わらずに意識して、課題にもしっかり取り組み、公式戦に出るときは全力でやるだけです」そう前を見据える生え抜きの躍動をこの先も見つめたい。
文=隈元大吾