8分に自らのゴールでチームに勢いをつけると、69分にエリキのゴールをアシストした仲川[写真]=兼子愼一郎
ゴールラッシュの口火を切ったのは、仲川輝人だった。8分に左サイドを突破したマテウスからの速いクロスを、「お腹辺りですかね(笑)」と体で押し込んだ。
「マテ(マテウス)が一人で突破してくれたので。逆サイドに自分がいることは決まりごとで、偶然というか……。たまたま点が取れましたけど、そこにいることの大切さを、チームとしてやってきていることが報われているのかなと感じた」
“FC東京の敗戦”という条件付きではあったが、15年ぶりのリーグ優勝が掛かった一戦だった。それでも「重圧はないですね」と横浜F・マリノスの選手たちに緊張した表情や浮足立った様子は見られない。「プレッシャーを楽しんでやれているので、本当にみんなが自信を持って、このサッカーを表現できているのが大きいですね」と仲川。等々力陸上競技場では、これまでと何一つ変わらない“平常心”かつ“いつもどおり”のサッカーが繰り広げられた。
「最初の15分は高いインテンシティでハードワークして、自分たちのリズムに持っていくというか。それで点を取れればいいリズムで、そのあとの時間もプレーできるので。それがここ数試合でできているのが、勝ちにつながっているのかな」
仲川のゴールで先制した横浜FMは後半に失点を喫したものの、49分に松原健からの絶妙なラストパスからエリキが2点目を決めると、69分には右サイドを突破した仲川がエリキのゴールをアシスト。さらに89分にはエリキが自ら奪ったボールから最後は遠藤渓太が決めた。終わってみれば、4-1と昨年王者を圧倒した。
それにしても強い。その理由を、「前線の外国人選手が強烈なので(笑)」と表現した仲川だが、「でも……」と前置きした上で、「攻撃だけじゃなくて、みんながやってくれている」と前線からのハードワークと、「小さな自信の積み重ねが大きくなっている」ことを明かした。そして「優勝まであと少しというところまで来ているのかな」と自信をのぞかせた。
「勝てばいい」。優勝を射程圏内に捕えた時からチーム内でたびたび聞かれた言葉は、この日、仲川の口からも出てきた。次の最終戦でホームに迎え撃つ、FC東京戦について聞かれた時だった。
「4点差とかは関係なく、自分たちのサッカーをして勝てばいい。だから攻めに攻め倒していくと思いますよ。僕らはそういうスタイル、そういう志向になっているので、攻めて、攻めまくって、点を取って、勝てばいいです」
実に頼もしい。シーズン当初、目標に掲げた『背番号=得点』は難しいかもしれない。それでも、次に掲げた『ゴール+アシスト=背番号』は達成した。ついにチームメートのマルコス ジュニオールに並ぶ、得点ランキングトップタイに躍り出た仲川。その勢いは、優勝するまで誰も止めることはできない。
By サッカーキング編集部
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