[写真]=J.LEAGUE、兼子愼一郎
■セレッソ大阪 攻撃面は好調も、“ヨニッチロス”の最終ラインが気がかり
【プラス材料】
宮崎キャンプで公開されたトレーニングマッチ3試合は2勝1分と無敗。いずれの試合も複数得点を奪っており、レヴィー・クルピ監督就任により攻撃サッカーに舵を切ったチームの船出は順調と言える。
加入1年目の昨季はリーグ戦5得点に終わったFW豊川雄太が、宮崎キャンプではファジアーノ岡山戦のハットトリックを含む3試合・4得点と猛アピール。エースに名乗りを上げ、開幕戦でのゴールにも期待がかかる。
攻撃サッカーへシフトした一方、守備のバランス低下が不安視される中、クルピ監督は前体制時の強みを継続することを明言。その強みとは、選手個々が状況に応じて適切な位置取りをする“ポジショナルサッカー”。昨季まで見られた堅いブロックは、今季も健在だ。
【マイナス材料】
ジェフユナイテッド千葉から加入したMF為田大貴とDF鳥海晃司が始動後にケガを負い、戦線離脱。加えて、期待の新外国籍選手であるFWアダム・タガート(オーストラリア)、DFチアゴ(ブラジル)、GKダン・バン・ラム(ベトナム)は、新型コロナウイルス蔓延による政府の入国規制措置の影響を受け、いまだ合流できていない。
昨季までディフェンスラインの要として君臨していたDFマテイ・ヨニッチが上海緑地申花へ移籍したことで、守備力低下が懸念される。その穴を埋める働きが期待される新加入3選手だが、いずれもマイナス材料を抱えている。チアゴは先に述べた理由からいまだチームに合流できていない。北海道コンサドーレ札幌から加入したDF進藤亮佑は、軽いケガでキャンプ前半は別メニュー調整と出遅れた。2月16日に急きょ獲得が発表されたDFダンクレーは合流から約1週間と、チームメイトの顔と名前を憶えている段階。“ヨニッチロス”をスムーズに克服できるかが、今季の成否を左右する最も大きなポイントと言っていい。
文:totoONE編集部
■柏レイソル オルンガの抜けた穴をチーム全体でどこまで埋められるか
【プラス材料】
今季はベガルタ仙台からMF椎橋慧也、大宮アルディージャからMFイッペイ・シノヅカという即戦力を獲得。さらにアビスパ福岡への期限付き移籍で飛躍的な成長を遂げたDF上島拓巳が帰還を果たした。全体的な選手層は昨年以上に厚みを増した感がある。また、昨季はケガでほぼ1シーズンにわたって離脱を強いられたMFマテウス・サヴィオが復帰。局面を変えられるクリエイティブなアタッカーの存在は大きなプラス材料だ。
指宿キャンプでは、今年初の対外試合となったテゲバジャーロ宮崎とのトレーニングマッチこそ「最初の試合のため、攻撃のテンポが上がらなかった」とネルシーニョ監督が言うように0-0の引き分けに終わったものの、その後はいわてグルージャ盛岡とジェフユナイテッド千葉に連勝を収めた。指揮官はバランスの良い守備面に「手応えを感じている」と評価しており、開幕戦に向けて上々の仕上がりを見せている。
【マイナス材料】
昨季のリーグMVPと得点王に輝いたFWオルンガが今オフに移籍。チームの得点源を失った影響は計り知れず、その穴はそう簡単に埋まるものではない。その穴を埋めるために、キャンプではビルドアップやポゼッションといった攻撃の厚みを出すことに主眼を置いてトレーニングが取り組まれていた。
ただ、昨季の柏レイソルはカウンターで圧倒的な破壊力を誇った一方、自分たちがボールを握った時の攻撃のアイデアや質には課題が残った。その課題克服を期して、キャンプでは全選手が直向きにトライする姿勢を見せたとはいえ、複数人が絡んで相手の守備網を崩す形を成熟させるには、もうしばらく時間が必要だろう。現時点ではオルンガを失った攻撃には大きな懸念が残る。
文:鈴木潤