42分に先制ゴールを奪った大久保[写真]=Getty Images
2月27日に行われたセレッソ大阪vs柏レイソルのJ1リーグ開幕戦。15年ぶりにC大阪に復帰した大久保嘉人は周囲の予想に反し、スタメン出場を果たした。すると42分には、松田陸の右クロスに頭で合わせ先制ゴール。自身の持つJ1通算最多得点記録を「186」に更新する鮮烈なゴールが決勝点となり、C大阪を勝利に導いた。
「ゴール前にパスが来れば、(点を取れる)自信はあると思っていた。陸はクロスがうまいので、自分はDFを外して、いいところにいればいいと思っていたなかで、ドンピシャリのボールが来た」
試合後のオンライン会見で、自身のゴールをそう振り返った大久保だが、プロとして最初に過ごしたクラブへの復帰には、並々ならぬ決意を抱いていた。
始動記者会見では、「最後は『セレッソで』と思っていたなか、復帰できないと感じていたけど、帰らせてもらって本当にうれしい。恩返しをしたい」と熱い思いを告白。その言葉を証明するように、チーム始動日は「例年になく、体を絞った状態でスタートできた」が、宮崎キャンプで公開されたトレーニングマッチ3試合では、いずれも控え組だった。それでも、「徐々に上げていきたい」と焦ることはなく、自身のペースで調整。開幕3日前となってようやく紅白戦で先発組となり、開幕戦のピッチに立った。
今年で39歳。その原動力はどこにあるのか。若い頃と比べてサッカーへの向き合い方の変化を問うと、きっぱりと言い切った。
「何も変わっていない。うまくなりたい、成長したい、ゴールを取りたい、勝ちたい。その気持ちは何も変わっていないんです」
2年ぶりに舞台をJ1に移した今シーズンは、J1通算200得点の大記録達成も期待される。衰えない情熱がある限り、大久保は一つひとつゴールを積み重ねていくだろう。そう感じさせる、開幕戦となった。
文=山本剛央