Jリーグは19日、理事会において、「2026-27シーズンからシーズン移行を実施することを決め、残された課題を継続検討していく」ことを決議した。
今回の決議を受け、Jリーグは2025年シーズン終了後、0.5シーズンの特別大会を経て、秋春制のシーズンが2026年8月1週頃に開幕。同年12月2週頃から2027年2月3週頃までをウインターブレーク期間とし、2027年5月最終週頃に閉幕を迎えることになる。
同日には記者会見も行われ、決議されたシーズン移行の概要や、その目指す方向性などが説明された。その中で、Jリーグは開幕からの30年で着実に成長を遂げてきた一方で、欧州トップクラブとの売り上げ規模の差が大幅に拡大したことなどを提示。そういった状況を踏まえ、シーズン移行によって「Jリーグを世界と戦う舞台へ」と変えていく考えなどが明示された。概要は以下の通り。
<検討の背景>
■広がった『世界との差』
・Jリーグ開幕から30年の中で着実に成長してきた一方で、1994-95年あたりまでイングランドのプレミアリーグと同じ規模(500億円)だったクラブ売上の規模の差が拡大
→プレミア:約8300億円(20クラブ売上合計)
→Jリーグ:1375億円(58クラブ売上合計)
・年間売り上げの平均
→海外1〜20位:平均630億円
→海外21〜40位:平均231億円
→Jリーグ1〜5位:平均68億円
■次の30年に向けて
▼Jリーグが世界一のリーグになる。
▼Jリーグ選手中心で構成される日本代表がW杯優勝。
・現在の差を考えた場合、まずは“目指すべき状態”を具体的に設定→『次の10年』で目指す姿
■次の『10年』で目指す姿
【1】アジアで勝ち、世界と戦うJリーグ
・ACLエリート:4年に2回優勝(=クラブW杯に2クラブが参加)、出場全3クラブが毎年ベスト8以上
・クラブW杯:ベスト8以上
・トップクラブの売上規模:200億円
【2】欧州リーグとJリーグ選手による日本代表
・Jリーグの中に「世界基準」をつくる→Jリーグで戦える=世界で戦えることが示せる環境
・日本代表のJリーグ選手の割合30パーセント(=8名/26名)
※現在は15パーセント(=4名/26名)
【3】全Jクラブの売上を1.5-2倍へ
・トップラインを引き上げながら、それぞれのクラブがそれぞれの地域で輝く存在へ
※J1平均:49億→97億/J2平均:17億→35億/J3平均:7億→13億
<解決したい問題>
【1】AFCチャンピオンズリーグ(ACL)シーズンとのズレ
・ACLが2023年からシーズン移行を実施。
・Jリーグのシーズンとズレたことで、Jクラブはシーズンを跨いでACLを戦うことに。
【2】欧州シーズンとのズレによるシーズン中の海外移籍
・欧州シーズンの開幕前(夏)が、世界の移籍マーケットが最も大きいタイミングとなる。
・夏はJがシーズン真っ最中であるが、多くの有力選手が海外移籍している。
【3】海外からの移籍金売上
・現在の日本人選手は、欧州中堅リーグを経由して、移籍金が大幅に増加(1億→20億)していく傾向
・海外では移籍金売上が10億円以上のクラブが毎年100クラブを超える。一方、Jリーグは年間の全クラブ合計の海外移籍金売上が15〜25億円程度という状況。
【4】猛暑でのパフォーマンス低下
・猛暑(6-9月)において選手の走行距離や高強度走行距離が顕著に低下。
→J1リーグ:猛暑で大きく低下し、終盤に回復=谷型のカーブ
→欧州5大リーグ:開幕からコンディションを上げ、終盤に向けて下がる=山型のカーブ
<シーズン移行によって実現させること>
【1】Jリーグを“世界と戦う舞台”へ
・高強度のプレーを「谷型カーブ」から「山型カーブ」へ変化させる。
【2】ACLシーズンとの一致
・ACLで勝ち、クラブW杯で世界と戦う
・国際大会での賞金獲得
【3】欧州の移籍マーケットとの一致
・海外移籍の際の移籍金収益拡大
・シーズン中の有力選手離脱を防ぐ
・欧州からの選手・監督の流入促進
【4】猛暑での試合数減少
・6-7月のオフ
・シーズンオフから準備をして迎える8月
<シーズン移行の概要>
【1】試合日程
▼現在
・2月3週頃に開幕 → 12月1−2週頃に閉幕
・J1は8年に3回ペースで6-7月に中断(※W杯・アジア杯開催のため)
・平日開催は4試合程度/W杯等あると8試合程度
▼移行後
・8月1週頃に開幕 → 12月2週頃にウィンターブレーク → 2月3週頃に再開 → 5月最終週頃に閉幕
・平日開催は6試合程度(ホームゲームが1試合増)
【2】降雪地域クラブのアウェイ連続(リーグ戦)
▼移行後
・移行しない場合と比較し、『アウェイが+1連続』となるクラブが発生
【3】降雪地域等のクラブへの支援
▼キャンプ費用増額分の支援
・シーズンオフ(夏)/ウィンターブレークでのキャンプ費用
・シーズン中にホームタウン外でキャンプを行いながら試合をする際のキャンプ費用
▼施設整備への支援
・スポーツが行えるエアドーム
・降雪エリアのスタジアム対応
・降雪エリア以外の暑熱対応
By サッカーキング編集部
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