藤野(15番)のゴールで先制も、なでしこは逆転負け [写真]=Getty Images
パリオリンピック2024(パリ五輪)のグループC第1節が25日に行われ、なでしこジャパン(日本女子代表)がスペイン女子代表と対戦した。
なでしこジャパンがパリ五輪の初陣に臨む。自国開催だった東京五輪は無念のベスト8敗退。大会終了後、5年4カ月にもわたってチームを率いてきた高倉麻子元監督が指揮官の座を降り、代わって池田太監督が就任した。昨年に行われたFIFA女子ワールドカップオーストラリア&ニュージーランド2023ではグループCを3戦全勝で突破し、ラウンド16でもノルウェー代表を破りながら、準々決勝でスウェーデン女子代表に敗れてベスト8敗退。今大会では“ベスト8の壁”を破り、悲願の金メダルを目指す。
そんなパリ五輪の初陣では、ヨーロッパの強豪として知られるスペインと激突。両者はFIFA女子ワールドカップオーストラリア&ニュージーランド2023のグループCでも同居していたが、当時は宮澤ひなたの2得点、植木理子&田中美南のゴールにより、4-0でなでしこジャパンが完勝を収めた。だが、同大会でなでしこジャパンが準々決勝で敗退したのに対し、スペインは悲願の初優勝を飾っている。W杯王者としてパリ五輪に参加しているスペインに対して、なでしこジャパンは昨年の“再現”をできるだろうか。
注目のグループ初陣に向けて、池田監督はキャプテンのDF熊谷紗希を筆頭に、清水梨紗、長谷川唯、長野風花らの主力をスターティングメンバーとして送り出した。負傷の関係で別メニュー調整が続いていた北川ひかると林穂之香についてはメンバーから外れており、代わって守屋都弥と千葉玲海菜がメンバー入り。今大会は負傷者や体調不良者などが出た場合、大会期間中であってもバックアップメンバーの4名から補充ができることが決まっているため、北川と林は負傷から戻ってきた場合、再びメンバー入りすることも可能だ。
なでしこジャパンは保持時に古賀塔子が左センターバック、清家貴子が左ウイングバックに入る3-4-2-1、逆にスペインがボールを保持している際は藤野あおばと田中が2トップを組み、清水が右サイドバックに降りる4-4-2のような形でスタート。立ち上がりからスペイン代表がボールを握ったものの、3分にはなでしこジャパンがショートカウンターでチャンス構築。高い位置で宮澤がボールを奪い、中央へ預けると、田中が左のスペースへ流し入れる。抜け出した藤野がボックス左から左足でシュートを放ったが、ここはGKに阻まれた。
続く11分には前線へのロングフィードに対してスペインのGKカタ・コルが飛び出すも、処理が中途半端になり、セカンドボールを田中が回収。ペナルティエリア手前右寄りの位置で倒され、フリーキックを獲得する。キッカーを務めるのは藤野。右足で壁の外側から巻くようなシュートを放つと、綺麗な弧を描いた一撃がニアサイドに突き刺さる。7月13日に開催されたMS&ADカップ2024 ~能登半島地震復興支援マッチ がんばろう能登~のガーナ女子代表戦(○4-0)に続き、藤野が直接フリーキックでゴールネットを揺らし、なでしこジャパンが先手を取った。
なでしこジャパンが幸先の良いスタートを切ったが、W杯王者もこのまま黙ってはいない。22分、ボックス手前右寄りの位置でボールを引き出したアテナ・デル・カスティージョがスルーパスを送ると、ボックス右のスペースへ抜け出したアイタナ・ボンマティがフィニッシュ。冷静にゴールに流し込み、試合は振り出しに戻った。
その後は基本的には4-4-2の布陣でスペインの攻撃に対して構える時間が続く。なでしこジャパンとしてはなかなか自陣を抜け出せず、スペインの時間のまま試合は進行。39分には左コーナーキックからイレーネ・パレデスにシュートを打たれるも、GK山下杏也加が決死のセーブを見せ、ゴールを死守した。
アディショナルタイムを含めても、なでしこジャパンとしては耐える時間が長かったが、ボックスを固める守備でなんとか凌ぎ、前半はこのまま1-1で終了した。
ハーフタイムが明けると、池田監督が動く。清家に代えて浜野まいかをピッチへ送り出す。その浜野は50分、田中が前線でのボールキープで得たフリーキックから、ボックス内でシュートを放ったものの、ここはGKコルに阻まれた。
後半に入っても試合の様相は変わらず、スペインが主導権を握る。浜野の投入により、宮澤が左サイドバックに回り、5-4-1でスペインの攻撃に対応していく。
66分にはなでしこジャパンにアクシデントが発生。マリオナ・カルデンティにドリブル突破を許した際、清水が右ひざのあたりを抑えて倒れ込む。プレー続行は不可能となり、代わって高橋はなをピッチへ送り出す。古賀が右のサイドバックにスライドし、高橋は右のセンターバック、南が左のセンターバックに移る形へ変更した。
後半に入ってもなでしこジャパンはスペインの攻撃を食い止めていたものの、74分には遂に逆転を許す。左サイドからドリブルを開始したカルデンティが、ボックス手前のボンマティとのパス交換でペナルティエリア中央へ侵入。寄せてきた高橋のタイミングをうまく外し、右足でシュートを放つと、狙い澄ました一撃がゴールに吸い込まれた。
後がなくなったなでしこジャパンは、80分に田中を下げて千葉を投入。なんとか反撃の糸口を探ったものの、なかなか決定機を作り出すことはできない。90分には古賀に代えて守屋を投入し、攻撃に出ようと試みたものの、最後まで同点ゴールは挙げられず、試合はこのままタイムアップを迎えた。
なでしこジャパンはスペインに対して防戦一方の展開を強いられながら、うまく凌いでいたものの、最後は力及ばず逆転負けを喫した。
次節は現地時間28日に行われ、なでしこジャパンはブラジル女子代表と、スペインはナイジェリア女子代表と、それぞれ対戦する。
【得点者】
0-1 13分 藤野あおば(なでしこジャパン)
1-1 22分 アイタナ・ボンマティ(スペイン女子代表)
2-1 74分 マリオナ・カルデンティ(スペイン女子代表)
【スターティングメンバー】
なでしこジャパン(4-4-2)
GK:山下杏也加
DF:清水梨紗(68分 高橋はな)、熊谷紗希、南萌華、古賀塔子(90分 守屋都弥)
MF:宮澤ひなた、長谷川唯、長野風花、清家貴子(46分 浜野まいか)
FW:田中美南(80分 千葉玲海菜)、藤野あおば
By サッカーキング編集部
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