チーム3点目を決めた本田。槙野に目を向けたものの、ベンチ側へ行くことはなかった [写真]=兼子愼一郎
“新ルール”を決めた二人の約束は惜しくも(?)果たされなかった。
日本代表は29日に2018 FIFAワールドカップロシア アジア2次予選でシリア代表と対戦。2点リードで迎えた86分、FW本田圭佑(ミラン/イタリア)が鮮やかなヘディングシュートを決めた。左サイドからMF香川真司(ドルトムント/ドイツ)が放ったクロスを、ペナルティエリア内でフリーの背番号4が頭で押し込んだ。
ゴールが決まった瞬間、本田はバックスタンド側のコーナーフラッグに向かって走って行く。追いかけるようにアシストした香川が後ろから抱きつき、サポーターとともにゴールを祝福した。
その反対サイドに目を向けると、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督だけでなくスタッフ、ベンチメンバーが大喜び。実は、24日のアフガニスタン戦で出番のなかった本田とDF槙野智章(浦和レッズ)が、「点が入ったら、ベンチメンバーも含めて全員で喜ぶ」という新ルールを作っていた。さらにDF昌子源(鹿島アントラーズ)は「(アフガニスタン戦では)後半に4点入ったけど、誰も来てくれなかった。次はお願いしておきます(笑)」と得点者はベンチに来るよう求めていた。
シリア戦でもこのルールは適用され、点が入る度にベンチメンバー全員が立ち上がり得点を喜んだ。しかし、この日も誰一人ベンチにはやってこない……。
チーム3点目が決まった時、ルールの共同発案者である槙野はラインギリギリに立ち、ゴールを決めたヒーローを大きく手招きをした。だが、逆サイドにいる本田は申し訳なさそうに右手を挙げながら、定位置へと戻っていった。
そのやり取りが気になり、試合後にミックスゾーンを足早に通り過ぎる槙野を「一つだけ」と止めて、あの場面について尋ねると、思いの丈を吐き出すように「『約束してたのに!』って言っといて」と一言。この思いを本田に伝え、「やっぱり遠かったですか?」と聞くと、「そうですね」と苦笑いで申し訳なさそうな表情を浮かべていた。次の日本代表戦は、6月に開催されるキリンカップ。もちろん同時にピッチに立つ可能性もある。果たして二人の約束が果たされる日は来るのだろうか。
文=高尾太恵子
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By 高尾太恵子
サッカーキング編集部