タイ代表との“元日決戦”で代表デビューを飾った奥抜侃志 [写真]=Getty Images
『TOYO TIRES CUP 2024』が1月1日に行われ、日本代表がタイ代表を5-0で破った。試合後、前半の45分間プレーした奥抜侃志(ニュルンベルク/ドイツ)が、報道陣の取材に応じた。
今季はニュルンベルクで主力に君臨し、ここまで公式戦通算20試合出場4ゴール2アシストを記録している奥抜にとって、今回は2度目のA代表招集。前回は10月シリーズの中で三笘薫(ブライトン/イングランド)の負傷離脱を受けての追加招集だった。しかし、10月17日に開催されたキリンチャレンジカップ2023のチュニジア代表戦(○2-0)で出番は得られず、デビューを飾ることなくドイツに帰還。あれから3カ月弱、今回の活動で再び森保一監督から声がかかった。
わずかな数日間の合宿ではあったものの、きっちりと自分の武器をアピールし、日本代表史上初の“元日決戦”でスターティングメンバーの座を勝ち獲った。事前に先発、そして前半45分間のみピッチに立つことを告げられていたという奥抜は、前日も緊張などはなく「問題なく寝れました」と話す。準備は完璧だったが、試合が始まると、前半の日本代表は攻めあぐねる時間が長く、スコアレスで45分間を終えた。
チームが前半を無得点で終えたという結果を受け、左サイドの2列目に入っていた奥抜は「やっぱり結果が欲しかった。前半で代わるとは言われていたので、45分間の中で(結果を)残せなかったのは歯痒いです」と悔しさを露わにしている。「結果の部分はもちろんですが、縦への突破を意識して入りました」と語っており、試合前には自身の持ち味を発揮するイメージはしていたものの、決定的なチャンスに繋がったシーンは少なかった。
もっとも、今回の日本代表メンバーと自身の特徴を擦り合わせる時間が少なかったのは事実だ。しかし、現在のような立場から日本代表の常連を狙って行くのであれば、短いトレーニング期間の中でもチームメイトに自身の特徴をアピールし、インパクトを残していかなければならない。奥抜自身も“改善点”として「ワンツーだったり、縦へ潜り込む時とか、もっと自分の特徴をわかってもらうためにコミュニケーションを取らなければとは感じました」と話していた。
一方で、右サイドの2列目に入った伊東純也(スタッド・ランス/フランス)からは良い刺激を貰った。チームとしての攻撃が停滞する中でも、周囲とうまく連携しながら相手の脅威となった伊東について、奥抜は「純也くんは縦に速くて、うまく絡んでチャンスを作っていました」と語る。「自分ももっと突き詰めてやっていかなければ」と決意を新たにすると、「自分も背後へのランニングなど、できることを増やしていかなければと思います」と宣言。大きな1キャップを刻んだことで、個人としての成長意欲も高まっており、「やっぱり結果が1番大事だと思います。良いプレーをすることはもちろんですが、結果を残すことをもっともっと考えていかなければと思います」と今後の飛躍を誓った。
自身のパフォーマンス面では悔しさが残ったものの、経験面では大きなものがあった。10月のチュニジア代表戦をベンチから見ていた時と今回を比較して、奥抜は「見ているのとプレーをしているのは全く違いました」と感想を明かす。今の自分でも通用する部分とそうではない部分を実感できたようで、さらなる向上心も芽生えた様子だ。「ピッチの中で代表戦を肌で体感できたというのはすごく大きな財産になりました。もっとここでやっていかなければという気持ちも芽生えたので、もっと自分に厳しくやっていきたいです」と力強く語った。
また、タイ代表戦の会場となった『国立競技場』には、古巣である大宮アルディージャのサポーターによって奥抜の横断幕が掲げられていた。奥抜は横断幕について「気が付かなかったです」と申し訳なさそうに話していたが、育成組織の時代も含めると約11年間在籍した大宮への感謝を忘れたことはない。ファン・サポーターからの声援も届いている様子で、「アルディージャのサポーターからの応援は強く実感しているので、そこを裏切らないようにもっともっと結果で示していきたいです」と語っていた。
このタイ代表戦がタイムアップを迎えてからおよそ2時間半後、森保監督はAFCアジアカップカタール2023に臨むメンバーを発表しており、26名のリストの中に奥抜の名前はなかった。アジアカップ終了後に再び日本代表のメンバー争いに参戦するために、奥抜にできることはニュルンベルクで成長を続けることだろう。今後の代表定着へ向けて、奥抜は「チームに戻って、そこで結果を残して、自分としてもステップアップを果たして、さらにまたここに戻って来られるように頑張っていきたいです」と意気込んだ。
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By サッカーキング編集部
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