「月間!!ハセベマコト」のコーナーでは、フランクフルトに所属する長谷部誠が、バイエルンの攻略方法を解き明かした。
長谷部が所属するフランクフルトは、12月22日のブンデスリーガ第17節でバイエルンと対戦する。今シーズンのバイエルンは第11節終了時点で5位と、昨シーズンまでの強さを発揮できずにいる。バイエルンとの対戦経験が豊富な長谷部が現状を分析し、その攻略法を提言してくれた。
まずはバイエルンの現状について。長谷部は不調の原因をこのように分析した。
「多くの選手が年齢を重ねてきているので、チームとしての全体的なスピードに欠けているな、というのは正直、感じていて。やはり現代フットボールの中で、スピードっていうのはすごく大事で、もちろん全員が速くなくていいと思うんですけど、個で打開できるところであったり、トランジション、攻守の切り替えからのスプリント力っていうのは、今のバイエルンには欠けていると思います」
そして、昨シーズン終盤からその兆候が見えていたという。
「バイエルンのうまくいっていない状況っていうのは、今シーズンに始まったことじゃなく、昨シーズンの終盤から、ちょっとうまくいっていないなっていうのはやっぱり見ていて感じていました。実際に僕たちも最後、カップ戦の決勝(17-18シーズンのDFBポカール決勝)で当たって3-1で勝っていますから」
長谷部はバイエルンと何度も対戦しているが、ヴォルフスブルクで優勝した08-09シーズンの印象が強いようだ。
「僕もヴォルフスブルクでバイエルンを退けて優勝していましたし、あの頃は、周りの若い選手たちはとてつもない成長を遂げて、チームとしてもすごく機能していたし、自分は本当にチームのみんなに引っ張ってもらっている一つの駒に過ぎなかった。バイエルンと対戦してホームで5-1と勝った時(08-09シーズンの第26節)も、僕はひざの手術で試合に出られなかったんですけど、その時は恐らくバイエルンは、プライドをズタズタにされたと思う。あの時のバイエルンには、王者の風格はなかったですね」
では、12月22日の対戦でフランクフルトがバイエルンを攻略するためのカギはどこにあるのだろうか。長谷部は「願わくはあと1カ月、対戦する時まではこの調子でいてほしいなっていうのはあるんですけど(笑)」と。冗談交じりに語った後、バイエルンの弱点と攻略法をこう語った。
「彼らのウィークポイントは、見ていてもかなりディフェンスラインは遅いし、オーガナイズされていないですね、今の状態では。だから必ずチャンスは作れると思う。まずは守備にかなりの問題があるので、恐らくウチの前線3人だったらかなりやれるんじゃないかなっていうのはあります。とにかく前の3人、セバスティアン・アレ、アンテ・レビッチ、ルカ・ヨビッチという3人がとにかく強烈で、彼らが点を取ってくれるという感覚があるので、後ろの自分たちとしては、しっかりと守り切れば絶対勝てるっていう感覚があります」
長谷部としては、勝利のためには相手の得点源であるロベルト・レヴァンドフスキとのマッチアップを制する必要がある。今シーズン開幕時のDFLスーパーカップではハットトリックを決められ、長谷部はその後、しばらくスタメンから外された経緯がある。レヴァンドフスキ対策は練っているのだろうか。
「彼はもう、どこからでも点を取れるので、逆に、彼にうまくボールを入れさせないことが大事かな、と思いますね。やっぱり彼のところに(ボールが)いくと、なんだかんだ点を取っているし、今シーズンはそこにいい形でボールが入らないから、チーム全体として点が重ねられていないというのはあります。彼は本当に一瞬の隙を突いて(点を取る)。今シーズン最初のスーパーカップでも隙を突かれてやられているし、高い集中力が求められると思います」
また、この試合は長谷部にとって、バイエルンを指揮するかつての恩師、ニコ・コバチ監督との再会の舞台にもなる。バイエルンでは選手との確執も伝えられているが、長谷部はニコ・コバチ監督の人間性についてこう評価している。
「ニコ自体は、プレーヤーとしてもバイエルンでプレーしていたので、バイエルンから(監督の)オファーがあった瞬間に『イエス』と言ったと聞きました。彼の野心も分かっているし、彼のやり方も分かっている。フランクフルトでやっていたやり方をバイエルンでもやると、ああいうトップ選手に対しては難しいというのは、周りもよく言っていた問題でした。ただ彼の良さというのは、信念を曲げないところだと思うので、やはり信念を曲げずに成功をつかみ取ってほしいと思いますね」
毎週火曜日21時から生放送されている『日本人を応援せよ!!Football TimeLine』。次回は12月4日(火)21時スタートの予定で、スペシャルゲストとしてJリーグ副理事長の原博実氏が登場する。
By サッカーキング編集部
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