セリエA第2節でユヴェントスとナポリが対戦する [写真]=Getty Images
群雄割拠の戦乱のシーズンがやってくるのか? 前人未踏の8連覇を成し遂げたユヴェントスと2年連続2位で89-90シーズン以来の優勝を狙うナポリが、セリエA第2節でいきなり激突する。今シーズンの優勝戦線を占う極めて重要な一戦だ。開幕戦は、双方ともに勝利を収めたものの、盤石の勝利とはいかなかった。果たしてこの試合の行方はどうなるのか。
■開幕戦は“アッレグリのユーヴェ”
絶対王者ユヴェントスは開幕戦で、敵地エンニオ・タルディー二でパルマと対戦。今シーズンから監督を務めるマウリツィオ・サッリが肺炎のため不在となり、代わって助監督のジョヴァンニ・マルトゥシエッロがベンチから指揮を執った。2012-13シーズンから3年間、エンポリでテクニカル・アシスタントを務め、サッリイズムのイロハを熟知するものだ。
まずこの試合で誰もが驚いたのが、ユーヴェのスターティングメンバーだろう。ミランからチェルシーを経て出戻りとなったゴンサロ・イグアイン以外、10人が昨シーズンと変わらぬメンバーだったからだ。サミ・ケディラやブレーズ・マテュイディの中盤の2人は、サッリ体制では当初、チームに留まるのも難しいと見られていた。ケディラこそ、夏のプレシーズンマッチで信頼を勝ち取り残留が濃厚となったが、マテュイディの退団の線は強かった。それが2人ともに、開幕戦で先発となった。ただ、途中出場した新戦力のアドリアン・ラビオのプレーを見れば、ケディラとマテュイディが先発した理由も理解できるものだった。ラビオがチームにフィットしていないのは明らかで、同じく新加入のアーロン・ラムジーに至ってはコンディション不良で招集から外れている。昨シーズンと代わり映えのしないメンバーだったのは致し方なかったのかもしれない。
21分に主将ジョルジョ・キエッリーニのゴールにより先制点を奪ったが、前半はカウンターによりパルマに何度もゴールを脅かされた。昨シーズンの2試合で3得点を許したジェルヴィーニョを封じ込みはしたものの、ロベルト・イングレーゼには前半、何度か危険な場面を作られた。
今シーズン、ユヴェントスはセリエA5連覇に導いた功労者のマッシミリアーノ・アッレグリを切り、サッリを招へいした。その理由は「どんな相手に対してもボール支配で主導権を握り、攻撃的でスペクタクルなサッカーを敷く」ことが狙いだった。このパルマ戦、試合を通じて61.4パーセントのボールポゼッションを示したが、スペクタクルなサッカーを見せたのはほんのわずかだった。時折、クリスティアーノ・ロナウドが右サイドにポジションを移し、イグアインとのコンビで好機を演出することはあった。ただ、C・ロナウドのゴールがVARによりオフサイドと判断され取り消される不運はあったが、格下パルマ相手にチームの枠内シュート4本は寂しい数字だ。サプライズといえば、守備的なサイドバック、マッティア・デ・シリオがアグレッシブなスタイルを見せ、これまでなかったような鋭い突破を成功させる場面が何度かあった。不用意なパスミスが多かったのは改善すべきだが。
試合後の選手たちの喜びようを見れば、開幕戦という難しい一戦だったことが窺える。しかし、この試合の内容は堅実に勝利を収めるアッレグリのサッカーそのものだった。これだけの実績を持つチームの戦いをドラスティックに変えるということがいかに難しいかが見て取れた試合だった。アッレグリ体制であれば、この結果は喜べるものだろうが、これではわざわざサッリを招いた理由がない。しかし、サッリの息がかかった選手がいないものだから、彼のアイデンティティをチームに植え付けるのは容易ではなさそうだ(エンポリ時代の教え子であるダニエレ・ルガー二は構想から外れ、退団が濃厚だ)。
■打ち合いを制したナポリ
一方、ナポリは、ロッコ・コンミッソ新会長を迎え、近年にない大型補強を敢行するフィオレンティーナを相手に苦戦を強いられた。
3600万ユーロ(約42億円)もの大金を投じてローマから獲得したコスタス・マノラスが加わり、カリドゥ・クリバリとコンビを組む守備は難攻不落と思われたが、蓋を開けて見れば3失点。フィオレンティーナに押し込まれる時間も長かった。これには、カルロ・アンチェロッティ監督も首をかしげる。「あなたたち記者は、攻撃の選手が必要かどうかを私に要求する。しかし、この試合を終えてみて、恐らく守備の選手がより必要だろう」とコメントするほど、守備の出来には不満を示した。
それでも、アウェイでの戦いで、4得点を奪った攻撃力は健在だ。ダヴィデ・マッサ主審がドリース・メルテンスのシミュレーションを見落としたことによりPKが与えられる幸運もあったが、その1点を抜きにしても、決定力の高さは目を見張るものがある。U-21欧州選手権でスペイン代表として戦い、チームへの合流が大幅に遅れたファビアン・ルイスのコンディション不良は気がかりだが、前線の3大テノール、メルテンス、ホセ・カジェホン、ロレンツォ・インシーニェは開幕からエンジン全開。3人の攻撃陣はユヴェントスにとっても大きな脅威となるだろう。
■ユーヴェは主将を欠いて大一番へ
肺炎で開幕戦を欠席したサッリ監督にとって、ナポリ戦は古巣対決となる大一番。だが、28日のトレーニングで采配を振るい、元気な姿を見せているものの、試合ではベンチ入りしない模様だ(しかもこの男、肺炎にもかかわらず、相変わらずタバコを止めることはできないようだ)。そのため、基本的なメンバーはパルマ戦と変わらない見方が大きいが、サッリがトレーニングの指揮に復帰したことで、何らかの変化はあるかもしれない。そのポジションは、イグアインが出場したワントップの位置。このポジションにパルマ戦で出番がなかったパウロ・ディバラが入る可能性もあるようだ。ただ、移籍市場は現地時間9月2日22時まで開かれており、ディバラの移籍の噂は消え去っていない。サポーターに最も愛される選手の一人であるが、現時点での彼の立ち位置は極めて不透明だ。イグアインが、よりアシストに重点を置くスタイルを披露していることもあって、ディバラは厳しい立場に置かれている。
そして、この夏の補強の目玉となったマタイス・デ・リフトの起用法も懸念される。7500万ユーロ(約87億7000万円)もの移籍金を投じて獲得した選手がベンチ要員とはなんとも贅沢なもの(パルマ戦のベンチメンバーに至っては、年俸総額で4800万ユーロ=約56億円にまで達するという)。そのデ・リフトはパルマ戦をベンチから見届けたあと、「自分が出られないとは思ってもいなかった」と吐露している。ただ、30日のトレーニング中にキエッリーニがひざを負傷したようで、ナポリ戦ではデ・リフトがボヌッチとコンビを組むことになりそうだ。主将不在という大きすぎる穴を埋めることができるのか。デ・リフトのプレーに大きな注目が集まる。
■ナポリに加わった期待の新戦力
ナポリのスターティングメンバーに大きな変更はないと予想される。ただ、開幕戦前日に補強した期待のFWが試合途中からピッチに立つ可能性は大だ。PSVから3800万ユーロ(約44億5000万円)で獲得したイルビング・ロサーノ。24歳のメキシコ代表だ。2018年ワールドカップではドイツ代表を相手に決勝点をマーク。昨シーズンのエールディヴィジでは18得点を記録している。「ロサーノの加入で、スクデットに値するチームが仕上がった」とアンチェロッティの鼻息も荒い。
昨シーズンは、ユーヴェを相手にアウェイで1-3、ホームで1-2といずれも敗戦を喫していたが、現段階ではチーム力の差が縮まっているのは間違いない。弱点を効果的にピンポイント補強し、昨シーズンよりも格段にチームの競争力は高まった。“パルマ戦のユヴェントス”であれば勝機は見えてくる。狙いどころは中盤の横パス。パルマにもこれをカットされ、カウンターでゴール前まで持ち込まれたが、ネットを揺らす決定力はなかった。しかし、ナポリの攻撃陣には一つのミスを得点に結びつける力が備わっている。3大テノールに左右両サイドをこなすロサーノが加わった前線の攻撃力は見応え十分。FW陣には高さはないが、195センチのクリバリ、189センチのF・ルイスとマノラスが参加するセットプレーは、ユーヴェも警戒しなければならないだろう。実際、17-18シーズンの対決では、CKからクリバリが脅威的な高さのヘディングを叩き込み、これが決勝点となっている。セットプレーから得点が生まれる可能性は低くはなさそうだ。
勢いはナポリにあると見る。ただ、これだけ早い段階での対戦とあって、どちらもリスクを冒すような戦い方は回避したいところ。積極性を欠き、引き分け狙いのような戦い方も予想できるものだ。この試合の結果次第では、残りわずかとなった移籍市場にも影響が出るだろう。ユーヴェか、ナポリか。注目のビッグマッチは現地時間31日20時45分(日本時間27時45分)にキックオフだ。
文=佐藤徳和/Norikazu Sato
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