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27日に日本と対戦! 「三笘の同僚」「南米最年少」…エクアドル代表について知っておきたい5つのこと

2022.09.26

27日に日本代表と対戦するエクアドル代表 [写真]=Getty Images

 日本代表が今月27日(火)の『キリンチャレンジカップ2022』で対戦するエクアドル代表はどういったチームなのか? 注目の対戦を前に同代表について知っておきたいことをまとめてみた。

[写真]=Getty Images
 

■主力は三苫薫のチームメイト

 
 エクアドル代表の主軸となるとのは、日本代表のFW三笘薫(25歳)が所属するブライトンのMFモイセス・カイセド(20歳)だ。チームの中盤の心臓部として今季プレミアリーグで全試合にスタメン出場しているカイセドは、ブライトンが有する最高のタレントだろう。データサイト『Transfermarkt』によると、同選手の市場価値は2250万ポンド(約35億円)。これはエクアドル代表の最高値であると共に、ブライトンでもベルギー代表FWレアンドロ・トロサールなどと並んでチーム1位の評価なのだ。ちなみに、三笘薫はブライトンで20番目となる270万ユーロ(約4億円)の市場価値が付けられている。
 
 インサイドハーフやボランチとして中盤で精力的に動き、ボール奪取から攻撃参加までこなすカイセド。彼が目標にしているのは究極の“汗かき役”で知られるチェルシーのフランス代表MFエンゴロ・カンテ(31歳)だという。「彼はピッチ全体を主戦場にするし、落ち着いていて、常に自分のプレーに専念するからね」とカイセドはカンテについて語ったことがある。
 
 2年前、ワールドカップ南米予選のアルゼンチン戦で代表デビューを果たした際、カイセドはその機動力を期待され、リオネル・メッシのマンマークを任された。結局、PKからメッシにゴールを許し0-1で敗れるも、エクアドルは敵地で善戦したのである。ブライトンでも、今季プレミアリーグ開幕戦となった『オールドトラッフォード』でのマンチェスター・U戦で、名門クラブを相手に完全に中盤を支配してチームの2-1の勝利に貢献した。

モイセス・カイセド

ブライトンで中盤の主軸として活躍するカイセド


 

■ブライトンの“エクアドル人トリオ”

 
 ブライトンには、他にも注目すべきエクアドル人がいる。実はブライトンには、前述のカイセドに加え、左サイドバック(SB)ペルビス・エストゥピニャン(24歳)、そして攻撃的MFジェレミー・サルミエント(20歳)と3名のエクアドル代表選手が在籍しているのだ。欧州のクラブに3名ものエクアドル代表選手が集まることは珍しいが、決して偶然ではないそうだ。
 
 ブライトンには、今年3月に退団するまでエクアドル人ウインガーのビリー・アルセ(24歳)という選手がいた。ブライトンは、2018年に同選手を獲得した際にエクアドルのクラブとコネクションを築き、2021年2月にアルセの古巣であるインデペンディエンテ・デル・バジェから、当時19歳のカイセドを引き抜いたのである。当時からカイセドは南米で注目の逸材だったそうで「もしブラジル人なら移籍金は5000万ポンド(約75億円)だったはず」と話す記者もいたそうだ。

(左)ペルビス・エストゥピニャンと(右)ジェレミー・サルミエント

ブライトンで活躍する(左)エストゥピニャンと(右)サルミエント


 
 こうしてコネクションを築くことでブライトンに小さな“エクアドル社会”が生まれたのだが、エクアドル人がプレミアリーグに集まる理由は他にもある。みんな母国の歴代最高選手に憧れを抱いているのだ。
 
 エクアドル史上最高選手といえば、マンチェスター・Uで主将まで務めた元エクアドル代表MFアントニオ・バレンシアだ。エクアドルの選手は誰もが彼に憧れており、カイセドも過去に「バレンシアは模範なんだ。努力し続けるモチベーションになる。だから僕の夢はマンチェスター・Uでプレーすることなんだ」と語ったことがある。
 
 今オフにビジャレアルから加入した左SBエストゥピニャンも「昔から憧れていたし、彼を目標にしてきた。彼に出来たのだから僕らにだって出来ると思って頑張ってきた」と、A・バレンシアへの愛着を語っている。こうしてエクアドルの才能が世界最高峰と呼ばれるプレミアリーグに集まってきたのだ。

アントニオ・バレンシア

かつてマンチェスター・Uで活躍したアントニオ・バレンシア


 

■ワールドカップでの実績

 
 エクアドルは2002年の日韓大会で初めてワールドカップに出場した後、2006年、2014年と計3回本大会に出場している。最高成績は2006年ドイツ大会のベスト16で、他の2回はグループリーグ敗退を余儀なくされた。前回出場した2014年ブラジル大会は、南米開催ということもあって南米勢の躍進が目立ったが、エクアドルだけが辛酸を嘗めることに。南米勢は出場した6か国のうち5か国が見事にグループリーグを突破してベスト16に進出したのだが、唯一エクアドルだけがグループリーグで敗退したのだった…
 

■世代交代

 
 2018年ワールドカップの南米予選で下から3番目の8位となって本選出場を逃したエクアドルは、世代交代に着手する。そのきっかけとなったのが年代別代表チームの躍進と新監督だった。2019年、ポーランドで開催されたU-20ワールドカップでエクアドルU-20代表チームが大躍進するのだった。日本と同じグループに入ったエクアドルは、2位の日本に次いで3位でグループを突破。決勝トーナメントではウルグアイやアメリカを下し、3位決定戦ではイタリアを退けて3位という過去最高成績を収めたのだ。

U-20エクアドル代表

2019年のU-20ワールドカップでは3位に輝いたエクアドル


 
 その追い風があり、エクアドル代表は一気に世代交代を進めた。3位に入ったU-20代表メンバーのうち、MFゴンサロ・プラタ(21歳)やDFジャクソン・ポロソ(22歳)など実に5名が今回の代表メンバーに名を連ねている。ちなみに、日本は当時のU-20代表チームからは一人も今回のA代表には選出されていない。
 
 そして、この世代交代を推し進めたのが2020年8月に代表監督に就任したアルゼンチン人指揮官、グスタボ・アルファロ(60歳)なのだ。ワールドカップ南米予選が開幕する10日前に就任したアルファロ監督は、2大会ぶりのワールドカップ出場のためにチームの刷新が必要と判断。当時の代表選手たちはピークを過ぎており、ヨーロッパの一線級のリーグで活躍できていなかったため、若手の抜擢を決断し、若い才能を探してエクアドル中を飛び回ったという。そして若手のレベルの高さを確認し、どんどん若い選手を起用していった。
 
 前述のカイセドのほか、レヴァークーゼンのセンターバック(CB)ピエロ・インカピエ(20歳)などを抜擢。気づけば、今回のワールドカップ南米予選で最多となる6名もの10代選手を起用。そしてチームの平均年齢は最年少の「26歳10カ月」だった。アルファロ監督は、そんな若い選手たちを牽引するために、経験豊富なFWエンネル・バレンシア(32歳)やMFカルロス・グルエソ(27歳)をリーダーに据えてバランスの取れたチームを作り上げた。そして予選が開幕した2020年9月の時点で南米でFIFAランクが2番目に低かったチームが、見事に4位で2大会ぶり本選出場を決めたのだ。

グスタボ・アルファロ監督

エクアドル代表を率いるグスタボ・アルファロ監督


 

■今冬のワールドカップの前に…

 
 今冬のワールドカップの話をする前に、本当に出場権を獲得できているかどうかについて触れておこう。エクアドルのワールドカップ出場について、チリが異議を唱えている。実は、エクアドルが予選で起用した右SBバイロン・カスティージョについて疑惑が浮上している。同選手の年齢と出生地(実はコロンビア出身では?)に疑いがあるとして、チリがFIFAにエクアドル代表を訴えたのだ。もしバイロン・カスティージョが出場した試合が全て「不戦敗」扱いになると、予選で敗退したチリが繰り上げで出場権を獲得することになる。FIFAはすでにチリの訴えを退けており、今後はスポーツ仲裁裁判所で審議されるようだが、余程のことがない限りエクアドルの出場権は安泰と見られている。
 
 さて、エクアドルは本大会で開催国カタール、オランダ、セネガルと同じA組に入っており、開幕戦で開催国と対戦する。英国ブックメーカー『ウィリアム・ヒル』社によると、エクアドルはA組で本命のオランダ、2番手のセネガルに次いで3番手と見られており、グループ突破オッズは「2倍」となっている。そしてエクアドルの優勝オッズは32チーム中20番目の「151倍」。ちなみに日本の優勝オッズは23番目の「251倍」となっている。

(記事/Footmedia

By Footmedia

「フットボール」と「メディア」ふたつの要素を併せ持つプロフェッショナル集団を目指し集まったグループ。

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