2年連続で決勝戦に駒を進めた市立船橋 [写真]=吉田太郎
市立船橋高校の朝岡隆蔵監督は1-0で勝利した昌平高校戦後、平成28年度全国高等学校総合体育大会サッカー競技大会(インターハイ)に出場した55校の中で唯一、6試合を戦えることを喜んだ。前回優勝した2013年以来となる流通経済大学付属柏高校との千葉県勢ファイナルは、2回戦から登場した流経大柏が今大会5試合目、ノーシードで1回戦から戦う市立船橋は6試合目となる。
連日気温30度を越えている広島において7日間で6試合目。精神的にもタフな連戦、また東北、関東、九州、中国と様々な地域の強豪校との対戦は、高校年代最高峰のリーグ戦である高円宮杯U-18サッカーリーグ2016プレミアリーグEASTで首位という状況からまた違う成長をチームにもたらしている。朝岡監督は自分たちで起きている状況に気づき、対応するための答えを出すのが早くなったことを喜ぶ。「チームメートが同じ絵を描いている。そこが成長じゃないですか」。
瀬戸内高校との準々決勝では前半途中にセンターバックの杉岡大暉主将の判断でシステム変更し、守備からリズムをつかんで勝利。昌平戦では相手の俊足FW本間椋の存在を杉岡と原輝綺を中心とした守りで巧みに消しながら、特に後半はドリブルが武器の司令塔MF針谷岳晃へのプレスの受け渡しが精度を増して決定的なパスを出させずに完封した。
今年のチームテーマは“進化”。杉岡と原、MF金子大毅ら守備陣を中心に主力を残す今年、夏冬ともにPK戦の末にあと一歩で勝つことができなかった昨年から進化することを目指している。チームとしての対応力がより増し、攻撃陣は「レベルが上がった時に彼はついていけている」(朝岡監督)という1年生MF郡司篤也が台頭。エース級の活躍を見せるルーキーがチームの競争を激化、またレベルアップさせている。
雰囲気が悪い時期もそれぞれの自立心によって乗り越えてきた。インターハイ優勝は「突き抜けた存在に」なること、また全国3冠という壮大な目標を達成するためにも重要な要素。杉岡は「もっと成長しないとこれからのプレミアでも勝てない。しっかり(進化に)チャレンジしたい」と言い切った。
文=吉田太郎
By 吉田太郎