【選手権】取材ライターが選ぶ「下級生ベスト11」! “二刀流”のCBや抜群の決定力でチームを救った1年生アタッカーをセレクト!

2024年01月10日 松尾祐希

目覚ましい成長を見せた五嶋夏生

高校サッカーに精通する松尾氏がセレクトした「下級生ベストイレブン」。(C)SOCCER DIGEST

 青森山田の2年ぶり4度目の優勝で幕を閉じた第102回高校サッカー選手権。今大会も多くのドラマが生まれ、熱いバトルが繰り広げられた。"最後の冬"となる3年生たちの想いが伝わってきた一方で、下級生たちも負けじと奮闘し、来季に向けて大きな可能性を感じさせた選手も少なくなかった。

 本稿では、来年度の主役になりそうな俊英をベストイレブン形式で紹介する。ポテンシャルを秘めた有望株が今後、どのような成長を見せていくのか。一挙手一投足から目が離せない。

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GK
ギマラエス・ニコラス(市立船橋/2年)

 活躍度で言えば、近江の山崎晃輝(2年)も捨てがたいが、将来性を踏まえてギマラエスをチョイス。ブラジル人の父とフィリピン人の母を持ち、日本で生まれ育った守護神は、2022年にはU-16フィリピン代表としてU-17アジアカップ予選で日本代表と対戦した経験を持つ。安定感のあるシュートストップが特長で、勝負強さも目をひく。今季は1年を通じてレギュラーとして活躍し、今大会は全試合に出場。帝京長岡との2回戦(1-1/5PK4)ではPK戦で2本をストップ。青森山田との準決勝(1-1/2PK4)でも4本目を止めるなど、印象的なセーブが多かった。来季は双子の弟、CBガブリエルとともに名門復活の旗振り役を担う。

DF
小沼蒼珠(青森山田/2年)

 2年生で唯一スタメンを張り、優勝に貢献した左SBだ。鍛え抜かれたフィジカルは突出しており、突破力に秀でるアタッカーを封じ込めた。豊富な運動量も魅力で、何度もアップダウンして攻撃に関与。自慢のロングスローでも決定機を生み出した。唯一無二の経験値を持って、来季は連覇を目ざすチームで先頭に立つ。クロスの精度やビルドアップに磨きをかければ、次のステージも見えてくるはずだ。

DF
森奏(堀越/2年)

 初の4強入りを果たした堀越の最終ラインを統率した守備者だ。GKを除いた最終ラインの4人はいずれも2年生。その中で182センチのサイズを活かしたエアバトルの強さで存在感を示すだけではなく、的確なコーチングとリーダーシップでチームを引っ張った。空中戦の強さは攻撃面でも発揮され、セットプレー時はターゲット役として機能。昨季まではFWでプレーしていたとあって、ビハインドを背負った状態ではパワープレー要員として最前線で起用された。ポジショニングなどに課題はあるが、"二刀流"のCBは身体能力の高さを武器にさらなる進化を期す。
 
DF
五嶋夏生(大津/2年)

 1年次から大きな期待を背負い、高校入学前の3月下旬に行なわれたサニックス杯からトップチームでプレーした経歴を持つ逸材だ。昨季は夏以降に出番を減らしたが、今季は主力に定着。U-18高円宮杯プレミアリーグWESTで経験を積むと、高さと強さを武器に目覚ましい成長を見せた。今大会も全2試合にフル出場。課題だったフットワークも改善され、スピードでも競り負ける場面が少なくなった。まだまだ荒削りだが、高卒でのプロ入りを目ざせるタレントだ。

MF
長璃喜(昌平/1年)

 スーパーサブとして強烈なインパクトを残した昌平の1年生アタッカーだ。下部組織のFC LAVIDAに所属していた中学2年生で高等部の練習に参加した逸材で、晴れて正式に入部した今季は多くの出場機会を得てきた。兄・準喜(3年)と共に出場した初の選手権では短時間で結果を残し、1回戦から3回戦まで途中出場ながらゴールを奪った。とりわけ、米子北との2回戦(1-1/4PK3)、大津(2-2/5PK4)との3回戦はビハインドを背負った状況からの同点弾。チームを救う活躍で一躍名を挙げた。

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