ネットギャンブル依存症が急増 コロナ禍で若者が「はまる」理由は… オンラインカジノで大金使った男性も

2022年5月19日 06時00分
 新型コロナウイルス禍を機に、オンラインカジノなどネットギャンブルに熱中する依存症当事者が増えていることが、公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」(東京都)の調査で分かった。14~20日は「ギャンブル等依存症問題啓発週間」。同会の田中紀子代表は「ネットギャンブルの相談が急増している。スマホアプリで後払いもできるようになり、若者がはまってしまう」と危機感を訴えている。
 ネットギャンブルを巡っては、山口県阿武町からコロナ対策の臨時特別給付金計4630万円を誤って振り込まれた男性(24)が、全額をネットカジノで使ったと主張していることが明らかになっている。
 アンケートは、同会主催の相談会を訪れた依存症当事者の家族を対象に実施。2019年は188人、20年は169人、21年は194人が回答した。依存症当事者の年代別では、20~40代の働き盛りや子育て世代が8割あまりを占めた。
 依存症当事者が「はまっているギャンブルの種類」を複数回答で聞いたところ、いずれの年も最多は「パチンコ・パチスロ」だったが、「オンラインカジノ」が19年の8人(3.4%)から21年は20人(7.1%)に急増。スマホアプリで投票できる「競艇」も10人(4.2%)から25人(8.9%)、「競輪」は5人(2.1%)から16人(5.7%)に増えていた。
 同会は、コロナ禍での外出自粛で在宅時間が長くなり、スマホで参加できるネットギャンブルの人気が高まったと分析。アプリ開発業者や業務提携する金融機関などの広告も活発化し、「はまる」若い世代が増えたとみる。
 アンケートでは大学以上に進学した依存症当事者313人のうち、約3割の92人が中退していたことも判明。田中代表は「ギャンブル依存症が若者の未来を奪っている。啓発も追いつかない状態」と指摘し、支援団体間の連携強化など対策が必要だとしている。ギャンブル依存に関する相談は同会=電03(3555)1725=へ。(中里宏)

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