【動画あり】入管難民法改正案、どんな内容?問題点は?当事者ら「いじめはやめて」と廃案訴え
2021年4月7日 21時54分
政府は今国会に、難民申請による送還停止を2回に限るなどした入管難民法の改正案を提出している。難民申請中の外国人や支援者は7日、東京都内で記者会見を開き「命の危険があるのに強制送還を可能にする法案は許されない」と廃案にするよう訴えた。
◆送還は「ミャンマーで死んで」と同じ意味
現在の入管難民法は、自国で迫害される恐れがあって難民認定の手続きをしている人は送還しない規定がある。しかし改正案では、3回目以降の申請者は送還できるよう規定を見直す。
ミャンマーから逃れ、3回目の難民申請をしている少数民族の40代女性は法案について「帰ることは絶対にできない。『ミャンマーで死んで』と同じ意味」と批判。入管施設から一時的に収容を解かれる仮放免中のナイジェリア人女性のエリザベスさん(52)は「(社会保障がなく)治療も仕事もできず、どうすればいいのか」と苦境を訴え、「なんで日本政府は難民の人をいじめるの」と憤った。
出入国在留管理庁は取材に「しっかりとした資料や申し立てをした人の送還停止は維持し、やみくもに送還するわけではない」と話した。
◆入管難民法改正案Q&A
入管難民法の改正案はどんな内容で、問題点はどこにあるのでしょうか。
Q 法律を見直す狙いは何ですか。
A 政府は外国人らが日本からの退去を拒否したり、収容が長期化したりする問題を解消するためと説明しています。逃げる恐れがない人は、支援者らが見守ることで施設外で暮らせるようにする「監理措置」という制度をつくります。在留の特別許可は、法務相が人道上の理由などの事情を考慮して決めてきましたが、今後は外国人からも申請できるようにします。
Q いったい何が問題なのでしょうか。
A 長期収容を解消するために、難民申請者らを送還しやすくしています。出入国在留管理庁は、日本にいたいがために認定制度を悪用する人への対応と説明していますが、帰国すれば迫害される恐れがあります。国外退去の命令を受けたのに従わない人には、懲役や罰金の刑罰も科されます。
監理措置は施設外で暮らせても原則働くことが認められず、社会保障もないので、自立した生活が困難。病気になっても治療費が払えない可能性があります。
Q 難民認定されれば大丈夫なのでは。
A 日本の難民認定はハードルが高いです。2019年に申請した1万375人のうち、認定は0・4%の44人。コロナ禍で国際的な移動が制限された20年は47人で認定率は1・2%とわずかに上がりましたが、申請者自体は6割減りました。
難民認定率が2~5割の欧米各国に比べ、日本は圧倒的に低いです。支援者の1人で外国人問題に詳しい指宿昭一弁護士は「今は難民不認定制度だ」と語り、認定の基準や手続きを国際基準に合うように変える必要性を説いています。(山田晃史)
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