政治
共産党 志位委員長交代 新委員長に田村智子氏 起用発表
共産党の党大会は、4年ぶりに今週15日から開かれ、最終日の18日新たな執行部人事が発表されました。
それによりますと、2000年から20年以上委員長を務めてきた志位氏が交代し、新しい委員長に田村智子・政策委員長が起用されました。
共産党の委員長に女性が就任するのは、ことしで102年となる党の歴史で初めてのことになります。
田村氏は、長野県出身の58歳。国会議員の秘書などを経て、2010年の参議院選挙で初当選し、現在3期目です。
4年前には政策委員長になり、国会で「桜を見る会」の問題の追及などにあたってきました。
志位氏は議長に就任
一方、志位氏は、2006年以降、空席となっていた議長に就任したほか、小池書記局長は続投し、新しい政策委員長には39歳の山添拓参議院議員が起用されました。
また、議長などを歴任した不破氏は最高指導部の常任幹部会のメンバーから外れました。
共産党としては、女性の登用や世代交代を進め、党勢拡大につなげたいねらいもあるものとみられます。
このほか、党大会では次の衆議院選挙で議席の増加を目指すことなどを盛り込んだ決議が採択されました。
指導機関の女性 過去最多の68人に
共産党の指導機関と位置づけられる中央委員会の中央委員と準中央委員はあわせて215人で、このうち女性はこれまでで最も多い68人となり、率にして31.6%と過去最高になりました。
共産党の最高指導部にあたる常任幹部会は、25人のうち女性の数は8人と変わりませんでした。
田村 新委員長「若い世代の意見も生かして発展・前進を」
田村・新委員長は党大会のあと記者会見を開き、「100年を超える歴史を持つ政党なので『委員長に』という要請があった時には驚いた。本当に責任の大きい重い役職なので、日々勉強しながら挑戦し、委員長という役割を果たしていきたい」と述べました。
その上で、「歴史や伝統を受け継ぎながら共産党の成長・発展のため力を尽くしていきたい。ベテランの党員も若い世代の意見も生かしていかなければ共産党は発展・前進していかない」と強調しました。
そして、「志位議長とは経験値が全く違うので、どうしたら強く大きな党を作ることができるか相談しながら、のびのびとやっていけるのではないか。チームワークで若い新しい世代の方々とも協力しながら、頑張っていけることをうれしく楽しみにしている」と述べました。
また、ほかの野党との連携については、「できる限りの共闘に力を尽くし、自民党政治を終わらせる大運動に広げていきたい。共闘を呼びかけ続けてきたわが党の政治的躍進を勝ち取ることが1番の野党共闘再構築の力になる」と述べました。
志位 前委員長「バトンタッチすにるは最も適任の方」
議長に就任した志位・前委員長は、党大会のあと記者会見で、「私自身ことしでちょうど70歳になるので、新しい世代の方にバトンタッチするのがよいと思い、だいぶ前から考えていた。田村委員長は、あらゆる面で最も適任の方だということでみんなの意見が一致した」と述べました。
その上で「委員長として23年間、さまざまな面で対応してきた。新しくやってきたことも、やり残した問題もある。この23年間、頑張ってきたことに悔いはなく、今度は議長として可能な責任を果たしていきたい」と述べました。
山添 新政策委員長「若い世代に希望を届ける政策を探求」
共産党の山添 新政策委員長は、党大会のあと記者会見で、「若い世代の声を政策に生かし、政治を動かしていく大事な役割を担った。若い世代は希望が見えず、展望が持てない人生を歩んできている人が大勢いる。希望を届けることができる政策をさらに探求して発信していきたい」と述べました。
自民 茂木幹事長「国会で建設的な議論を」
自民党の茂木幹事長は記者団に対し、「田村氏の就任にお祝いを申し上げたい。私が外務大臣や経済産業大臣を務めていた際、国会で厳しい質問をいただき、活発な論戦ができたことが記憶に残っている。安全保障環境が厳しさを増し、国内ではデフレ脱却の正念場を迎える中、通常国会で建設的な議論を展開していただきたい」と述べました。
立民 泉代表 “自民政治の刷新”に期待
立憲民主党の泉代表は、訪問先の石川県七尾市で記者団に対し「長い任期を務められた志位氏に敬意を表し、慰労を申しあげたい。田村氏は女性で初の委員長であり、新しい時代の党を担っていかれると思う。共産党の調査能力により裏金問題などでいろいろ明らかになってきた側面もあり、自民党のおかしな政治を変えるため頑張ってもらいたい」と述べました。
その上で、共産党を含むほかの野党との連携について、「何か影響があるとは考えていない。私は、全ての政策を一致させなくても国民に評価されるいくつかの政策があれば短期間でも自民党に代わる政権をつくることができると思っていて、その政策の中には共産党が主張してきた企業・団体献金の廃止もある」と述べました。
立民 長妻政務調査会長「女性の幹部登用 非常に好ましい」
立憲民主党の長妻政務調査会長は、記者団に対し、「どの政党であっても女性が幹部に登用されるのは非常に好ましいことで、田村氏の手腕に期待したい。今後とも国会で、ほかの野党とともに共通する課題の実現に向けて取り組んでいきたい」と述べました。
また、共産党を含むほかの野党との連携については「委員長が20数年ぶりに代わり、相当、方針が変わる可能性もある。まずはその方針を見ていきたい」と述べました。
国民 玉木代表「考え方が変わっていくのか注視したい」
国民民主党の玉木代表は記者団に対し、「大きな変化が起きていることは事実だろう。人事が大きく変わったので憲法などに対する考え方が変わっていくのか注視したい」と述べました。
また、共産党が採択した決議の中で、国民民主党を自民・公明両党、日本維新の会とともに「悪政4党連合」と表現したことについて、「国民民主党は戦争をしようとしているわけではなく、外してもらいたい。憲法改正を目指すことが戦争をしたがっているという、ステレオタイプから抜け出すリーダーになってもらいたい」と述べました。
委員長 田村智子氏(新任)
共産党の新しい委員長に就任した田村智子氏は58歳。長野県出身で、早稲田大学で学費値上げの反対運動などに携わり、共産党に入党しました。
国会議員の秘書などを経て、1998年以降、国政選挙に5回立候補し、いずれも落選しましたが、2010年の参議院選挙で初当選しました。
現在3期目で、非正規雇用の待遇改善などに取り組み、国会で政権を厳しく追及する論客として知られています。
田村氏が注目を集めたのは2019年、安倍総理大臣主催の「桜を見る会」をめぐる追及でした。
田村氏が「桜を見る会」の参加者と支出額が年々増えていると指摘したことをきっかけに、前日夜の懇親会の運営などが国会で大きく取り上げられました。
田村氏は、前回・4年前の党大会で女性として初めて党の政策委員長に起用されました。
政策委員長として、最低賃金の時給1500円への引き上げや消費税率を緊急的に5%に引き下げることなどを柱とする党の経済再生プランの策定にあたりました。
そして、去年11月の中央委員会総会では党大会で提案する決議案について報告を行ったほか、先月の志位氏の東南アジア訪問に同行するなど、志位氏の後継と目されてきました。
田村氏は、小学生の頃に合唱を始め、大学では混声合唱団で活動し、国会質問も合唱で鍛えた発声が生かされていると言われています。
議長 志位和夫氏(新任)
共産党の議長に就任した志位和夫氏は69歳。千葉県出身で、東京大学在学中の1973年に共産党に入党し、党中央委員会の書記局員や中央委員を経て、1990年に35歳で書記局長に抜てきされました。
1993年の衆議院選挙で初当選し、現在10期目です。
2000年11月に開かれた党大会で、不破哲三氏の後任の委員長に46歳で就任しました。
委員長として党を率いた23年あまりの間、森総理大臣から今の岸田総理大臣まで、民主党政権を含む10人の総理大臣との間で、安全保障や憲法、それに非正規雇用の待遇改善など幅広い政策課題について論戦を交わしてきました。
また、2015年には安倍政権のもと成立した集団的自衛権の行使を可能にすることなどを盛り込んだ安全保障関連法の廃止を目指して「国民連合政府」の樹立を提唱し野党間の選挙協力を呼びかけました。
そして、よく年の参議院選挙で野党側の候補者を1本化するなど「野党共闘」を進めました。
今後は、2006年に不破氏が退任して以降、空席となっていた議長として党運営などにあたることになります。
志位氏は、クラシック音楽を好み、ピアノも弾きます。
書記局長 小池晃氏(留任)
共産党の書記局長に留任した小池晃氏は63歳。東京都出身で、予備校在学中に共産党に入党し、東北大学医学部で学費値上げの反対運動などに取り組みました。
大学卒業後は医師として地域医療に携わり、1998年の参議院選挙で初当選して、2004年には党の政策委員長に就任しました。
その後、参議院選挙で一度落選しましたが、2013年の選挙で返り咲き、現在4期目です。
2016年には当時の山下書記局長が体調不良で退任し、55歳で書記局長に就任しました。
小池氏は、国会論戦などで、経済政策や新型コロナ対策をはじめとする保健・医療、それに安全保障など幅広い分野で政府・与党を厳しく追及しています。
また党の実務を担う書記局長として、ほかの野党と共闘関係の構築などに努めてきました。
最近は、みずからユーチューバーを名乗って、農家や漁業者の声を聴きながら党の考えを伝える動画を作成するなど、発信力の強化を図っています。
政策委員長 山添拓氏(新任)
共産党の新しい政策委員長に就任した山添拓氏は39歳。京都府出身で、東京大学在学中に、イラク戦争に反対する活動に参加したことなどをきっかけに共産党に入党しました。
その後、弁護士として東京電力福島第一原発の事故に伴う賠償請求や労働問題などに取り組みました。
2016年の参議院選挙で初当選し、現在2期目です。
国会では、憲法や外交など幅広い分野で質問に立ち、党内では若手の論客として期待されています。
趣味は鉄道の写真撮影や「駅そば」めぐりです。