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定額減税を巡る自治体側のシステム処理で不具合が相次いだ。課税額が異なっていたり、通知書に誤記載があったりといった事象が生じた。パッケージソフトや自治体のカスタマイズ部分にミスがあったのが原因だ。他の自治体からの情報提供で初めて誤りに気付くケースもあった。いずれの自治体もテスト不足を認めながら「対応に時間がなかった」と訴える。

 「税制改正は毎年あるが、2024年は定額減税に森林環境税の導入と大きな変更が2つもあった。にもかかわらず準備期間が短かった。万全の体制で臨めず、テストに十分な時間をかけられず住民に迷惑をかけた」――。ある自治体の担当者は、このように漏らす。

 2024年6月に始まった定額減税に関する処理を巡り、全国各地で混乱が広がった。自治体側でのシステム対応に問題があったことで、住民への課税額が間違っていたり誤った税額が表示されたりする事態が相次いだのだ。2024年6月末時点で全国15以上の市区町村が、何らかの誤りがあった旨を公表している。

 政府・与党が2024年度の税制改正大綱をまとめたのは2023年12月のこと。半年間という準備期間は、自治体とITベンダーの双方にとって十分とはいえないものだった。

 発生した不具合は大きく2つのパターンに分けられる。1つは、パッケージソフトのプログラムミスなどにより、複数の自治体で同一もしくは類似した現象が起きたものだ。

 もう1つは、自治体がカスタマイズした部分のプログラムに不具合があったケースだ。このケースでは個別の自治体だけで誤りが生じた。