インバウンドコラム
新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の影響により、国境を閉ざした世界各国。入国制限緩和の動きが始まっている。国内旅行に多くの人が出掛けた中国では、韓国からのビジネス目的の入国の受け入れが始まった。入国規制緩和に向けた動きの中で求められるものとは。世界で始まった入国規制緩和の動きをまとめて紹介する。
中国国内観光に1億1500万人。旅行業に回復の兆し
新型コロナウイルスの感染拡大を基本的に抑え込んだとしている中国では、すでに観光地のおよそ70%が再開し、多くの人が国内旅行へと出掛けおり、中国観光市場には回復の兆しがあるという。5月1日から5日はメーデー連休で中国でも連休だったが、この期間に1億1500万人が国内観光に出掛け、475億6000万元(約7175億730万円)の観光収益をもたらしたことを、中国最大のOTAのTrip.comが明らかにした。訪問先として人気があったのは、成都、三亜、上海の3カ所だったそうだ。
人気の高いアクティビティは、ハイキング、アウトドア旅行、キャンプなど、野外での活動のものとなっていた。車で旅行へ行った人が、この連休中の旅行者の60%以上、レンタカーの利用者は昨年の同時期と比較して10%増加した。また、中国では現在、旅行を予約する際には、完全に返金可能な予約であること、混雑を回避するためのルートの提案、医療体制などが求められているという。
Trip.com Groupの会長であるジェームス・リアン氏は、「コロナ以前と同じスタイルでの回復を期待するのではなく、ユーザーのニーズを理解した上で、より良い商品を提供し、スピーディーに取り組んでいくことが必要だ」とコメントしている。
中国ー韓国では、ビジネスでの入国を認める例外入国制度がスタート
中国では現在、海外からの入国者に対して、指定施設での14日間の隔離措置を求めているが、ビジネス目的で訪れる韓国人の入国をPCR検査などでの陰性を条件に、例外入国を認める「ファストトラック制度」を5月1日から開始した。
入国には、まずは出発の72時間以内に韓国国内の指定医療機関で検査を受けた際の陰性確認証が必要とされる。中国に到着後にも再度PCRなどの検査を受け、再び陰性と判断されれば入国が認められる。
中国入国の際にこの制度が適用されるのは、韓中企業間の交流が多い上海市、天津市、重慶市、遼寧省、山東省、江蘇省、広東省、陝西省、四川省、安徽省。
中国は、日本やシンガポールへも入国規制緩和を打診
中国政府は、シンガポールなどともファストトラック制度導入を検討していると発表。日本国内での新規感染者の減少などを条件に日本政府にも入国制限緩和を打診している。ただし、日本側は国内において緊急事態宣言が続き、全世界への渡航に関して「不要不急の渡航を求める」レベル2としていることなどから、海外への出国制限を緩和するのは時期尚早としている。
国内での感染拡大が押さえられているか、いかに感染に対して個々人や企業の対応ができており安全・安心な国であるかと海外にアピールしていくことも、今後日本が世界各国との往来を正常化させていく上でも重要となっていく。
一方、中国東北部 吉林省の吉林市で先週以降、新型コロナウイルスの感染者が20人以上確認されており、地元当局は、市の外への移動を制限するなどの措置をとり、感染が再び拡大することに警戒を強めている。習近平国家主席も12日の会議で、新型コロナウイルスについて、「国内で感染が再び拡大する危険性が存在している」と警戒感を示している。
感染第2波の懸念は、ウイルスの感染拡大が抑制されたとして今月6日に制限が緩和され、通常の生活に戻りつつある韓国でも発生している。ソウルでは、ナイトクラブを訪れた客を中心に新型コロナウイルスの集団感染が発生し、これまでに119人の感染が確認された。
つながるトラベルバブル。各国で入国制限緩和の動き
新型コロナの感染が収束し互いが安全だと認めあった国同士での渡航について、安全な空気のバブルをつないだ中での往来に例え、「トラベルバブル」あるいは「トラベル・コリドー(小道)」と新しい言葉で呼ばれている。オーストラリアとニュージーランドは、両国間にトラベルバブルを結ぶことを約束しているが、スタート時期は未定となっている。
ヨーロッパではバルト3国と呼ばれ、関係の深いエストニア、ラトビア、リトアニアの3国が、5月15日から互いの国境を開く予定となっている。
またオーストリアとドイツは、6月15日に国境を完全に再開する予定となっている。これは、特にドイツからの訪問者に大きく依存しているオーストリアの観光産業の助けになるとみられている。アジアにおいては、ベトナムとタイの間で、トラベルバブルが作られる可能性があるという。
そのドイツでは、5月16日からサッカー、ブンデスリーガの試合が無観客で始まる。欧州の主要サッカーリーグとしては、パンデミック発生後に初めての活動再開となる。
(やまとごころ編集部・外島美紀子)
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※最新版も更新されました
7/7 更新【新型コロナ:各国入国規制まとめ 】
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