インバウンドコラム
世界の87カ国が入国制限を緩和、完全に解除したのは4カ国
世界観光機関(UNWTO)が7月30日発表した新たなレポートによると、217カ国・地域のデスティネーションのうち40%を占める87カ国・地域が、新型コロナウイルスによる国際的な入国制限を緩和し始めているという。このうち完全に制限を解除したのは、アルバニア、モルディブ、セルビア、タンザニアの4カ国のみとなっている。一方で、53%を占める115カ国・地域は依然として国境を完全に閉鎖している。
日本:初の閣僚の海外渡航。隔離なしで入国へ
茂木外相は、新型コロナウイルスの感染が広がった3月以降、初めての閣僚の海外訪問として、5〜8日にイギリスを訪問すると発表した。日英通商協定の大枠合意のための渡英となる。
現在、日本政府は海外から入国するすべての人に対して、帰国後自宅や宿泊施設での2週間の隔離措置を求めているが、茂木外相と同行者らが感染対策を徹底するのを条件に対象外とする。渡航にはチャーター機を使い、現地では大使館の公用車などで移動。帰国時にPCR検査を受けるという。
台湾:日本のビジネス入境、隔離短縮を中止
台湾の中央流行疫情指揮センター(CECC)は5日、日本国内で新型コロナウイルスの感染が再び拡大していることを受け、日本に対する新型コロナウイルス中低リスク国の指定を取り消した。これにより、日本の短期ビジネス客に認められていた、入境後の隔離期間が7日間に短縮されていた特別措置が取りやめられ、14日間となる。
CECCトップの陳時中・衛生福利部長(大臣)は会見で、「日本の流行状況は急速に高まっているため」と説明した。
台湾では6月22日以降、感染リスクが低度、もしくは中低度とされている国・地域を対象に3カ月未満の短期ビジネス目的の訪問を許可しており、低度の国‧地域の者は5日目に、中低度は7日目に自費で実施するPCR検査で陰性が確認されれば外出が認められている。それ以外のエリアからの入境者は14日間の隔離が必要となる。
対象国のリストは2週間に1回見直すとしており、同様に感染者が増えているオーストラリア、香港も7月22日に指定を取り消されている。
現在、台湾で感染リスクが低度、中低度とされている国・地域リスト
[低リスク国]:ニュージーランド、マカオ、パラオ、フィジー、ブルネイ、ベトナム、タイ、モンゴル、ブータン、ラオス、カンボジア、ミャンマー
[中低リスク国]:韓国、シンガポール、マレーシア、スリランカ
中国:白雲空港の利用者数が前年同期9割まで回復
広東省広州市にある白雲国際空港では、1日の利用客数が延べ14万4000人に達し、国内線の利用者数は前年同期の9割まで回復した。輸送能力においては国内で1位となり、旅行者数が着実に増加していると報じられている。夏の需要は回復傾向にあり、特に広州と、銀川、西安、成都、三亜、海口、麗江、杭州、上海とを結ぶ国内線が人気となっている。
中国の3大航空会社、中国国際航空、東方航空、南方航空は、それぞれ8月の国際線の運航計画を発表した。中国国際航空は週に国際線24便、東方航空と傘下の上海航空は週に国際線22便、南方空港は週に国際線と国内線合わせて17便をそれぞれ運航するという。7月に比べ8月は、国際線がやや増加しているという。
中国当局は、5日時点で中国本土の感染者数は810人で、そのうち重傷者は36人だと発表している。
「途家」は週末泊り放題キャペーンを開始
北京に本拠を置く中国の民泊サイト「途家」は、週末泊り放題キャンペーンを開始。7月27日から7月31日までの毎日、10時と16時に数量限定で販売した。利用期間は2020年8月1日から2020年10月31日までの間の金、土、日曜日で、キャンペーン対応のクーポンを使うと全国どこの民泊でも予約することができるという。
国連貿易開発会議は、観光業の損失額は最大で3兆3000億ドルと試算
国連貿易開発会議(UNCTAD)は7月に、新型コロナウイルスによる観光業の損失額は最大で3兆3000億ドル(約348兆円)の見込みとする報告書を公表している。この報告書では、封鎖措置の期間により3つの損失額を算出しており、封鎖措置が4カ月、8カ月、12カ月続く3つのシナリオを想定している。各シナリオの下、観光収入はそれぞれ1兆2000億ドル(約127兆円/封鎖が4カ月の場合)、2兆2000億ドル(約232兆円/8カ月の場合)、3兆3000億ドル(約348兆円/12カ月の場合)減ると試算している。これは世界の総生産(GDP)の1.5〜4.2%に相当する。
また、国連世界観光機関(UNWTO)も2019年の世界観光バロメーターに比べて今年5月の国際観光数は98%減少、1月から5月の期間では56%の減少となったことを示し、これはリーマンショックの翌年、2009年の世界的な経済危機の損失額の3倍以上との報告書を示した。それによると、一部の観光地では徐々に客足が戻りつつあるが、2020年1月から4月の客数、さらに5月から8月までの見通しは過去最低となっている。
しかしながら、観光専門家委員会のメンバーは2021年の後半、または前半までに国際観光が回復することに期待をしている。現状では依然として旅行制限や国境閉鎖があること、さらに米国や中国などの主要な市場が停滞していることに加え、信頼できる情報が欠如していることや、経済状態の悪化に対する懸念はぬぐい切れないと報告している。
UNWTO、コロナ後の観光回復に向けたアイデアを募集
国連世界観光機関(UNWTO)は、新型コロナウイルスの感染拡大で落ち込んだホスピタリティ業界の景気を回復させるため、「ツーリズムオブトゥモロー(Tourism of Tomorrow)」チャレンジを開始した。この取り組みは、包括的でサスティナブルな事業を促進しながら、業界の回復を加速させるようなアイデアを募集するというもの。また、コロナ後の世界で観光の見方と経験を変化させることがテーマとなっている。応募の中から選ばれた受賞者には15種類のプログラム(学士号、修士号、MBA)への奨学金や、資金が授与される。
世界旅行ツーリズム協議会、保険ガイドラインを公表
世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)は、消費者の信頼を再構築し観光の復活を促すために求められる保険のガイドラインを公表した。それによると、保険は新型コロナウイルスの感染による旅行のキャンセルや、医療費、施設内での感染者の発生による休業などによる損失を補償するものとなり、withコロナ時代における旅行者や観光業に安心とリスク軽減を提供するものとなるという。
WTTCのCEOであるグロリア ゲバラ氏は「旅行者にとっても、事業者側にとっても、保険によって旅に出ることに安心感を提供することは今まで以上に重要になっている」と述べた。
やまとごころでは、重点20市場における入国規制の状況を一覧にまとめています。
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