インバウンドコラム

【コロナ:世界の動き】UNWTO「世界の観光業回復には2.5〜4年」。10月1日Go To トラベル東京も正式決定、スタートする中国国慶節 今年のトレンド

2020.09.28

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UNWTO、6月までの世界の観光業の損失は48兆6000億円

UNWTO(国連世界観光機関)は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、今年1月〜6月までの半年間に海外旅行に行った人は前年の同時期に比べ4億4000万人減少、世界の観光業の損失は約48兆6000億円になると発表した。これは、リーマンショック後の2009年の損失のおよそ5倍になるという。

世界の旅行者の数が2019年の水準に戻るには2.5年から4年はかかると予測しており、UNWTOは「観光業が再び活性化するよう、各国の政府と民間が緊密に連携し協力することが不可欠」と呼びかけている。

 

「Go To トラベル」10月1日より東京も。分科会了承

政府は、「Go To トラベル」事業の対象外だった東京発着分を10月1日から追加することを、25日に開かれた新型コロナウイルス分科会の了承を受けて正式決定した。開始時期が遅れていた地域共通クーポンも同日から利用できるようになる。

観光業支援策として7月22日にスタートした「Go To  トラベル」は、1人あたり1泊2万円までを上限に、旅行代金の半分までを補助する。旅行代金の35%を宿泊費の補助、15%を旅行先の近隣都道府県の飲食店や土産物店、観光施設、交通機関などで使える地域共通クーポンとして配布する。事業開始時、コロナの感染が拡大していた東京は対象から外され、当初9月開始を予定していたクーポンの利用開始も遅れていた。

利用対象事業者となるには、いずれも登録が必要となっており、これまでに宿泊事業者、旅行事業者ともに約6割以上が登録。地域クーポンの利用先となるために、すでに2万1000の店舗が登録を完了しており、約4万の店舗が登録申請の手続き中となっている。

 

「イベント」「商店街」も10月中旬から

需要喚起策の「Go To  キャンペーン事業」は4つの事業で構成され、イベントやエンターテイメント業の需要を喚起策の「Go To イベント」と、商店街の催しを補助する「Go To 商店街」も10月中旬からの開始に向け準備することが決まった。

「イベント」事業は、コンサートや映画、演劇などのチケットをオンラインで購入した場合、2割を補助する。「商店街」事業は、商店街等での購買に繋がるイベントなどの取り組みを300万円を上限に支援するもので、国内全域で1000件以上のキャンペーン実施が見込まれている。飲食業支援のための「Go To イート」事業も10月から順次始まることになっている。

25日の新型コロナウイルス分科会で尾身会長は「Go To  キャンペーン事業」について、「新しい生活様式を国民に定着してもらうための契機にしていただきたい」とコメントした上で、国及び都道府県は、感染のステージを常にモニターすること。さらに、上から2番目に深刻なステージ3相当と判断した場合には、イベントの中止や「Go To トラベル」事業の対象から躊躇なく除外することを求めた。

 

中国:国慶節の8連休、10月1日よりスタート

10月1日から始まる中国の国慶節(建国記念日)は中秋節(旧暦8月15日)と重なったため8連休となり、国内旅行の予約が急増している。新型コロナウイルス対策が常態化されてから初の大型連休となり、中国全土の500カ所以上の観光地が既に入場券無料や割引のサービスを打ち出していることから、今年は「最もお得な大型連休」となり、多くの人が行楽を楽しむことになりそうだ。2020年下半期は「W型」に回復し、年間の国内旅行は34億2600万人に達すると予測されている。

 

Ctrip、高級ホテルへの宿泊がトレンド

中国最大の旅行会社「Ctrip(シートリップ)」の検索と予約の分析によると、9月中旬の時点で全国の主要航空路線の予約は、前月よりも200%以上増加。列車の予約も急増、高級ホテルの価格も回復しており平均価格は昨年を上回っている。

航空路線を利用した旅行需要の時期は4つのピークがあり、1つは9月26日、2つ目は9月29日から30日、10月3日から5日、および10月8日から11日。最も人気のあるルートは、上海-北京、成都-北京、上海-成都となっている。

対照的に、列車の旅は時期が集中しており、行きのピークは9月29日から10月1日、帰りは10月7日となっている。人気の列車路線は、深セン-広州、長沙-広州、成都-中清などとなっている。

Ctripを利用したホテルの予約の傾向は高級ホテルへの宿泊がトレンドとなっており、エリアとしては上海、三亜、成都が人気トップ3。成長率では、ラサが最大の予約数増加を示しており、前年比600%以上の伸びとなっている。

 

飞猪、レンタカーやキャンピグカー利用の旅行が急増

アリババが運営する旅行プラットフォーム「飞猪(飛猪/フリギー)」によると、国慶節期間のホテル、航空券の価格は5年ぶりに最低となり、地元観光と周辺観光が大幅に上昇した。地元の旅行と周辺の旅行は50%以上増加し、増加幅が初めて長距離の旅行を上回った。ホテルの価格は去年より30%ほど低く、国慶節の旅行のコストとしては5年ぶりの減少を記録している。予約のトップは北京、上海、広東。中国大陸以外では、マカオは一番人気の旅行地となり、マカオに旅行する延べ人数は前年比30%増となった。

レンタカーによる旅行も増えており、前年同期比300%の増加。キャンピングカーを利用した旅行の人気も70%のアップとなっている。

 

馬蜂窩、セルフドライブとカスタムツアーの検索が急上昇

車による旅行の人気が高い傾向は、旅行情報媒体「馬蜂窩(マーフォンウォー)」の検索結果にも表れている。馬蜂窩によると、2020年国慶節の観光トレンドは「自驾游(セルフドライブ)」で、自由に動けることや、人と接触しなくてすむ安全性から、自分で運転する旅を好む傾向があり、訪問先としては、内モンゴルや雲南の人気が高い。

自家用車での運転に加えて、観光地で車を借りることも人気があり、国慶節旅行中の目的として検索されている言葉の1位はレンタカー、2位温泉、3位民宿となっている。その他、古鎮(古い町並み)、草原、海辺、砂漠、美食なども検索されている。

また、「定制游在(カスタムツアー)」も今年の国慶節の旅行のトレンドとなっており、これまでの団体旅行やセルフガイドツアーよりも、カスタムツアーの人気が高いという。カスタマイズされたツアーは、旅行体験をより自分独自なものとしてくれ、旅程を柔軟に組み立てることができる。専門のサービスチームは、観光客が旅程をカスタマイズして組み立てるのを支援し、検索や工程作成にかかる時間とコストを大幅に節約できるサービスとして、多忙な中国人の間で急速に利用する人が増えている。中国人観光客は、これまで以上に旅の安全性とサービスの質に注目しているため、カスタムツアーが大きく注目されているという。

馬蜂窩リサーチセンター責任者のFengRao氏は、「中でも特に若い観光客は、よりパーソナライズされたニッチな目的を探索するのを好む」と分析。たとえば、以前はモンゴルの呼伦贝尔草原を訪れる観光客は主に草原や森の風景を見るために訪れていたが、現在では、地元のトナカイや、民族の手工芸品、その他の特徴的な民俗文化について体験したいと考える観光客が増加しているという。この様な観光客のニッチな旅行目的を叶える旅程をカスタマイズするのには、サービスを提供する側は、現地の情報に精通している必要がある。

 

途牛、長期旅行をする人が増加、穴場スポットに注目

オンライン旅行会社「途牛(tuniu.com)」が9月15日に発表した「2020年全国日中秋祭り旅行消費動向レポート」によると、長期旅行が増えていることが明らかになった。9月14日までに入っている国慶節期間中の旅行予約の64%が5日以上の長期旅行で、その内日数が5日間以上のものは64%、8日間以上のものは26%を占めている。

今年の国慶節は10月1日から8日までの8連休となっているが、前後に休暇を組み合わせることで、11日連休や13連休、中には16連休とし長期の旅行を楽しむ人もいるという。

途牛の予約を年齢別に見ると、26-35歳までの観光客の需要が特に旺盛で、延べ人数は全体の55%に達している。36-45歳の観光客も比較的活発で、全体観光客の23%を占めている。

最も人気の旅行先は海南、雲南、四川、陝西。今年は海外旅行に行けないため、多くの人がこの8日間を利用して中国国内のより遠方でマイナーな地域をじっくり味わう旅に興味を持っている。また、近郊旅行の需要も高まっており、一部都市の周辺の民泊施設やリゾートホテルは予約でいっぱいになっているものの、北京市郊外の宿泊施設の予約状況によると、今年の国慶節連休は、北京郊外旅行が例年よりも人気だという。

鉄道では10月1日の上海市発、黒竜江省ハルビン市行きや、湖北省武漢市行きなどの列車の乗車券が発売と同時に即完売するなど人気路線は売り切れになっている。人との接触が避けられることから、レンタカーによる旅行も人気となっており、車での旅行についての情報検索は153%以上も増加。穴場的なスポットが注目されている。

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